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バリキャリが育休取ったら、楽しいから延長することにした

2023年7月に特別養子縁組でラオスより1歳の息子・一生を迎え、前後して6月に実子・二葉を出産。フランス人のパートナーと、家族4人でパリ在住。

今年の4月後半に産休・育休に入り、はや7か月経過。当初の予定では、そろそろ職場復帰しているか、間近でそわそわしているであろう時期です。

パリにいる友人や同僚と話していても、「まだ育休中?もうそろそろ復帰?」っていうスタンスで話が進む。産前・産後休は4か月で日本と大して変わらないと思うけれど、その後の育休のスタンダードが違うと感じる。

私の個人的なイメージからいうと、変わりつつあるとはいえ、「こどもはお母さんと一緒が一番」が根強い日本やドイツは、母親が1年くらい育休とっても驚かれない。

反対に、社会保障のサポートがあまりないアメリカやイギリスは、3か月くらいで産後休が過ぎるとさっさと職場復帰する。

フランスはその間くらいで4~6か月くらいで戻る人が多いような気がする。育休のサポートは会社の福利厚生でだいぶ変わるので、そこらへんの事情にも左右される。

ところで、私は「バリキャリ」だった。
何をもってバリキャリとするかは微妙なところだけれど、新卒で米系投資銀行を振り出しに、NYで日系銀行、パリで仏系銀行で働き、今は不動産アセットマネジメントの会社。パートナーと同等に稼ぐことは、私にとってそれなりに大事な指標でした。

NYでは同じくらい稼いでいたのに、パリに来てからしばらくはパートナーと収入差が5割くらいあって、かなり自尊心が傷ついたこともあったけれど、それはまた別の機会に。とりあえず私にとって自分で稼ぐことは男性と変わらないレベルで重要だった、ということだけわかっていただければ。

なので、ずっと「仕事と育児の両立は当たり前」だし、「産休あけたら、こどもは保育園にぶちこんでさっさと職場に戻るよね」と思っていました。「ずっとこどもといて、社会から孤立なんてメンタル崩壊しそうだしな〜」とか。

ところが、いざ、自分が、その立場になってみると、全然予想と違いました。

長く育休を取る人って「仕事がしたくない」のかと思いましたが、大半の人はそうではなくて、「仕事もしたい/仕事をするのはやぶさかでないけど、後からでもできる」から、「この猛スピードで成長するこどもを見逃したくない」のほうが近いのかもしれない。このことに半年経ってようやく思い至ったのは発見でした。

私でいうと、これまで社会人を15年くらいしているわけで、たぶん今後も30年とか続くのに、なんで半年しか休めないと思ったんだろうって不思議なくらいです。

長く社会人をしていれば、仕事から得られる新しい経験や達成感は逓減していくし、それが普通なのではと思う。

一方、こどもがもたらすインパクトはすごい。

一生が1歳で我が家に来てからまだ5か月。その間に、1人で立つようになり、歩くようになった。もうハイハイする赤ちゃんじゃない。4本だった歯が8本になって、自分でスプーンを持つようになり、いろんなものを食べるようになったし、コップから水を飲めるようになった。絵本を楽しめるようになった。バイバイができる。何かできるようになるたびに、こちらを満面の笑顔でみる。私たちが拍手すると、本人もパチパチと手を叩いて、本当に誇らしそう。

二葉は、今もまだ「赤ちゃん」だけれど、体重が生まれた時の倍になって、ずいぶん大きな赤ちゃんになった。表情が出て、視線で何もかも吸収している。ベビーカーから動く雲を楽しそうに眺め、私たちの顔をみて笑顔を返してくれる。しばらく寝返りを練習をしていたけれど、コツを掴んで、今は腹ばいで周りを見渡せる。離乳食も始まった。6か月あっという間。

なので、まだこどもを見ていたいという欲求に素直に従うことにして、育休6〜9か月の予定を、1年に延ばすつもりです。

この心境にいたったのもすごく周りに助けられていて、

・最初の3か月は、日本から両親に来てもらったり、義両親にも手伝ってもらったり、パートナーも仕事していなかったりで、使える手段をフルに使って、自分は体力・気力の回復に集中できた

・フルタイムではないにせよ、一生は9月から、二葉は10月から保育園に入れたおかげで、自分の時間が捻出できるようになった

ことが大きかったと思います。

逆にいえば、産後からワンオペだったり、長期間にわたって自宅保育だったら、正直こんなふうに感じる余裕があったか、甚だ疑問です。ほぼ確実に職場復帰していたと思います。まだハイハイもできない二葉はともかく、さらに1歳のわんぱく男子をずーっと相手にする、のは無理です。育児はそれくらい重労働だから、会社行ったほうが少なくとも育児という重労働から逃れられる。確実にコーヒーを飲む時間は確保できる。

でも、幸いにもパートナーと保育園のおかげで自分の気力・体力が適正レベルを保ててるので、もっとこどもを見ていたい!という気持ちが湧いて、真剣にもう少し育休の期間を延ばすことにしました。

こうやって書いてて、気持ちがいよいよ固まってきました。よーし、来週会社に言うぞー。

こどもふたり、毎日毎日できることが増えて、その目撃者になれるのって、仕事で得られる経験とは全く別物。

不妊治療を5年経験して、パートナーとふたりでやっていく人生も考えていたし、新しい発見に満ちた人生はいくらでも作れると思うけれど、目の前のこども2人がそれをもたらしてくれるのに、見逃す手はない。

そしておそらくこの考えはまだ変化している最中で、今さらながら、自分の「こうあるべき」という思い込みが、ぱらぱらと剥がれてきているのを感じます。来年以降、どういう働き方をしたくなるかを含め、新しい自分を発見するのは楽しい。

それにしても、最近は育休のこと、育業って言うのね?初めて知ったわ。

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