【読書記録】機嫌のデザイン-まわりに左右されないシンプルな考え方-
仕事の帰り、駅の書店でたまたま見つけて手に取った。
最初の数ページを読んだあと、迷わずすぐレジに持っていき購入した1冊。
デザイナーなら「そうそう、それ!」と共感することばの数々はさることながら、日常生活から対人関係など心理面においても、オトナのわたしたちがつい余分に背負ってしまう思考のクズのようなものを、どんどん振り落としてくれる、そんな1冊。
69歳、プロダクトデザイナーの秋田道夫さん。
大手メーカーで製品機器のデザインを手掛けたあと、フリーランスとして独立された。
駅の交通系ICカードのチャージ専用機など、誰でも日常で馴染みのある製品のデザインを手掛けているデザイナーさん。
ヒトコトで言って、
「そう、こんなオトナになりたいのよ。」
と読書後に感じずにはいられない、
休日に本を持って自然の多いカフェで読みたくなるような、さわやかでシンプルなインタビュー形式の本だった。
18年この業界でやってきて日々思うのは、
デザイナーという仕事は「思いやり」の体現だということ。
企業や個人の持つ思考や理念、サービス体系をわかりやすく美しく整理し、目に見えるカタチで表現する。
18年の月日の中では色々あったし、色んなサービスや商品と出会えた。
若い頃は体力にまかせて、かなり無理もしてきた。
そういう"無理"こそが、クリエイターの姿そのものだと思っていたから。
大学で映像をやっていた時から、コロコロ椅子を繋げて寝るのは得意だったし、会社に入っても、週2日は会社の椅子で寝ていた。(笑)
当時、毎週水曜下版の新聞折込チラシをやっていたのだ。
だいたい、締め切りの前は夜中ギリギリまで修正が続く。
夜中1時2時まで仕事して、3時頃椅子で寝て、朝起きて、そのまま仕事。
よくやっていたと我ながら思う(笑)
でも、今この歳になって思うけど、そういう時代も大事なんだけど、
結局、無理があるものは続かない。
大事なのは、余白を残した形で、無理なく、息長く、続けることなんだと。
わたしもそういう意味では、とても肩の力が抜けた。
20歳〜40歳にいたるまでの20年間、様々な経験をし、あらゆる業界の職種においてクライアントと対面し、デザインをし、小さな、それでも自分なりに広い視野を養ってきた。
風の時代と言われて数年たつ。
スピ用語を毛嫌いするヒトでも、世の中の動向が変わってきているのは否めない昨今。
昭和の学生時代、水も飲ませてもらえずに、終わりが見えない走り込みをし、ぶったおれた10代の時代はもう戻ってこない。
話は戻って、書籍の中で秋田さんのことばのひとつひとつはとてもシンプルでやわらかく、軽やか。
つい、ぐるぐると考えてしまいそうな仕事における悩みなんかにも、「なんだ、そっか」と手を打つような、そんな視点を与えてくれる。
それは秋田さんが、日常で人々が使うものをデザインする作業を通して、さりげなく気配りをしているからなんだと気づかせてもらう。
「どうぞ見て!」というやり方ではなく、「ほんのちょっと」という、思いやりと設計。
ゆとりと余白。
わたしは最近、「やることリスト」より、「やらないことリスト」の方が重要で、かつ仕事や日常においての効果も高いコトを知り得てしまった。
足すのではなく、どんどん削ぎ落とす。
そうすると日常に「余白」がうまれ、その余白をあえて埋めようとしない。
余白に風がふき、そこに"アイデア"や"人に対する思いやり"が生まれるからだ。
それはどんな方法よりもシンプルでお金のかからない問題解決へのきっかけとなる。
かろやかで、シンプル。
こんなオトナでいたいと思う。
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