税理士監修|インボイス制度をわかりやすくまとめてみた!(ライター向け)
あなたは「インボイス制度」について、どれくらいご存じですか?
私自身、
と思っていました。
とはいえ、「さすがにこのままではダメよね」と思って調べたものの、専門用語が並んでいるのを見ただけで拒否反応。
「よくわかるインボイス」的な本を読んでも、いつのまにか眠っている状態でした(泣)
けれども、2022年8月の上旬に、継続でお仕事をいただいているクライアントさんから、
と、連絡が来たのです!
これは、「苦手」「生理的に受けつけない」なんて言っとられん、ということで、重い腰を上げて、インボイス制度について調べてみることにしました。
このnoteは、「インボイスって、よくわからない」「税金関係の小難しい専門用語が並んでいると拒否反応を示す」私が、調べた内容を自分なりにまとめたものです。
「税金」「経理」と聞いただけでも眠くなる、私のような人でも読みやすく、少しでも理解しやすいように、できるだけわかりやすい言葉で表現してみました。
あなたがインボイス制度を理解する一助となれたらうれしいです。
監修:税理士 柴田慶一さん
(注)私は税理士ではないため、税金に関するご質問をいただいてもお答えできません。ご了承ください。
税金についての個別のご相談は、税務署の相談会を利用されるか、もしくは柴田先生にご依頼くださいね。
(おすすめです!)
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※「そもそも、どうしてインボイス制度が必要なの?」と思っている方へ。
こちら ↓ の動画で、インボイス制度が生まれるまでの経緯がわかりやすく解説されています。(聞き流しで大丈夫です)
私自身、最初にこの動画を視聴したことで、インボイス制度についてグッと理解しやすくなりました。
※【聞き流し】インボイス制度・消費税まとめ(中田敦彦のYouTube大学)
インボイス制度と消費税の深い関係
インボイス制度とは、めちゃめちゃざっくりまとめると「消費税を納めるルールが変わりますよ」という制度です。2023年10月1日から始まります。
フリーランスや副業など、事業をしている人に関係する内容です。
もちろん、Webライターにも関わりがあります。
きちんと理解した上で身の振り方を判断しないと、今後の受注に関わってくるかもしれません。
この機会に、大まかにでも全体像を知っておきましょう。
まずはインボイス制度を理解するために必要な「消費税の仕組み」を説明した後、「インボイス制度」についてまとめていきます。
消費税とは
普段、スーパーやコンビニ、ネットショップなどで、私たちが商品を買う際に支払っている消費税。すっかり生活に溶け込んでいる存在です。
その消費税が、いつ、どこに、どうなっているのか、ご存じでしたか?
私たちがお店に支払った消費税は、そのままお店のものになるのではありません。
それぞれのお店や事業者が、お客さんから預かっていた消費税を1年分まとめて、消費税の確定申告のときに税務署へ納めていたのです。
たとえば、文房具店が手帳や筆箱などの商品をお客さんに売ったときは、消費税をお客さんから預かります。
そして、商品を仕入れるときは、文房具店が消費税を支払う側です。
消費税を税務署に納めるときは、基本的には「お客さんから預かった消費税」から「自分が支払った消費税」を引いたものを納めているのですね。
一例を挙げてみましょう。
文房具店で、お客さんが3,000円の手帳を買いました。消費税を入れて3,300円お店に支払いました。(消費税300円)
文房具店は、その手帳を2,000円で仕入れるときに、消費税を入れて2,200円支払いました。
(消費税200円)
文房具店は、お客さんから預かった消費税300円から、支払った消費税200円を引いた100円を税務署に納めます。
消費税の声(!?)で聞いてみると、以下の感じです。
ここまでよろしいでしょうか?
ちなみに、
商品を売って預かった消費税=「売上税額」
仕入れのときに支払った消費税=「仕入税額」
といいます。
このように、「売上税額(預かった消費税)」から、「仕入税額(支払った消費税)」を引いて、消費税の納税額を減らせることを「仕入税額控除」といいます。(←この言葉大事!)
自分も消費税を支払っているのだから、出した分は引いて納めたいですよね。
ただし、ここで注意点があります。
預かった消費税から支払った消費税を引ける「仕入税額控除」が受けられるのは、「課税事業者」だけなのです。
「課税事業者」とは、消費税を納付する義務がある法人や個人事業者のこと。
それは、売り上げが年間1,000万円を超える人(※)です。
(※)課税事業者かどうかは、原則として前々年度(2年前)や前年度1月~6月までの売り上げをもとに決められます
そして、課税事業者が、自分の支払った消費税を引くには、帳簿や請求書、納品書・領収書・レシートなどの保存が必要です。
まぁ確かに、「これだけ消費税を支払ってまーす♪」と口で言われても、税務署の人は納得できないですものね^^;
ちゃんと支払った証拠として、帳簿や請求書などが必要なのです。
一方、「1,000万円なんて稼いでいないよ」という私のような個人事業主にとっては、消費税の扱いはどうなっているのでしょうか?
実は、1年間の売り上げが1,000万円以下の事業主は、「免税事業者」ということで消費税を納めなくてもいいのです。(納税義務なし)
たとえば、売り上げ1,000万円以下の「免税事業者」ライターが、5,000円の記事を書き、消費税を入れて5,500円の報酬を受け取った場合。
消費税の声を聞いてみましょう。
となります。
私も最初は、「え!?このままもらっちゃっていいの??」と思いましたが、そういう決まりだったのですね。
(※その決まりが生まれた経緯について、こちら ↓ で詳しく解説されています)
【聞き流し】インボイス制度・消費税まとめ (中田敦彦のYouTube大学)
けれども、インボイス制度が導入されると、インボイス制度に対応しているライターは、消費税の扱いが次のように変わります。
いったい、何がどうなって、こうなったのでしょうか。
次からいよいよ、インボイス制度の正体にせまります。
参考:「Webライターも知っておきたい!消費税のしくみ 」(ライターBOX)
参考:消費税|国税庁 (nta.go.jp)
インボイス制度とは
ここから、インボイス制度について詳しくみていきましょう。
インボイス制度の「インボイス」とは、「適格請求書」のこと。
これまでの請求書は、日付や相手の名前・金額・自分の名前・振込先などが書いてあれば、それぞれ好きな形で大丈夫でした。
けれども、インボイス制度導入後は、税務署長の登録を受けた「インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)」が出した請求書(インボイス=適格請求書)じゃないと、認められなくなります。
請求書にインボイス発行事業者の登録番号が記載されていないと、ダメなんですね。
(※請求書についての詳細は後述)
(…長い漢字の単語が出てきたけれど、「適格請求書発行事業者」が最長です。あとは出てこないのでがんばって!)
インボイス制度に対応しているクライアントとライター、それぞれの場合で説明すると、以下のようになります。
例を挙げてみますね。
~~~~~~~~~~~~~~~
【課税事業者のクライアントが、8,000円の記事を受注して納品。8,000円の報酬を受け取り、800円の消費税を取引先から預かりました。
そのクライアントが、執筆を依頼したライターに、報酬5,000円と消費税500円を支払いました。
さて、クライアントが税務署に支払う消費税は、いくらでしょう?】
~~~~~~~~~~~~~~~
消費税の声で答えをざっくり説明すると、以下のような感じです。
前の「消費税とは」に記載したように、支払った消費税を差し引きできる「仕入税額控除」が受けられるのは、「課税事業者(※)」のみです。
(※)「課税事業者」とは、売り上げが年間1,000万円を超える、消費税を納付する義務がある法人や個人事業主のこと。
繰り返しになりますが、
課税事業者が「売上税額」から支払った消費税を差し引きするためには、インボイス発行事業者が発行した「インボイス(適格請求書)」が必要です。
もし、ライターがインボイス発行事業者じゃない場合、インボイスが発行できず、以下のようになります。
そうなると、課税事業者としては、
「えええ?
自分も消費税を500円支払っているのに、インボイスがないと、支払った分を引いてもらえないの!? 500円、うちが余分に払うことになっちゃうよ(泣)
じゃ、これまでライターさんたちに消費税を支払っていたけれど、インボイスに対応していない人には、消費税分を値引きしてもらおうかな……」
となりかねません。
もしかしたら、インボイス制度に対応していないと、取引先から消費税をもらえなくなるかもしれない(※)のです。
あるいは、
「このライターさんの請求書はインボイスで、このライターさんのはインボイスじゃない請求書か~。一人ひとり確認して、それぞれ別の処理をしないといけないから仕事が増えちゃったよ(ため息)
今後は、インボイス対応のライターさんだけに依頼しようかな……」
というように、事務処理が大変になることから、仕事の継続を見直されてしまう可能性も(※)……。
さて困った。
次は、いよいよ「自分はどうしたらいいの問題」についてせまります。
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(※)取引先が一方的に値下げを通告した場合は「下請法」に、また一方的な取り引きの打ち切りを通告した場合は「独占禁止法」に反する場合があります。
参考:課税事業者とは| 消費税(個人・法人) サポート情報 (弥生)
参考:Webライターも知っておきたい!インボイス制度の概要と対策 (ライターBOX)
「インボイス制度」自分の場合はどうしたらいいの?
「じゃ、インボイス制度、自分の場合はいったいどうすればいいの?」
そこが一番気になるところですよね。
結論を先にお伝えすると、
です。
おさらいすると、
「免税事業者」とは、1年間の売り上げが1,000万円以下の事業主を指します。
そして、「免税事業者」は、消費税を支払わなくてもいいのです。(納税義務なし)
消費税の申告や納付が必要ないため、「インボイス(適格請求書)」を集める必要もありません。
そして、インボイスを発行できるように登録手続きするかどうかは自由なのですね。
(1回、深呼吸~)
免税事業者がインボイスを発行できるようになるには、申請をして「インボイス発行事業者」になる必要があります。
そして、インボイス発行事業者として登録をうけるためには、課税事業者にならなければなりません。
課税事業者になれば、消費税の申告が必要になり、売り上げが1,000万円以下の事業主も消費税を支払うことになります。
さらに、自分が発行したインボイスの保存をしなくてはなりません。
「ええー、結構大変になるんじゃない??」って感じですよね。
冒頭でお伝えしたように、免税事業者がインボイス発行事業者に登録するかどうかは、仕事をする相手によります。
以下、3つのパターンにまとめたので、「自分だったらどれかな?」と考えながら読んでみてくださいね。
①企業クライアントさん(課税事業者)と仕事をしている割合が多い場合
企業相手のクライアントさんなど、課税事業者との取り引きが多い場合は、インボイスを求められることになる可能性が高いため、インボイス発行事業者になったほうがよいと思われます。
②個人や小さなお店などのクライアントさん(免税事業者)と仕事をしている割合が多い場合
個人や小さなお店など、免税事業者との取り引きが多い場合は、相手にインボイスが必要かどうか確認してみましょう。
たとえば、直接のクライアントさんが免税事業者でも、クライアントさんの取引先が課税事業者の場合もあります。
今は免税事業者でも、これから課税事業者に変わる可能性もあるので、そうなった場合、インボイスを求められるかもしれません。
それぞれの状況によって判断は変わりますので、よく検討しましょう。
③クライアントさんが課税事業者・免税事業者 どちらも半々の場合
クライアントさんが課税事業者・免税事業者 どちらも半々の場合は、今後のあなたの目標や仕事の方向性を考えて決めることになります。
将来、企業向けの仕事を増やしたいなら、インボイス発行事業者になっておくとよいかもしれません。
ちなみに、インボイス発行登録者になったあと、「やっぱり登録やめようかな」と思ったときは、登録の取り消しも可能です。
取り消しをする場合は、税務署長に「登録取消届出書」などを提出すれば、次の課税対象期間から登録が取り消されます。
(※詳しくは、国税庁の「インボイスQ&A(問14)」を参照。
ただ、法人向けでわかりにくいです^^; ひとまず取り消し可能ということを知っておいてください))
(参考)国税庁のチェックシートでも確認できる
国税庁が出しているリーフレットには、以下のような内容が記載されています。
こちら ↓ もわかりやすいので、参考にしてみてくださいね。
※「インボイス制度への事前準備の基本項目チェックシート」
インボイス発行事業者になる手続き方法
ここからは、「インボイス発行事業者になろう」と思った人向けの内容です。
インボイス制度の導入は2023年10月1日から、と聞くと、「まだ先のことだな」と思ってしまうかもしれません。
けれど、実は 2023年の3月31日までに登録申請書を提出する必要 (※)があります。
意外とあっという間に提出期限がやってくるので、ご注意を。
※2023年5月追記
令和5年度の税制改正により、これから登録される免税事業者の方は、登録希望日に登録できるようになりました。詳しくは後述します。
参考:国税庁
以下、
この2点についてまとめます。
手続きの手順(どこに何を出すの?)
インボイス事業登録者になるには、4つの手順があります。
ただ、4つも書いてありますが、
実際には「登録申請書を提出する」だけ(※)です。(出したら待つだけ)
紙で申請する場合は、「インボイス登録センター」に郵送します。
(「インボイス登録センターの管轄地域」 で、ご自身の郵送先を確認してくださいね)
e-Taxによる登録申請をする場合は、コチラ。
登録申請書をe-Taxで出す場合、作成する際に「登録通知書の電子通知」に同意すると、登録通知をデータで受け取れます。
データで受け取ることで、「無くさない」「早く受け取れる」などのメリットがあるので、気になる方はこちらも見てみてくださいね。
※2023年5月23日追記
現在、e-Taxで申請した場合は登録番号が届くまで1ヵ月半。
紙で申請した場合は、3ヵ月程度かかるようです。(※2023年5月12日 国税庁「申請手続き」より)
これから申請する場合は、それくらいはかかると考えておいた方がよさそうですね。
参考:国税庁リーフレット
「データ」で受け取ると「書面」に比べてこんなに便利!!
審査が終わったら、登録番号が届きます。
個人事業者の登録番号は、「T+13桁の数字」です。
(法人番号がある場合は、T+法人番号)
大切な番号なので、しっかりと保管や保存をしておきましょう。
※質問「インボイス発行事業者になるには、登録申請書を提出するだけ、とのことですが、その際、課税事業者になるための届出書は出さなくてもよいのでしょうか?」
提出が間に合わなかったときは?
もし、2023年3月31日までに登録申請書を提出できなかったら、税務署に相談してみてください。
困難な事情があり、どうしても申請書を出すのが間に合わなかった場合は、2023年9月30日までに税務署に提出すればよいそうです。(※)
たとえば、提出期限ギリギリにコロナに感染してしまい、対応できなかった場合などが考えられます。
参考:国税庁リーフレット
インボイス・必要事項と種類
インボイス発行事業者になったとしたら、次に気になるのは、「インボイスに何を書かないといけないか」ですよね。
以下の2点について、ご紹介します。
記載に必要な事項6つ
下の画像は、国税局のリーフレットに載っている、インボイス例です。
インボイスに記載が必要な事項は、以下の6つです。
インボイス制度後からは、これまでの請求書の様式に加えて、
①「登録番号」
④「適用税率」
⑤「消費税額」
の記載が新たに必要になりました。
①の「登録番号」については、大丈夫ですね。
④の「適用税率」とは、「消費税10%と8%のどちらで計算しているか」ということです。
以下、④「適用税率」と⑤「消費税額」の書き方事例をみてみましょう。
下の画像は、インボイス制度の前後で、請求書の適用税率の書き方がどう変わるのかを比較した画像です。
<左(黄緑)インボイス制度導入前><右(水色)インボイス制度導入後>
現在(2023年9月30日まで)の請求書は、適用税率について以下のように記載されます。
それぞれの税率ごとに、税込金額のみ記載されていますね。
インボイス制度が始まると(2023年10月1日から)、以下のように変わります。
形式は自由ですが、「消費税 〇〇円」というように、10%と8%の消費税がそれぞれいくらなのかを明記しないといけません。
インボイス4種類
インボイスの形式は、とくに定められていません。先ほど紹介した6つの項目が記載されていたらOKです。
そして、インボイスの種類としては、以下の4つがあります。
①電子インボイス
電子インボイスとは、仕入税額控除を受けるために必要なインボイスを電子データ化したものです。
たとえば、クライアントさんから求められて電子インボイスを交付する場合、以下の方法があります。
この辺りを詳しく知りたい方は、こちら ↓ で説明されています。
※電子インボイスとは?基礎知識やメリット・デメリットについて解説 |クラウド会計ソフト freee
②紙のインボイス
たとえば、「紙の請求書2枚と納品書1枚」というように、複数の書類やデータでもOK!
1枚にまとめる必要はありません。
③簡易インボイス
不特定多数の相手に取り引きをする「小売業」「飲食店業」「タクシー業」などは、買い手に対して、記載事項を簡単にした「簡易インボイス」を交付できます。(相手の名前を書かなくてよいなど)
スーパーやコンビニ、レストランなどで発行される、必要事項を記載したレシートも、簡易インボイスとして使えます。
④仕入明細書によるインボイス
インボイスは、売り手側が発行するものですが、買い手側が作成する「仕入明細書」でもインボイスにできます。
その際は、売り手に確認し、保存しておくことが必要です。
「電子インボイス」のメリット・デメリット
以下、気になる「電子インボイス」の、メリット・デメリットについてまとめます。
電子インボイスのメリット
電子インボイスのメリットをまとめると、次の4つです。
①データなので書類を保管する場所がいらない
インボイスを紙で管理していると、7年間保存しておかないといけないので、かなりかさばります。
けれども、電子の場合は、自宅や会社に保管場所を用意する必要がありません。
②必要な書類を探す時間や、なくしてしまうリスクを減らせる
「あ、そういえば〇〇年〇月の△△さんの請求書を確認したいな」
と思っても、紙の場合は、保管場所へ行き、ファイルなどを選び、その中から〇月の△△さんの請求書をみつけだす必要があります。
電子インボイスだと、検索したらすぐに確認完了!
(※すぐに検索できるようにしておくことなども義務付けられています)
そして、紙のように紛失してしまうこともありません。
③請求書のやりとりや手間が省ける
紙のように郵送したり、出社したりする必要なし。
封筒や切手を用意したり、ポストに投函したりする手間が省けます。
④電子インボイスに対応しているクラウド会計ソフトを利用すると、取り込みや処理などが楽になる
個人事業主がよく利用しているクラウド会計ソフトのなかには、インボイス制度に対応しているものがいくつもあるので、それらを利用すると、かなり事務処理が楽になります。
送られてきた電子インボイスをそのまま保存できるなど、それぞれ特徴があるので、これから導入を検討する場合は、インボイス対応もしっかり比較してみるといいですよ。
現在、クラウド会計ソフトを使っている方は、どのような対応になっているかを確認してみるといいでしょう。
電子インボイスのデメリット
電子インボイスのデメリットをまとめると、次の2つです。
①電子データ保存のルールを学ぶ必要がある
電子インボイスを発行したり、クライアントから発行されたりした場合、「電子帳簿保存法」に準じてデータを保存する必要があります。
詳しくは、以下の国税庁のパンフレットで、わかりやすく解説されていますのでご確認ください。
②相手によっては手間になることもある
クライアントが、社内ルールで紙の請求書を使っている場合があります。
そのようなときは、こちらがPDFなどの電子インボイスを送ると、相手は紙で印刷して保管する、などの手間が増えてしまいます。
電子インボイスを使う際は、クライアントに確認するとよいでしょう。
要チェックや!簡易課税で節税できる(かも)
という、そこのWebライターさん。
ご安心ください。
そんなあなたを助けてくれる(かもしれない)制度があるのです!
それが、
\ 簡易課税~!/
(ドラえもん風にお願いします)
「簡易課税」とは、細かい計算はなしで、
「この職業だったら、仕入れにこれくらいの消費税が必要だよね」
と、事業ごとに決められた消費税の割合(みなし仕入率)で計算できるものです。
ライターの場合、第5種事業のサービス業になるので50%です。
しかも、消費税の節税ができる場合があるのですね。
次に、消費税の計算方法と、簡易課税を受ける条件についてお伝えします。
消費税の計算方法
「よし、簡易課税だと消費税の節税ができるんだね ♪
しかも 細かく計算しなくていいんだったら、 ちょっと届けを出してくるわ!」
/
ちょっと待ったー!
\
簡易課税にすることで、多くのライターにとってはお得になるかもしれませんが、もしかしたらあなたの場合は損してしまうかもしれません。
消費税の計算方法について、一度確認しておきましょう。
消費税の計算方法は2つあります。
原則課税では、取り引きでもらった消費税に加えて、自分が支払った消費税を全てきちんと記録し、計算しなければなりません。
簡易課税では、売り上げにかかった消費税のみで計算するので、経費として支払った領収書を集めなくてもよく、こまかく計算する必要なし。(←これはうれしい♪)
リモートで仕事をしている一般的なライターと、全国を飛びまわる取材ライターの場合で例を挙げ、消費税の金額を比較してみましょう。
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<一般的なライター:売り上げ10万円、経費4万円の場合>
-----------------------
あら、簡易課税だと、細かい計算や作業がいらない上に1,000円お得ですね♪
次に、地方にもガンガン取材に行くライターの場合でみてみましょう。
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<全国を飛びまわる取材ライター:売り上げ10万円、経費6万円の場合>
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なんと、こちらの場合、簡易課税だと1,000円損してしまいます。
たとえば、「取材で交通費や外食費、宿泊費が多くかかる」とか、「スキル取得のための教材費や講座費用が多い」というようなライターは、支払った消費税が多くなることも。
また、大きな買い物(パソコンなど)をするときにも注意が必要です。
まずは一度、自分がどれくらいの消費税を払っているのかをざっくりと計算してみましょう。
あまりにも消費税を多く支払っているようでしたら原則課税がおすすめですが、簡易課税には「事務処理の手間がかなり少なくできる」というメリットもあります。
自分の場合はどちらにメリットがあるかを比較しながら、原則課税にするか簡易課税にするかを、じっくりと検討しましょう。
簡易課税にするための条件
自分が支払っている消費税を計算してみて、
「やっぱり、簡易課税にしよう!」
と思った場合。
簡易課税にするには、以下の2つを満たしていることが必要です。
届け出自体は、「消費税簡易課税制度選択届出書」という書類を税務署に出すだけです。
簡単そうですね♪
(※スミマセン、最後にラスボス級の長い専門用語が残ってましたm(_ _)m)
ただ、一度届け出をすると、原則として2年間は変えられないので、長期的な視点からじっくりと検討しましょう。
ちなみに、複数の事業をしている場合、それぞれの売上高を把握する必要があります。
たとえば、卸売り業(みなし仕入れ率90%)とライター業(みなし仕入れ率50%)をしている場合。
本来ならそれぞれのみなし仕入れ率が適用されるのですが、経理の処理を一緒にしていると、全部低い方の50%が当てはめられてしまうので、要注意です。
簡易課税の届け出について、詳しい手順や注意事項はこちら ↓ を参考にしてください。
※消費税簡易課税制度選択届出手続|国税庁
インボイス制度はこわくない!
今回、インボイス制度を少しでも理解するために、さまざまな動画や本、記事、資料などを調べ、税理士の柴田さんにお聞きしたことで、「得体の知らない何か」の正体が少しずつ見えてきました。
これまでは、税金や法律と聞いただけで「難しそう」と腰が引けていましたが、
「あれ?ちょっとわかってきたかも」
「消費税って、こんな仕組みだったんだ!」
など、少しずつ面白くなってきています。
そして、
「きちんと知っておかないといけないな」
と、消費税やインボイス制度に目を向けられるようになってきました。
(やったー♪)
このnoteを読んでくださったあなたにも、「インボイス、読む前よりもなんとな~くわかってきた」と思っていただけたなら、うれしいです^^
そして、今回この記事を監修し、質問にも回答してくださった、税理士の柴田慶一さん。
丁寧にわかりやすく教えてくださって、ありがとうございました!
もし、このnoteがインボイス制度を理解するのに、少しでもお役に立てたなら、同じようにインボイスがわからなくて困っている方に届けられるよう、シェアしていただけると有難いです。
こちらもおすすめ!
※今回私がインボイスについて学んだ参考資料を載せておきますので、より深く理解したい方はのぞいてみてくださいね。
<参考>
消費税(国税庁)
適格請求書等保存方式の概要 インボイス制度の理解のために(国税庁)
簡易課税制度(国税庁)
消費税簡易課税制度選択届出手続(国税庁)
<参考動画>
「消費税 インボイス制度特集」(国税庁動画チャンネル)
【聞き流し】インボイス制度・消費税まとめ(中田敦彦のYouTube大学)
<参考記事・資料>
Webライターも知っておきたい!消費税のしくみ(ライターBOX)
Webライターも知っておきたい!インボイス制度の概要と対策(ライターBOX)
課税事業者とは| 消費税(個人・法人) サポート情報 (弥生)
<執筆協力>
ライターゼミ
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