見出し画像

12月の誕生石といえば、トルコ石とラピスラズリで
「不透明だから、イヤだー」
と言う12月生まれの人が周りに結構いました。

いつの間にかタンザナイトも誕生石になっていて、透明石もあるよ!とお勧めしていますが、それにしても、12月はよく青系でまとまっていますね。

タンザナイトとは

タンザナイトは、ゾイサイトという鉱物種のうち、透明のブルー~バイオレット~ブルーイッシュパープルのものを言います。
1967年にタンザニアのレラテマLelatema地区のメララニヒルMeralanie hillで発見された、比較的新しい宝石で、産地にちなんでティファニーが命名したのは有名な話です。

強い多色性があるため、同じ原石でもカットする方向によって色合いが違ってきます。米国は青味の強い方向、欧州では紫味の強い方向が人気だそうです。日本もどちらかというと青寄りでしょうか。

多色性は二色鏡という器具で見ます。タンザナイトはこんな風に見えます。
二色鏡を90°回転すると、色が入れ替わりますヨ。

この写真、よく撮れたな~と自画自賛

二色鏡で見る位置を変えると、もう一色見えるはずです。これが多色性。
楽しいですね。

取扱いには注意しましょう

硬度6~7はまだしも、劈開クリベージが1方向あり、衝撃には弱いです。
以前、友人がタンザナイトのリングが欲しいと言って、国際宝飾展でなかなか良いルースを手に入れたのですが、最初は石がむき出しのデザインを希望しました。

「この石はとても脆くてね、特にリングだとちょっとテーブルの角にコツンとぶつかってもチップする可能性があるのよ。増して貴女のような(略)」
「私のようなおっちょこちょいには危ないってことね」
「そこまでハッキリとは言ってないけど(まあ、そういうこと)」

完成品

少し長めのペアシェイプだったので
「これだと座加工が要るから工賃が高くなっちゃうなぁ※」
とブツブツ言っていたところ聞こえてしまいましたが、幸い石屋さんがちょうどピッタリの枠も持っていたので良かったです。先の尖った部分が危ないのですが、頑張って袋留めにしてくれました。

(※あまり予算が無い場合は石に合わせて一から手作りするのではなく既成の枠を使いますが、変形サイズだと石を乗せる「座」に加工が必要ですので、追加の工賃がかかるのです)

青い石だからといって、サファイアと間違われたら大変です(サファイアは硬度9、丈夫な石です)。加工に出す時は、エメラルド(=脆い)を留めるのが上手い職人さんにお願いしています。

私の出会い

上述の通り比較的新しい石ですが、市場に出回るには時間がかかります。
私が入手したのは、珍しい石が好きな人は持っている……ぐらいの時期だったと思います。たまたま立ち読みした星座占いの本に書いてあった守護石が、タンザナイトだったので覚えていたところ、宝石店で見つけてしまったのです。きっと呼ばれたのでしょうね。

運命の出会い

「飽きたらリングから外してペンダントにすれば良いですよ」
と言われましたが、まだリングのままですので飽きてはいないようです。石を取り巻く部分のみK18で土台はしっかりしたプラチナ、何かと合わせやすいです。

ツーソンでも出会う

2回目のツーソンで出合ったのがこちら。大きな会場ではなく、掘出物がありそうなモーテルの一室でした(ツーソンではコンベンションセンターやホテルのホールだけでなく、ホテルやモーテルの客室まで展示会場になります)。

キャッツアイ!

「カボションだ、珍しい~」と、つい声を上げると
「キャッツだよ」
もっと珍しいです。教科書にも”シャトヤンシー(稀)※”と書いてあります。
(※シャトヤンシーはキャッツアイの正式な言い方です)

ペアシェイプの尖った先端から真っ直ぐに見えるキャッツならもっと高かったでしょうけれど、これもご愛嬌。歩留まりはできるだけ落とさないようにするのが、宝石の掟でしょう。

同じところに、原石のペンダントもありました。

これも魅力的

原石の良いところは、色々な角度から眺めることができることです。少し角度を変えると紫味が増したり、ある角度だと透明に近くなったり、見ていて飽きません。

この5年前、初めてツーソンに行った時にはタンザナイトはあっても高くて、現地の人曰く「中国人とインド人が買い漁ったので値上がりした」とのことでした。まあ、2回目でも普通のカットのタンザナイトは買っていないのですが……。

更に出会う

出会ってばかりですね。きっとタンザナイトが私のことを好きなのでしょう(自意識過剰)。
甲府のジュエリーフェアに行った時、そろそろ終わるという頃にルース屋さんを漫然と眺めていたら、見つけてしまいましたよ。

加工前

「あっちのあの石とこっちのこの石、ペアになるんじゃない?」
ペアを見つけるの、結構得意みたいです。しかも6mm×8mmぐらいで既製枠も使いやすそうです。

加工後

はい、こうなりました~。0.1キャラットだったか、ダイアの周りをミル打ちにして(少し大きく見えます)下のタンザナイトが揺れるように加工してもらいました。

丸いカットの方は未だ加工していませんが、少し化けそうな予感。加工すると大変なべっぴんさんになるのを「化ける」と言いますよ。

#誕生石 #12月 #12月の誕生石 #タンザナイト #ゾイサイト #ティファニー #宝石鑑別 #GIA #GraduateGemologist #毎日note #日記 #エッセイ #スキしてみて

この記事が参加している募集

#スキしてみて

526,912件

スキ、コメント、シェアも大歓迎! いただいたサポートは、カウンセリングルームを開く際の資金にします!