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美容師さんの話。

母が通っている美容院がある。母がいつからそこに通っているかは覚えていないけれど、私も高校1~2年生のときから何度かお世話になっている美容院だ。
そこには1人の美容師さんがいる。基本1対1で、他のお客さんはいない。つまり、だいたいのときはふたりっきりということだ。

その美容師さん(男性)はよーーく喋る。私は美容院では話しかけてほしくないタイプなのだけれど、そんな私の気持ちとは関係なく、めちゃくちゃ喋るのだ。

基本的には美容師さんが喋っていてくれるので、私は相槌をうちながら聞いている。たまに難しい質問をしてくるのが困るけれど。

さらに困ったことに、彼には人の話を最後まで聞いていないところがある。私はそのせいで、ずっと勘違いをされている。今も訂正できないまま、勘違い継続中だ。

その勘違いとは、私の大学のことである。

大学に合格してすぐに、その美容院へ髪を切りに行った。大学について聞かれたのか自分から話したのかは覚えていないが、自分がこれから通うことになる大学名を言ったのだ。
私の大学は知名度が低い。あと名前が少し長い。そのこともあってか、私が「○○△△大学」と言っているのにも関わらず美容師さんは、「あー、○大ね!すごいね!!」と言った。自分のことのように喜んでくれた。…ん?○大??

私は正確に合格した大学名を伝えたはずだ。なのに美容師さんは、私が合格した大学を近隣の有名国立大学と勘違いをしている。
いや、私の大学も略し方を変えれば○大になるのか?いやでも違うよな、、え、でもちゃんと言ったよね私??

なんだかすごく喜んでくれていたので、結局その日は訂正できなかった。
まあどうせそんなに常連じゃない私の大学なんて忘れちゃうよね!きっと母が行ったときにまた大学名を聞くだろう、そうすればちゃんとわかってくれるはず!そんな気持ちでいた。


それから1年半が経った。いまだにあの美容師さんの中での私は、有名国立大学の学生だ。

大学生になってからも、あの美容院に2度訪れた。地元の美容院なので、帰省したときにしか行けないけれど、今月も髪を切ってもらいに訪れたばかりだ。

相変わらず、話は長かった。私の迷っている将来について、真剣に話してくれるのはありがたいんだけれど、話に夢中になりすぎて手が止まっていたことには突っ込みたくなった。
大学の話よりも将来の話をしてくれたということも、勘違いをされている私にとっては都合がよかった。でもまあ話の途中で出てきますよね、大学名。
やっぱりいまだに勘違いされている。どこかのタイミングで訂正しようと思いながらも、ずっと訂正できないままでいる。

彼の中で私はいつまで○大生でいるのだろうか。卒業してからも○大卒って思われ続けるの、いやだなあ。笑

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