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野生と微生物とウイルスと

 微生物・天然菌・野生麹カビ・野草・森林・昆虫・野生動物…

人は生き抜くために自然の生物を狩猟採取し、やがて農耕を覚え安定的に食料を確保出来るようになった。
 衣食住その全てを自然から得ていた時代から人工的に素材を生み出し、食材までも造り出す時代へ。

 危険な野生動物も人が飼育すると家畜となり、長い年月を経てあるものはパートナーとなり、あるものは人の血肉となり、ある種は爆発的に増殖し駆除対象となり、あるものは絶滅危惧種となった。

 栽培を繰り返すうちに野草はアクの少ない野菜となり、意図的に種を変えられたり、季節を問わず多種多様に店頭で購入出来るようになった。

 微生物の世界でも野生麹は培養を繰り返す中で家畜化され、安心安全で優秀な種麹が流通し、安定的に醸造物が造れるようになった。

 先人達の弛まぬ努力と探求があったからこそ今の人類の発展があり、その恩恵を受けて今の自分の平穏があることを実感する一方、始まりの一歩へ迫りたい自分の探求心はいったい何なのだろうか。

 食生活が豊かになり人々の寿命は延び、食は今や生命を維持するためだけのものではなく、生きる楽しみの源であり経済活動の中心軸となっている。
 飽食の時代に何を選択するのか、健康ネタも尽きない。

私の発酵的暮らしの源

 私は仕事(ガラス工芸)をきっかけに田舎に移住したのだが、ここで暮らすうちに農的自給率の高いお年寄り達に触れ、憧れを抱くようになった。
 子育て期に自然育児のキーワードを知り、食への関心も一気に高まったものの家庭菜園を持ち、自然派嗜好のもののみを選択する力(能力・体力・経済力・時間)はなく、出来る限り心に響く食材を選び発酵食を手掛けるようになった。

 自然が受け入れてくれるなら、少しでも自然の一員として生きたいと望むことから、微生物の働きによる発酵に行きついたのもあるかもしれない。
何より目に見えない微生物が巻き起こすドラマが楽しくて気がつけば抜け出せなくなった。ハマったのだ。

 そんな私がコロナ下で経済活動が緩やかになり、時間が生まれたこともあって昨年から友人の元で農耕デビューの念願が叶った。 

 毎日の作業ではないにせよ、広大な休耕田での野良作業はガーデニングの域から一歩踏み出せた感がありその喜びは大きい。
「自分たちで育てた大豆で味噌を作りたい」と1キロのミヤギシロメを蒔き夏の草に泣き、冬に脱穀でとてつもない手間暇がかかる事を知り、春に念願の味噌を仕込むことが出来た。

 発酵食も農作物も人も突き詰めれば「土」。それは発酵の師匠から学んだこと。
そのことを実践的に語りあえる友が出来たことが本当に嬉しい。

自然界から採取した天然菌で醸したい

 私にとって野生麹を採取することは先人達が繋いできた生き抜くための知恵の結晶に触れることであるとともに、自分の中の野生性が呼び起こされる瞬間でありロマンなのだ。
 私の密かな夢は自家採取した天然の酵母でパンを焼くように、この土地で採取した麹菌で米麹を作り醸すこと。大豆に加え、あわよくばお米や麦も育てて…。

 いったいどんな味がするのだろうか。

Tumblr 【天然麹菌採取のロマン①】

https://hanakouchida.tumblr.com/post/618508103634272256/%E5%9F%B9%E9%A4%8A%E9%BA%B9%E3%81%A8%E9%87%8E%E7%94%9F%E9%BA%B9%E3%81%A8%E2%91%A0-facebook%E3%81%AE%E6%80%9D%E3%81%84%E5%87%BA%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E4%B8%80%E5%B9%B4%E5%89%8D%E3%81%AB%E7%A7%8B%E7%94%B0%E4%BB%8A%E9%87%8E%E5%95%86%E5%BA%97%E3%82%92%E8%A8%AA%E3%82%8C%E3%81%9F%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%81%8C%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E6%9D%A5%E3%81%9F%E3%81%AE

Tumblr【天然麹菌採取のロマン②】

https://hanakouchida.tumblr.com/post/619723171502981120/httpswwwjstagejstgojparticlejbrewsocjapa

 今日の野草食

 今日はハコベを摘んでナムルにし、夫の実家から届いた八朔と和えて、いただき物の鹿肉のプロシュートと共に。
たとえ僅かでも、春の野草食は冬に溜まった何物かを排出してくれ、春特有の沈みがちな気を上げてくれるように感じる。

ウイルスとの向き合い方

 アフリカやハイチなどで感染症対策に従事した経験を持つ、長崎大熱帯医学研究所・山本太郎教授の話が興味深いので以下引用。

 新型コロナウイルスとは、野生動物が保有しているウイルスの一種。

 野生動物が暮らす生態系に人間が進出したことが大きな要因で、新たな感染症は基本的に動物からやってくる。

背景には自然環境の止めどない開発や地球温暖化による野生動物の生息域の縮小など近代的な行為の結果といえるようだ。
感染症の流行の原因は、グローバル化など人間社会のありようが感染の広がり方などを決定付けている。

私たちの社会にはいつも様々なウイルスが入り込もうとしているし、人間が持つウイルスが野生動物に感染することもある。

 ウイルスは人間にとって脅威だが、人間はこれまで様々なウイルス感染を経験してきたことで免疫力が高まり、生態系由来の感染症からある程度身を守ることができている。

 ウイルスの中で脅威とされるのが動物や人間に寄生しないと生きられない病原体。
その意味から人間は大切な宿主。
もし宿主をすぐに死なせる強毒な存在なら、感染を繰り返す前に自らも死んで、やがて社会から消滅してしまう。

 多くの感染症は長い目で見れば、人間に広がるにつれて潜伏期間が長期化し、弱毒化する傾向にある。
あたかも人間との共存を目指すように進化している。
故に、感染の広がりを穏やかにしていくことが、弱毒化の方向に進めるための力にもなり得る。

 感染症が全くない社会がいいように見えるが、未知のウイルスが流行してしまえば、その被害や社会的インパクトは図り知れない。やはり、多くの感染症に直面し、様々な免疫をつけてきた人間の社会は強靭だ。

 流行を許容するわけではないが、ウイルスの撲滅は事実上、不可能。
被害を最小限に抑えながら共存・共生を目指して行くのが望ましい。引用以上

 野生・自然への畏怖を抱きつつ、共にあることを感じ生きていきたい。
コロナウイルスで得た気づきを今一度捉えつつ、今を只管(ひたすら)に生きるのみ。

 コロナウイルスに対応されている医療従事者及び関係各者の方々へ、罹患され苦しんでおられるとご家族の方々へ、命を落とされた方々への祈りを送ります。

 長文読んで下さりありがとうございました。

#野生 #野生麹 #天然麹菌 #微生物 #野生動物 #ウイルス #ジビエ #共生



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