私が採用を担当することになったのは。

そもそも私が今まで全く携わることがなかった職種を担当することになったのは、育児休暇復帰がきっかけ。
今までは、店舗の事務兼受付をしていたが、職場復帰の際、店舗には戻れなかった。それが正直残念で仕方がなかった。

私は、この店舗に必要なかったんだなぁ。
私の代わりは誰だってよかったんだ。

そんな気持ちが強かった。店舗で働いている中で、自分はこの店舗には必要なんだと、私の代わりは他の子には勤まらない。だから、この店舗に復帰するんだと、心底思っていたから、その想いを裏切られたという気持ちでいっぱいだった。
第三者からみれば、自分で仕事ができる子って思っている時点で、あり得ないと思われるかもしれないけれど、それだけ自分の仕事にプライドを持っていたのだから仕方ない。

復帰と同時に人事異動。異動先は本社だった。本社での事務だったが、店舗経験があって、産休・育児休暇を取得した先輩社員として、採用担当者のサポートをするように言われた。
何度か合同企業説明会に行ってみたが、私はそもそも高卒で今の職場に就職したので、“就活”というものを知らずに今まで生きてきた。だから、わたしにとって合同企業説明会という場自体が、未知の世界だった。

何も知らない私は、もともとの担当者(私より20も上の男性)のやり方が正しいのか、間違っているのかも分からないけど、はっきりと言えたことは、

そんなことを学生は聞きたいのか?

ということ。
しかし、採用に関して何の知識も経験もない私が、こんなこと言っていいのかという思いもあり、とりあえずのサポートを続けた。

その時の上司は(のちに当社の専務になるのだが)採用や教育に関してとても関心があり、よく私に

採用の仕事はどう?

と聞いては、色々アドバイスをくれた。やってみたいことがあると、チャレンジしてごらんと言ってくれた。
何が正解で、何が失敗なのか分からないけど、ただ事務の仕事をするよりも、数倍楽しかった。

そんなある日、上司が私に言った。採用に力を入れている、とある企業の社長の講演会に、“参加したら、何かヒントがあるかもしれないよ”と。
いつもの私なら、そんな面倒な講演会に行っても、眠いだけだろうと断っていただろうけど、私の考えていること、感じていることが正しいのか。それとも間違っているのか、確かめたい気持ちの方が強く、即、“行きます!!”と返事をした。

当日、その講演会の会場に着くと、まず思ったのが、

場違いなところに、来てしまった...

だった。とても有名な講師で、参加している人といえば、地元でも有名な企業の、いかにも偉い人。私は当時20代後半で、そんな歳の参加者なんているはずもない会場だった。

でも、まぁ、話を聞いて確かめたいという課題があったので、聴くことに集中すれば、そんなこと全く気にはならなかったのだけど。

グループワークなどもあり、4時間ほどの講演会だったが、正直あっという間だった。聞いたこともないような話を、とても面白く話してくれる講師は、私がそれまで生きてきて出会うことがなかった人種だった。そして、今思えば、その講師に出会っていなければ、今の仕事にやりがいすら感じることもなかったかもしれない。
要するに、私が考えていること、思っていること、それは正しいと証明してくれた人物だったのだ。

その日のうちに会社に戻って、上司に言った。

私に採用の仕事を中心にやらせてもらえませんか?

上司は何の迷いもなく、チャレンジしてみなよ!と背中を押してくれた。
その日から、私は採用担当になった。

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