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頭の中に浮かんだ言葉を文章にする練習。 本業はフリー校正者です。 みんなのフォトギャラリーを利用しています。ありがとうございます。 永井華子で、「小説になろう」にいくつか投稿しています。https://mypage.syosetu.com/2393038/

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    広島東洋カープを応援しています。他、野球について、にわかファンのつぶやき。

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新築人生

 私の生家、小学校卒業まで暮らした家は築五十年以上経つ土壁に板張りの古い家だった。冬の隙間風にふるえ、夏の湿気に茹だり、家の前の路地にトラックが通れば、建具がガタガタとなる、そんなボロ家。  中学生になった年に隣町のマンションに引っ越した。バブル期に計画されながら、着工する頃には泡ははじけており、さまざまにコストカットされた物件であった。  阪神大震災の少し前だったが、キッチンと洗面所の水栓の止め方の上げ下げが違う、というのは当時としても違和感があった。  それでも新築マン

    • 誰かに話したいときがある

       うれしいことがあったとき、逆にひどく腹立たしいことがあったとき、誰かに聞いてもらいたくなる。  家族や、親友や、そうした心の内を見せられる相手がいる人を、とてもうらやましく思う。  娘はまだ、そうした話ができる歳ではないし、夫はなんだか生返事しかしてくれないし、なんなら、話したいことは子育てや夫への不満であることも多い。  例えば、私が母とよい関係を築けていたなら、「お母さん、ちょっと聞いて!」と言えたかも知らない程度の話を、できる人があまりいない。  それは、私自身

      • 紙の健康保険証の話

         子どもの頃、健康保険証は一家に一枚のみだった。私は父親だけが一割、家族は三割、の時代をぎりぎり知っている世代。文字通り「紙」の保険証は現在、娘に発行されている「子育て支援医療費受給資格証」と同じ大きさだった。  大学生になってひとり暮らしになると、保険証のコピーを百均で買ったカバーに入れて使っていた。学生街だったせいもあるかもしれないが、後から原本を持ってきて、と言われたことはなかったから、当時はそれで受診する人は多かったはずだ。  就職して、自分ひとりの保険証を総務の

        • わかりあえないと理解したこと

           私と両親の関係はよくない。おそらく、一生わかりあえないまま終わると思う。それを不幸なことだと考えるひとも多いかもしれない。  でも、私自身は「両親とわかりあえなくていい、むしろどうやってもわかりあえないのだ」ということに気がついてから、ものすごく楽になった。  父と母でそれぞれの思いは違うかもしれないけれど、共通しているのは「こんなにしてあげたのに」という愛情の押し売りだ。  中学受験をさせてあげて、希望の大学を受けさせてあげて、東京で就職することを許してあげて、結婚も賛

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          どうしようもないのかもしれないけれど

           スマートフォンで不具合が生じている。  いくつかのアプリで通知設定にしていても、通知が出てこなくなってしまった。  地味に困るのでどうにかしなければ、と思いつつ致命的な不具合でもないので放置していた。  少し前に別件でキャリアショップへ行かなければならなくなったので、ついでに相談すると、「機体のメーカーへご相談ください」と言われた。  そこからさらに数か月経って、やっとサポートセンターへ電話をしてみた。オペレーターの方はとても丁寧に根気よく対応してくださったけれど、なおら

          どうしようもないのかもしれないけれど

          大瀬良投手 ノーヒットノーラン達成

           6回か7回が終わったくらい、「あれ、ノーヒットだよね?」と気がついた。しかし、解説の山内さんは何も言わないし、菊地原コーチは普通に大瀬良投手と話している。続投なら、新井さんが行かないのは当然だし、あれ?  佐々木朗希投手や戸郷投手のときには、試合中にネットニュースに「継続中!!」とか出ていた気がする。  末包選手初盗塁の記事は出ているのに? パーフェクトではないから? 伝統の一戦ではないから? カープだから? あるいは私の知らない、なにか別の条件ですでに阻まれているの?

          大瀬良投手 ノーヒットノーラン達成

          「熱盛」の今季登場回数最多はカープ矢野選手らしい。カープの試合をほぼすべて見ている私としては、「あれ、菊池選手の方では?」と思った。でも昨日のファイターズ戦で、タイムリーをアウトにしたプレーがまったく紹介されなかったのは、「菊池選手なら普通」になってしまっているせいかもしれない。

          「熱盛」の今季登場回数最多はカープ矢野選手らしい。カープの試合をほぼすべて見ている私としては、「あれ、菊池選手の方では?」と思った。でも昨日のファイターズ戦で、タイムリーをアウトにしたプレーがまったく紹介されなかったのは、「菊池選手なら普通」になってしまっているせいかもしれない。

          山帰来の柏餅とちまき

           西日本育ちの私は、柏餅と言えば山帰来の葉である。  関東に来て、柏の葉を巻いた柏餅を初めて見たとき、「なんだこれ」と声に出して驚いた。それまでは、ずっと山帰来が柏なのだと信じて疑ったこともなかった。  山帰来、あるいはサルトリイバラと呼ばれる葉は、つるつるした手触りにつやがあり、まるで柏餅のための葉であるかのように大きさもちょうどよい。  柏の葉で作る場合は大きな柏の葉を整えているのだろう。見た目はどちらも可愛らしいと思う。  しかし、慣れ親しんだ山帰来の柏餅を探してし

          山帰来の柏餅とちまき

          知らない人あてのお礼をされた話

           私は、個人事業主として校正の仕事をしている。基本的に仕事のやり取りはメールと、宅配便だ。すべて電子化されているところもあるとは思うが、少しばかり特殊な分野の仕事のせいか、紙のやり取りが続いている。  依頼のメールを確認し、内容と期日が可能なものであれば、お引き受けする。実際の校正紙のやり取りは宅配便やメール便。  ほとんどの仕事がこのやり取りなので、実際に取引先の担当者に会うことはない。一度も会ったことのない人、電話ですら話したこともない人と何年も仕事をしている、というこ

          知らない人あてのお礼をされた話

          幸せの主体はつねに私

           幸せであるかどうかを決めるのは私。  当たり前のことのようで、実は難しい。  幸せなのかどうか、どうしても人と比べてしまう気持ちがあるから。  けれど、その基準はやっぱり自分の中にあるもので、人には人の別の基準があることになかなか気がつけない。  例えば、あの人は裕福そう。若く見える。パートナーが優しそう。友人が多そう。いつも楽しそう。両親が近くにいて頼れることがうらやましい。 「うらやましい」という感情が最もやっかいだ。  私にとって「うらやましい」ことは、人にと

          幸せの主体はつねに私

          「させていただかない」勇気

          「させていただく」が多用されるようになって、もう久しいと思う。 「させていただく」とは、相手に許可を得て行動することを意味するので、許可を必要としないことに用いるのは間違い、とまではいわないけれども適切ではない。 「お電話させていただく」「ご挨拶させていただく」「ご報告させていただく」 「させていただく」をつけることで、丁寧な、あるいは相手をより尊重した印象になる、ということだろうか。 「お電話いたします」「ご挨拶に伺います」「ご報告します」 としたことで、敬意が失わ

          「させていただかない」勇気

          「。」が怖いという感覚と、電話だと対応が変わる人

           LINEなどのメッセージで文末に句点があると、威圧感を覚える人が若者に増えているらしい。という記事を見た。 「マルハラスメント」なんて言葉もあるのだとか。  本当かなぁと思っているが、私は若者とコミュニケーションをとることがあまりないのだ気がついた。  なにごとも自分のものさしだけではかってはいけない。  少なくとも、そうした感覚を持つ人はいるのだろう。  仕事柄、句読点がない文章には違和感を持ってしまう。  読点が適切でないと感じたら、鉛筆で書き入れるし、句点が入って

          「。」が怖いという感覚と、電話だと対応が変わる人

          2月に必ずすること ー手紙を書くー

           明日から2月。  2月中に、親友に手紙を書こう。  メールでも電話でもなく、SNSでもない。手紙が今の私たちの距離感にはきっとふさわしい。  すぐには会えない距離。コロナに奪われた時間。  それでも彼女との縁をつないでおきたいから。  忙しい彼女は、返事をかえせないかもしれないし、返事はいらないと書いて送ってもいい。返事がほしくて書くわけではないのだから。  私の人生もおそらくそろそろ折り返す。  迷ったり、悩んだり、躊躇している時間がもったいない。  私が辛かった

          2月に必ずすること ー手紙を書くー

          ブームを起こした話

           小学生の頃、クラスでブームを起こしたことがある。  公立小学校だったが、奨励服と呼ばれる制服があった。女子は細い吊り紐付きのプリーツスカート、男子は短パン。どちらも紺色で、冬には胸元に校章のワッペンが付いた上着もあった。  そのスカートの吊り紐には、名札がつけっぱなしになっていた。  昭和から平成へとかわる頃、個人情報なんて言葉はまだ身近で耳にすることはなかった時代。  学校名の刺繍が入った布に、マジックで学年クラスと名前を記入してビニールのケースに収めるもので、今思

          ブームを起こした話

          アポロ計画だったのに、次の計画がディアナ計画ではなく、アルテミス計画になったのはなぜなのか。ギリシャ読みの方が好みではあるけれど。

          アポロ計画だったのに、次の計画がディアナ計画ではなく、アルテミス計画になったのはなぜなのか。ギリシャ読みの方が好みではあるけれど。

          FB ーフレンドシップブックー の話

           FBと書くと、Facebookの略称と思われるだろう。それとも流行が落ち着いた今なら、そうでもなくなってしまっているのだろうか。  中学生の頃、友人に教えてもらった”FB”はFriendship Bookという。  数枚のメモ帳をホチキス止めしたものに「FB」と書く。そこに英語表記で住所を書いて、外国のペンフレンドへ送る。受け取った相手はまた、住所を書き足して別のペンフレンド送る。書くスペースがなくなったら、作成者へ送り返す。  趣味や自己アピールなども添えて、新たな

          FB ーフレンドシップブックー の話