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古代文明において最も高価な石の一つで、群青色の顔料の原料です。かのクレオパトラがアイシャドーに使っていたと聞くと、ロマンを感じます。

ラテン語の“Lapis”(石の意)、ペルシア語→アラビア語の“lazward”(ラズワルド:天・空・青などの意でアジュールの語源)が起源とされ「群青の空の色」を意味します。名前もロマン!和名は瑠璃、これも素敵ですね。

鉱物ではなく岩石です

ラピスラズリは単一の鉱物ではなく「岩石」です。宝石学でいう「岩石」は、何種類かの鉱物が合わさったものです。アジュアマラカイト(アズライトとマラカイト)、ルビー・イン・ゾイサイト(ゾイサイトとルビー)、ユナカイト(エピドートとクォーツとピンクフェルドスパー)なども岩石です。

ラピスラズリは主にラズライト(青色)、カルサイト(白色~グレー)、パイライト(金色)からなります。そのため、屈折率をどこで測るかで数値が違うことがありますし、鉱物の内容によって比重も変わります。

ラピスのスカラベ

このスカラベはエジプトで買いました。フンコロガシもエジプトでは神様ですから、お守りになりそうな感じです。
そして、ラズライト、カルサイト、パイライトが全部入っているので標本としても良かったです。均一な青が高品質とはされますが、私は標本っぽい方が好きなのかもしれません。

実習でラピスラズリと鑑別したら・・・

硬度が5~6の為、鑑別の実習ではかなり研磨の状態の悪い石が多いです。ざらざらな面では、屈折率が測りにくいので苦労します。

径5mm程度の丸い濃い青の石を鑑別した時、迷った挙句「ラピスラズリ」で提出しました。結果は×。正解は、染色したカルセドニー(瑪瑙)で、皆がピンセットでつかむうちに、面がざらざらになってしまったとのことでした。

屈折率はどこで測っても不明瞭ですが、高くはありません。他の特徴を探しましょう。
金属片が見えた→パイライト?→ラピス?と考えたのですが、先生曰く
「ピンセットの金属がついてたんじゃないの?」

また、カルサイトを隠す為の染色処理が行われていることがあります。これは、均一の青が良いとされるためです。アセトンを浸した綿棒でこすると剥げることが多いものの、その後も使いたいものには向かない検査です。

均一の青色でも

ターコイズと同様、天然石の粉末を樹脂などで固めて「再生」したものが存在します。

天然だと思いたい

このピアスはそれなりにする金額だったので「再生」ではなく天然だと思いたいです。石が小さい分、他の鉱物が入っていない青色だけの場所で研磨したものだと信じて……。

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