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山帰来の柏餅とちまき

 西日本育ちの私は、柏餅と言えば山帰来の葉である。
 関東に来て、柏の葉を巻いた柏餅を初めて見たとき、「なんだこれ」と声に出して驚いた。それまでは、ずっと山帰来が柏なのだと信じて疑ったこともなかった。

 山帰来、あるいはサルトリイバラと呼ばれる葉は、つるつるした手触りにつやがあり、まるで柏餅のための葉であるかのように大きさもちょうどよい。

 柏の葉で作る場合は大きな柏の葉を整えているのだろう。見た目はどちらも可愛らしいと思う。
 しかし、慣れ親しんだ山帰来の柏餅を探してしまう。関東ではまず目にすることはないけれど。
 同様にこちらでは「ちまき」も見かけない。

「ちまき」と言うと、中華ちまきを思い浮かべる人の方が多いかもしれない。私の知る「ちまき」は米粉で作った白いお餅を、笹の葉で包んで蒸したものだ。どうやらこれも、西の風習らしい。
 笹の葉で包んだ細長いお餅は、なにかの蔓でくるくる巻かれていた。その
蔓を解いて、笹の葉に少しお水をつけながらお餅をはがして、砂糖をつけて食べる。

 子どものころの風景が懐かしく思いだされるほど、歳をとってしまったのか、と思うと少し悲しいような気もする。

 今年も山帰来の柏餅と「ちまき」には出会えなかった。

 皐月の最後の日に、ふと思い出したので。

 お借りした画像の柏餅は柏の葉ですね。今ではこちらも見慣れてきました。ちまきはまさにこれ。ああ、食べたいなあ。

これまでに、頭の中に浮かんでいたさまざまなテーマを文字に起こしていきます。お心にとまることがあれば幸いです。