見出し画像

ゲームクリエイターになりたいのに、なんでゲーム作らないの?

 長くなったので最初に3行でまとめ。
「ゲームクリエイターになりたいのに、なんでゲーム作らないの?」
「ゲームを遊ぶことは楽しいが、ゲームを作ることは楽しくないことも多いよ」
「タダで全部出来るんだから、まずは一度作ってみればいいじゃん」

 お暇な人は続きをどうぞ。

※この記事での「ゲーム」とはテレビゲームやアプリなどの所謂ビデオゲームを指します。オフゲー・カードゲーム等はまた論旨が変わると思うので詳しい人に任せます。

「どうやったらゲームクリエイターになれますか?」

 私はちっちゃなゲーム会社でゲームを作っている。一応プログラマーだが画像加工もするしUIも作るし趣味で小説も書くし、まぁ色々とする。
 入社して5年程経って、そこそこノウハウも付いてきて(もちろん偉大な先輩諸氏には劣るが)、周囲にも多少認知されてきたのか親戚やら友人から「ウチの子もゲームクリエイターになりたいとか言ってるんですよ」なんて声も聞くようになった。
 あと趣味で質問サイトに回答しているのだが「どうやったらなれますか」系の質問は多い。

 その度に逆質問している。
「で、君はゲームを作ったことがあるの?」
 あるという人は続きを読む必要は無い。無いという人の為の記事だ。

やりたいこと≠楽しめること

 コックになりたい人の話をしよう。
「美味しい物を食べるのが大好きなのでコックになりたいです!」という人がいたとする。
 これはいい。実に合理的な理由だ。
 彼(または彼女)は続けて言う。
「でも包丁を握ったことはないし、お米を炊いたこともありません。私はコックになれますか?」
 小・中学生までなら許される発言である。

 ピンと来ないなら別の例を挙げてもいい。
「水泳を見るのは好きですがプールにも海にも入ったことがありません。競泳選手になれますか?」
「読書が好きですが英語読めません。翻訳家になれますか?」

 答えは全て「君のこれからの努力次第だが、まずやってみろ」である。
 今回、なれるかなれないかの可能性の話は置いておく。
 重要なのは「もしなったとして、楽しめるか」だ。

ゲーム作りは楽しいか?

 ゲームは楽しい。クソゲーというのも世にはあるが、まぁ概ねどのゲームも大体楽しい。
 では「ゲーム作りは楽しい」か? これはYesでもありNoでもある。

 ゲーム作りを楽しめる素質、というものが存在する。
「遊び」作りが、シナリオ執筆が、プログラミングが、素材作りor素材集めが、リリース作業が楽しいと思えるか否か。これは本人の性格や嗜好に由来する。
 楽しいと思えるなら最高。文句無しに素質がある。
「クッソつまんねぇな、面倒臭ぇな」と言いつつ、上手くいくと「天才だな」と自画自賛して次に進むタイプ(私だ)。これもOK。
 ひたすら辛いが完成時の快感が忘れられなくてついつい手を動かしてしまう? 上等、立派なゲームの奴隷だ(褒め言葉)。
 だがもし、つまらない、面倒臭い、こんなもん毎日10時間なんてやってられねぇと思うのであれば、この業界に来ない方がいい。

 ゲームクリエイターは職人とかアスリートのような面があり、ひたすら知識と技術を磨く必要がある。
 練習や勉強せずにコックや競泳選手や翻訳家になれないように、知識も技術もゼロでゲームクリエイターにはなれない。
(なお「未経験可」は「この業界で働いた経験が無くてもいい」という意味であり、「知識や技術ゼロでいい」ではない)

 更に就職後は就職後で、やっぱり知識と技術を磨き続けないといけない。
「金の為ならまぁやってもいいかな」という意識が保てるのならまだいい。
 だがもしも苦痛しか無い、金を貰ってでもやっていける気がしないというのなら、それを職にするべきではない。

 この辺りの判断は、本人がやってみないと分からない。
 プログラムやイラストならまだ「ゲームではないプログラミング」や「学校の美術の時間」などで触れる機会もあるだろうが、企画系は自主制作しない限りまずやらないので、業界に入った経験どころではなく「本当に未経験」での就職となることが多いと思う。なので自分に向いているのか、本当に好きなのかを考慮しないまま、きっと楽しいだろうという幻想だけを抱いて進み、就活中や就職後に実態に気付いて絶望する事態が後を絶たない。
 最悪のケースは「ゲームクリエイターになりたくて高卒後にゲームの専門学校に入ったけど、実はゲームを作るのがそんなに好きじゃなかった」。他業種に行くにしても、大学に入り直すか高卒での就活を求められるハードモードである。

合う合わないがあるから、まずは一度作ってみる

 今はパソコンとインターネットがあれば、ゲーム作りに必要な物は全て無料で揃えられる(スマホしかない人は頑張ってパソコンを入手した方がいい。勉強する前にシャーペンを用意するのと同じだ)。
 初心者向けのゲーム作成ソフトについては別記事に書いた。

 これ以外でも、とりあえずGoogleで「ゲーム 作り方 初心者」とでも検索すれば色々出て来る。
 諦めることも恥ではない。職業にするのが無理でも、趣味でやるという手もある。「ゲームを作ること」と「ゲーム会社に入ること」もまた別の話なのだから。

 くだらなくていい。下手でいい。まずは一度、作ってみよう。

いいもの食べていいゲーム作りたいです。良ければサポートお願いします。