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「それが価値である」と分かるには対話が必要だ

新しいことは、価値ですか?

「何か新しい発見が欲しい」

さまざまな場面で、このようなクライアントの言葉によく遭遇します。
クライアントが時間とお金を投じている先にあるのは、「自分では気づかなかった点を指摘すること」や「自分では思いつかなかった斬新なアイデア」にあるようです。

これまで、どのくらい「価値」について真剣に考えてきたことでしょう。

”目に見える製品" や "定型的なサービス" を提供するわけではないコーチ・コンサルタントの私は、常にこの問いと向き合わなくてはいけません。
(そこまで考えなくても・・・とアドバイスされることもありますが、ビジネスの観点ではシビアに考えざるを得ません)

そもそも、「価値」とは何か。
価値は受け手のニーズによって変わってきます。

相手が「新しさ」を価値とするのであれば、相手が新しいと感じることを提供することが価値となります。その場合、相手は何に詳しくて、何に詳しくないのかをきちんと把握しておくことが有効かもしれません。

別の観点言うと、例えば相手が「考えを整理すること」を価値とするのであれば、相手の状況・内側にあるものを引き出し、それを言語化・整理する関わりが価値となります。

真面目に考えるとこんな感じですが、私の中では、相手も「価値をよくわかっていないんじゃないか」説が有力です。

「新しい」を価値とするって、万人にとって非常にわかりやすいと思います。イノベーションを生み出すには・・・と謳われている時点で、「新しいって価値でしょ」と豪語しているようなもんです。

しかし、新しいことは価値であるとうっすら思いつつも、実際には、それが本当に価値であるのか分かっていないケースもあるのではないでしょうか。

ジャコメッティ彫刻の価値

少し思考の幅を広げるために、このアルベルト・ジャコメッティの作品「歩く3人の人」を見てみてください。

ジャコメッティ

ジャコメッティは、現代アートの世界で大変有名なアーティストで、日本でも2017年に大回顧展が行われました。

彼が被写体としているのは、生身の人間です。ですが、人間の余計な部分が削られ、どんどん細く小さくなっていった結果がこの作品です。彼は個性的であろうとして奇をてらった訳ではなく、どうやら作品を創っていく過程で「私たちが見えているものとは別のものが見えてしまっている」らしいのです。

初めてジャコメッティの作品を観る人にとっては、正直、少し不気味にも思えるかもしれません。ですが、解説されると、「人の本質的なものを見抜いている作品なのかしら。それってすごいかも」と感じる人もいるでしょう。結果として、ジャコメッティの作品の価値は評価されているのです。

現代アートは「作品の説明」が大事だと聞いたことがあります。
非常に抽象的で斬新なものが多いので、ただそこにあるだけでは伝わらないことが多いのです。
そう考えると、価値を教育することって非常に大切だと感じます。

価値を理解する対話の重要性

コーチングでは、クライアントに「教育」することが大切だと言われます。それは、コーチングの考え方・進め方に関するものが一般的には多いですが、何が価値とされるかを教育する過程も非常に重要と捉えています。

例えば、「人の本質的な変化」はコーチングの価値の1つですが、それはセッションとセッションの間に起こることも多いです。例えば、前よりも楽な状態で仕事ができていたり、前よりも素直に自分を表現することができていたり。もし、「自分の納得できるキャリアプランを作成する」ことだけを価値としていたら、「本質的な変化」という価値を見落としてしまうでしょう。だから、対話を通じて価値を教育する訳です。

ですから、先述した新しさを求めるクライアントに「新しい案A・B・Cです」と色んな案を出すだけではなく、「私は、あなたにとってこんなことが価値となり得るのではないかと思います。どう思いますか?」と対話するステップも非常に重要だと思うのです。


ここまで読んでくださってありがとうございます。
今日も素晴らしい1日を!





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