余白――文字のない白く残っている部分。
本来の意味通りであれば、「白い紙」にしか使えない単語だが、写真における余白とは必ずしも白くはない。
余白を残す、余白を埋める、余白が生じる。
埋めることも残すこともできるこの余白というものは、写真において重要な働きをすることがある。
余白のつくるストーリー
「写真には余白が大切」なんて言われることが多い。
事実、余白がある写真はストーリーやその先の世界を連想させる。
その広く空いた先には何が広がっているのか。その世界はどこまでつながっているのか。
見る者の想像力を働かせるのが写真における余白の役割だ。
余白の儚さ
とはいえ、余白のある写真はいつもどこかさみしげでもある。
その「残っている部分」ゆえに、ぽっかりと穴が空いたような、その余白に吸い込まれてしまうような不安すら感じることもある。
あえて残したはずの余白が、被写体すらも凌駕する存在感を発揮してしまうと、そこには儚さしか残らない。
だから余白のある写真は難しい。
バランスを撮る
あえて「バランスを撮る」と書いたのは意味があって、写真の中に余白を作ることは、つまりバランスを考えて撮影をすることだと思う。
適当に撮影したのでは、余白もバランスも作れない。
なぜそこに余白を作るのか、考えながら撮影しなければならない。
バランスが良い写真を撮りたいから余白を作るのではなく、バランスを良くするために余白ができる。
きれいな余白ができた結果、バランスも自ずと良くなる、そういうことだと思っている。
だからバランスを取るのではなく、「バランスを撮る」。
まぁ、息をするがごとく毎回それができればいいんですけど、現実はそう甘くはないので。
余白の多少
最近は写真の半分以上に余白を残すことにはまっている。
なぜかって問われても「さて?」とこたえるしかないのだが、とにかく、ほとんど空、だとか、被写体ちょろり、といった写真が好みらしい。
少し前まで被写体をどーんと真ん中に置いた写真ばかり撮っていた人間が、最近はもっぱらこうであるのだから、人間、変わりやすいものだ。
余白の多少は好みであって、上手い下手は関係ないのであしからず。
余白の作り方
最後はすこし技術的な話を。
写真に余白を取り入れるときには、被写体の向きと場所に気をつけること。
人が向いている方向に余白を作れば、その先にある何かを想像させることができるし、
天に向かっているものであれば、空に余白を多めに作ることで、開放感が生まれる。
葉が向いている方を空ければ、儚さも。
被写体を下方に置けば、写真の重心がすとんと下がって、重厚感も出る。
ただ「余白があると良い写真にある」と思わずに、余白を作ることで何を表現したいのか、ぜひ考えて撮ってみてください。
▼第2話「日の丸構図」かきました
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