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編集者の「頭の中」ってどうなってるの? 特集企画の制作プロセスをすべて公開

こんにちは!GW明けですが、今年はスムーズに社会復帰できている(気がする)SELECK編集長のやまもと(@hanahanayaman)です。

編集部マガジンでは、いつも新着インタビュー記事の「取材背景」をお伝えするようなnoteを出しているのですが、今回は趣向を変えて、特集記事の制作プロセスにおける、私の脳内を公開してみたいと思います(笑)。

SELECKでは、昨今の新型コロナによる在宅ワークの増加に伴い、4月に「リモートハック」をテーマにした特集記事を4本連載しました。

第1弾(4/15):6社のイチオシ「リモートハック術」大公開!タスク管理、Web会議の工夫、各種手当も
第2弾(4/16):業務の自動化、Web商談、全社会議の工夫も!6社のイチオシ「リモートハック術」大公開
第3弾(4/23):リモート環境でもチームのパフォーマンスを最大化!6社の「マネジメント・ハック術」
第4弾(4/30):リモートで新入社員をどう受け入れる? 7社の「オンボーディング・ハック術」を公開!

我ながら良いスピード感で、時流にあわせた企画から記事制作まで実行できたかなと思うので、実際の制作プロセスを公開しつつ、特集記事の企画・取材・執筆のコツをまとめてみます。

結構長いですが、コンテンツ作りのご参考になればと思い、可能な限り思考を言語化してみました。ご興味のあるパートだけでも、ぜひ読んでいただけたらと思います!

1. ニーズを検証する

本企画の最初のイメージは「リモートワークに役立つ記事」をSELECKでなにか出せないかな〜というざっくりとしたものでした。

ただ「リモートワーク」をテーマにした解説記事は以前にも出しているし、いま必要な情報をふまえた記事を作りたいなーと。

そこで在宅勤務の企業が増えてきた3月末に、Twitterのアンケート機能を使って、ごく簡単なニーズ検証をしてみました。

いま振り返ると、粒感の違うざっくりとした選択肢を設けてしまったのですが(笑)、回答者の半数が「リモートワークのハック術」という結果に。

1on1も会議もリモートワークの一部なので、広義で言えばすべて「リモートワークのハック術」ではあるのですが、読者目線からすると「ハック術」というキーワードに反応するのかなと推測。

そこで「リモートハック」をテーマにした特集記事を、具体的に企画することにしました。

2. 企画を立てる

特集の企画を立てるときは、ざっくり以下の3つを考えます。

① ターゲット読者は?(読者の属性は? どんなシーンで読まれる?)
② 企画の切り口は?(他記事との差別化は? どこが関心を引きそう?)
③ 公開の時期は?(どの時期に、どのテーマを出したら良さそう?)

ちなみに、上記はインタビューの企画を作るときも基本的に同じです。

① ターゲット読者は?

3つのうち、まず考えるべき最も重要な要素は「誰に向けた記事なのか」。これは職種などの属性だけでなく、どのような課題感を持っている人かなど、なるべく具体的にイメージできるといいです。ここがブレると、切り口も外します。(今回はテーマから先に決めたのでイレギュラーですが。)

今回の場合は、「主にIT・ベンチャー界隈の企業に勤めており、リモートワーク自体の経験はあるけれど、全社フルリモートになって課題を感じているビジネスパーソン」をターゲット読者にしました。

上記にした背景としては、個人Twitterのフォロワーさんがベンチャー界隈の方が多いことと、個人的な肌感覚(全社リモートではコミュニケーションなどの新たな課題が生じる)があったからです。

② 企画の切り口は?

次に、企画の「切り口」を考えます。大テーマは「リモートハック」で決まってましたが、連載で出すにあたり、もう少しテーマの具体化が必要です。

結論から言うと、今回は以下の3つにしました。

① 各社イチオシのリモートハック術(=ターゲット読者全般向け)
② リモート・マネジメント術(=主にマネジメント層向け)
③ リモート・オンボーディング術(=主に人事、メンター向け)

①は、ターゲット読者全般に向けた「リモートハック術」。ただのハック術ではなく「各社イチオシ」を切り口にすることで、ありきたりではない事例収集 + ターゲット読者の関心を引くことを目指しました。

一方の②と③は、ターゲット読者のセグメントをより細分化した企画です。

これらに関しては、以下のTwitterアンケートで得られた結果とスレッド返信のコメントから、切り口の着想を得ました。

① リモートハック術の次に得票が多かったのは「リモート1on1のコツ
② スレッド返信にて「リモートでのday1 特集読みたいです!入社日の工夫はかなりありそうかなと」というコメントあり。

ふむふむ。で、実際にどう考えたかというと…

①「リモート1on1のコツ」の選択肢を選んだ方は、おそらく1on1のメンターをしてる人。主にマネージャーであるはず。1on1に限らず、マネジメントにおける潜在課題は結構ありそう。

②「リモートでのday1」はもともと自分のアイデアにはなかったけれど、たしかにオンボーディング特有の課題も今後起こってきそうだな。特に人事には刺さるかもしれない。

みたいな感じです。ターゲット読者の中でも、特に「マネジメント層」「人事(+現場のメンター)」向けにそれぞれ特化したテーマの記事が作れそうだなと考えました。

③ 公開の時期は?

上述の流れで、3本の企画ができました。それをどの順番で(どの時期に)公開するか? も大事な観点です。

今回は下記①〜③の順番で公開したわけですが、これにも意図があります。

① 各社イチオシのリモートハック術(4/15, 16公開)
② リモート・マネジメント術(4/23公開)
③ リモート・オンボーディング術(4/30公開)

考えたこととしては、「連載企画は最初が肝心(=イチオシ企画を頭に)」「マネジメント課題は徐々に表出しそう」「オンボーディングはGW明けの配属や中途入社に合わせると良さそう 」の3つです。

たまにSELECKで連載や前後編の記事を出すときの経験則として思うのは、連載企画は「1本目」が一番伸びます。2本目以降は、徐々に落ちていくのが基本です。実際、今回もそうでした。(逆に尻上がりに連載が伸びているメディアさんがあれば、そのナレッジを共有していただきたい…!)

なので逆に言うと、1本目でコケると2本目以降がかなり怪しくなります。出し惜しみせず、最初にイチオシのネタを持ってくるのがおすすめです。

また、一番読まれそうな「時期」を考えてみます。

リモートワークにおいては、①在宅での業務環境の整備 → ②コミュニケーション → ③ メンバーのマネジメント みたいな順で問題が生じてくるかなと推測していました。

余談ですが、次になにか企画するとしたら「リモート環境下での人事評価」とかかな〜と思ったりしています。リモートの影響が大きい事業 ・小さい事業(職種にもよるかも)、アウトプット評価の難しさ(従来と違う事業環境、メンバーの行動の見えづらさ)みたいな課題がすでに出ていると思うので、評価時期に合わせて記事を出すと読まれそう(純粋に読者に役立ちそう)。これは予告ではありません。余談です。

3. 取材する

サクッと書こうと思っていたのに、長くなってきました。半分は書き終わりましたので、もう少しお付き合いいただけたらと思います。

企画案ができたら、それを企画書にして、取材先に打診します。今回はスピード重視かつ事例数も多く集めたかったので、テキストベースで完結する流れで進めていきました。

特に隠すようなものでもないので、実際の企画書も公開しちゃいます。

▼実際の企画書。いつもesaで共有してます( ⁰⊖⁰)/ 

企画書① 各社イチオシのリモートハック術
企画書② リモート・マネジメント術
企画書③ リモート・オンボーディング術

どんな内容かは、上のリンクから実際に見ていただけたらと思いますが、テキストベースの取材の場合、私が特に意識しているのは以下の3点です。

① 何に回答すればよいのかを明確にする
② 記事のアウトプットイメージを伝える
③ 公開日をFIXし、スケジュールは余裕をもって進める

当たり前じゃない…? という気もしますが(笑)、いくつかの実践を経て結構重要だと思っているので順に説明します。

まず対面取材とは違って、テキストにおいては「1問1答」形式で依頼事項を明確にするのがおすすめです。

たとえば「各社イチオシのハック術」の場合であれば、こんな感じ。

ヒアリングしたい事項

・貴社オススメのリモートワークのハック術(※なるべく具体的に)
・上記のハック術が生まれる以前の課題感、生まれたきっかけ
・上記のハック術を、うまくワークさせるための工夫(運用で気をつけるポイント)
・おすすめのポイントや、社内の声

多すぎても回答が大変なので、目安としては3〜5つくらいでしょうか。ハック術のイメージがずれないようにするため、企画背景の共有や、例示なども大切です。(※実際の企画書を見てみてください。)

2点目のアウトプットイメージについては、「何社のまとめ記事なのか」「1社あたりのボリュームはどれくらいか」「どのようなトーンで記述されるのか」が伝わるように意識します。(以下、該当箇所)

今回は、SELECKで過去取材させていただいた企業様の中から、6〜8社ほどにお声がけさせていただいております。

ご回答いただいた内容をもとに、1社あたり1,000〜1,500文字程度の長さで、以下のような特集記事として編集させていただきます。

▼ご参考:各社の特集記事
【5社に緊急取材】オンラインイベント・ウェビナーを成功させる!各社のノウハウ大公開

過去に類似記事があれば、それを参考イメージとしてお伝えするのがベストですが、ない場合には架空の事例を自分で作ってみて、サンプル記事として共有したりもします。

また、「いただく回答とアウトプット(実際の記事)は別物」だということも、きちんとお伝えした方がいいです。(以下、該当箇所)

ご回答につきましては、文字数の制限はございません。また、原稿の事前チェックが可能です。

「回答をもとに編集する」だけだと伝わりきらずに、アウトプットイメージのためにお伝えした字数に合わせて、丁寧にご回答くださる方もいらっしゃいます。無駄なお手間をかけないように、明確にしましょう。(自戒)

最後のポイントですが、複数社から回答を集める場合、記事の公開日をFIXさせて、公開までのスケジュールを明確にしておいた方がいいです。

かつ、回答の締め日から公開日までは、確認⇆追加依頼のやり取りが何往復か発生することもあるので、なるべく余裕をもったスケジュールにします。

このやり取りをなるべく減らすためには、先ほどあげた「回答いただく事項を明確にすること」に加えて、「いただきたい画像があれば最初にお伝えする」「事例に被りがある場合を考慮して、可能であればネタを2つご提供いただく」などの工夫をするといいです。(自戒2回目)

(唯一この方法にしたハック術の企画は、比較的スムーズに進みました。)

……企画書作成の話だけでだいぶ長くなってしまいましたが、「取材打診する先をどのように選んでいるか?」についても、最後に補足しておきます。

言うまでもないですが、今回の企画は事例がすべてです。最初に考えた「ターゲット読者」の目線で、以下2つをポイントに企業を選びました。

① 尖った事例を持っていそうか
② 読者のパイが狭すぎないか

なぜ、この2点か。

ひとつめの「尖った事例を持っていそうか」に関しては、読者の期待値ギャップを生まないようにするためです。

想像してほしいのですが、「リモートハック術」というタイトルの記事で、たとえば「オンライン会議にはZoomを活用しています」といった事例が紹介されていたら、期待外れに感じませんか? 

タイトルで釣って内容の乏しい記事を出してしまうと、記事シェアが起こらないどころか、媒体の価値を下げるので絶対にしません。 

ふたつめは、とはいえ「読者のパイ(広さ)」を考えようねという観点です。というのも、Web記事は冒頭が肝心なので、目次のラインナップが知らない企業ばかりだと、いくら事例が良くても離脱されやすくなります。

今回は、SELECKで過去取材した経験をもとに、尖ったハック術をもっていそうな企業をざっとピックアップ(肌感覚)。そしてスタートアップからメガベンチャーまで、企業規模や一般的な知名度のバランスを考えました。

結果として、全部で18社に打診し、14社にご協力いただくことができました。(お忙しい中ご対応いただいた各社様、ありがとうございました!)

4. 記事を書く

ふー。読む方も疲れてきますよね。(これも記事制作において大事な視点ですが、今回は無視します←)

ここまできたら、あと少しです!事例が集まったら、最後のお楽しみ「編集」のお時間です。

記事の書き方の基本については、また別のnoteにでも書くことにして、特集記事における編集のポイントに絞ってお伝えします。

① 事例ごとの「特徴」を整理する
② 不要な情報は大胆にカット
③ 各社の情報ボリューム・粒度を揃える

まず最初にすべきは、事例ごとの「特徴(=フィーチャーすべき部分)」の整理です。記事の小見出し(=目次イメージ)にあたる部分になります。

各社イチオシのハック術については、事例収集のときにネタ被りないよう調整していたのでそれを書くだけでしたが、マネジメントとオンボーディングについては、回答を集めたあとに各社の特徴を整理しました。

<実際の、マネジメント・ハック術のときの整理メモ(敬称略)>

・bosyu→ 雑談を意図的に生み出す(雑談チャンネルとシャッフル1on1)
・GMOペパボ→ 1on1とOKRでコミュニケーション密度を高める
・ベルフェイス→ 平常時と変わらぬコミュニケーションを実現(オンライン会議室)
・アカツキ → いかに情報格差をなくせるか(オンライン議事録)
・ベーシック → 組織の一体感を醸成する(この文脈で施策をいくつか)
・RELATIONS → 他社とのバランスをみて適当に(1on1に尖らせるかも)

整理できたら、全体の流れがつながるように並べてみます。

<上記を並び替えて、小見出しで特徴を出してみました>

気軽に相談できる「オンライン会議室」を常時設置 / ベルフェイス
② メンバー間の「情報格差」を防ぐ、議事録の共同編集 / アカツキ
事業成長を鈍化させない!OKRと高頻度の1on1を実施 / GMOペパボ
④ 進捗を共有し、マネジメントのアクション頻度を上げる / RELATIONS
雑談を意図的に生み出す、シャッフル1on1と分報チャンネル / bosyu
⑥ 社内報やWeb会議の「壁紙」で、組織の一体感を醸成 / ベーシック

どうでしょうか。各社の特徴が伝わりますか…?

次に重要なのは、特徴にフォーカスして書くということ。企画書のヒアリング項目は「1問1答形式」にすると言いましたが、そのまま使うと読みづらい記事になってしまいます。不要な部分は大胆にカットして、特徴のある部分を厚めにします。

最後に、ざっと書き終えたら、各社の情報ボリュームや粒度を整えます。

実際の回答の長さは、企業によって全然違うのですが、特集記事として並べる際には情報のボリュームがなるべく同じになるように足し引きします。

細かいところでいうと、「株式会社」「〜社」どちらで統一するのか、社名やサービス名にはリンクを入れるかどうか、などの情報も揃えます。

5. ついに完成!!!

以上のプロセスを経て、ようやく完成…!実際に公開された記事はこちら。

第1弾:各社イチオシのリモートハック術(4/15公開)

第2弾:各社イチオシのリモートハック術(4/16公開)

第3弾:6社のマネジメント・ハック術(4/23公開)

第4弾:7社のオンボーディング ・ハック術(4/30公開)

Twitterでのニーズ検証から1ヶ月で、4本の記事を公開できました。(企画立案や編集以上に、14社と確認のやり取りをするのが大変だったw)

特に1本目の記事は、Twitter上でも多くの反響をいただきました。バズまでいかなかったけど、結構良い企画になったかなと思います。

反省点としては、タイトルサムネですかね〜。クリエイティブ制作が本当に苦手で、サムネ画像の作成はいつも苦戦。内容が良くても読まれないと伝わらないので、ここは改善していきたいところです。

はい。ということで、以上になります!気が付いたら7,000字(書きすぎ)。長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました!!お疲れさまでした。

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