第87話 精神科への1歩
前の記事です▼
キンキンに冷えている心のまま、数日間が過ぎていきました。
どこかのマンションかアパートの階段から飛び降りようか、歩道橋から飛び降りようか。
そういえば、そんな後処理する仕事の透析患者さんがいたな。
やめよう。
泳ぎ方も知らないし、海がいいか。
とにかく自宅で首吊りは、やだな。
シャント切るのもやだな。
自殺者を出した家は、結婚に支障が出るか。
兄も妹も、困るな。
この体、捨てたいんだけどな。
いらない、使いたくない。
ふらふらと近所の漫画喫茶で、パソコンの部屋もありネットで調べても、自殺を止めさせようとするものが出てきます。心の電話だの色々。
電話程度で解決出来ない。
一気に50歳以上先の未来へ行けたらいいのに。
死ぬ間際でいい。
どんな状態でもいいから、その状態になりたい。
もう長く耐えたくない。
妹だけは幸せになってほしい。
死ねないか。。
精神科、、、
でも移植にまつわる話が出来る精神科てあるのか?しかも、色々な病気も分かる精神科医って?
カタカタカタ
『精神科 移植』
ん?この人は?
プロフィールを見ると船医や名古屋第二赤十字病院精神科の勤務経験がありました。移植手術するなら、この病院と決めていた病院でした。
この人なら、話せるかもしれない?
生体腎移植の最終意思確認をするのに、精神科へ行くことがあると聞いた事がある。
話せるかもしれない。
予約を取り、当日、その病院の入っているビルの前に来ました。
(31歳の6月でした)
運命の分かれ道か。
1歩踏みだしビルへ入りました。
その病院は4階にありました。かなりお洒落なアンティークな椅子が並んでいます。
普通の病院とは違いました。
ありがちなヒーリングミュージックが流れていました。
棚には土器と30冊程度の本。
本の種類は大仏や絵本や猫の漫画まで。
雑誌はありません。変わった空間です。
呼ばれて会った医師は、小太りで胡麻塩頭の丸眼鏡をかけた柔和な顔立ちの人でした。
「今日はどうしたの?」
話し始めると溢れ出した涙で、声もまともに聞き取れないような私になっていました。
それから週に1回のペースで、カウンセラーさんからのカウンセリングを1時間以上受け、涙でぐしゃぐしゃになりながら話し続けました。
カウンセリング後に診察を受け、薬が処方されました。
心の風邪?
風邪程度には思えません。
カウンセリングを1年近く受け続けました。
精神科に自分で行く時の1歩は、勇気出したね。
自分を助けれるのは、他の誰でもない自分なんだよね。
声を出して泣ける場所、やっと見つかった。
よかったね。
次の記事です▼