クマさんのはじめてのおともだち(おてて絵本参加記事)

むかしむかし、あるところに
クマさんがいました。
クマさんは森のおくに、1人ですんでいました。

ああ、ぼくは、森にずーっと、1人。
あそぶときも、ごはんを食べるときも、1人きり。
1人はさみしいなぁ。
クマさんは、おともだちを さがしていました。

そんなある日のことです。クマさんのおうちのそばに、赤いリンゴがなりました。
「うわあ!なんておいしそうなリンゴだろう!」

クマさんは、さっそくリンゴをとってきて、むしゃむしゃ食べはじました。

するとそこへ……

ガサガサ…ガサガサ……
草のあいだから顔をだしたのは、ウサギさんでした。

「あのう、こんにちは。わたしはウサギ。とってもおなかがすいているの。クマさんのリンゴを、わけてくれないかしら?」

クマさんは、ウーンと考えました。なにしろクマさんは、リンゴがとーっても大好きなのです。

考えて考えて……きめました。

「ウサギさん、ぼくのリンゴ、どうぞ!」

クマさんはウサギさんに、リンゴを半分、わけてあげました。

だって、クマさんだって、おなかがすいているときには悲しい気持ちになるからです。

「わあ!いいのかい!ありがとうクマさん!」

ニコニコのウサギさんを見て、クマさんの心はポカポカになりました。

でも、こまったなぁ。
ウサギさんにリンゴを半分わけたので、クマさんはおなかいっぱいになりません。

するとまた……

ガザガザ……ガザガザ……
草のあいだから、ウサギさんがのぞいています。

「クマさん、さっきはリンゴをわけてくれて、どうもありがとう! おれいに、さっき見つけたブドウをとどけにきたよ!」

「わあ!ブドウ!ぼく、ブドウも大好きだよ!ありがとうウサギさん!」

「いっしょにブドウ食べよう!」
「食べる食べる!」

クマさんとウサギさんは、2人でブドウを半分ずつして食べました。

でも、あれれ?
また、クマさんがこまっているようです。

「あれ?なんだかふしぎだなぁ。1人で食べるときより、ブドウがおいしいんだ。なんでだろう」

ウサギさんは笑いました。
「クマさん、知らないのかい?おともだちと いっしょに食べると、なんだっていつもよりおいしいんだ!」

クマさんはびっくり。

「おともだち?キミとぼくが、おともだちだって?ウサギさん、ぼくとおともだちになってくれるのかい?」

ウサギさんは、まあるい目をもっとまあるくして、びっくりびっくり。そしてそのあと、ニッコニコ。

「なぁに言ってるんだい、クマさんがわたしに、リンゴをわけてくれたときから、とっくにおともだちだよ。いっしょに食べると、おいしいね」

「わあ、ありがとう。ぼく、ウサギさんとおともだちになれて、とってもうれしいよ」
クマさんもいっしょに、ニッコニコ。

「いっしょに食べると、おいしいねぇ」
2人は、おなかいーっぱいになるまでブドウを食べました。

そうしておともだちになった2人は、いっしょにあそんだり、ごはんをたべたり、なかよしこよしで、すごしましたとさ。

おしまい!

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かすみさんの記事から「ふわっとゆるっとおてて絵本」の企画を知り、参加させていただきました。

2歳の長男坊が作ったお話に、私がアレンジを加えた「おてて絵本」です(2歳の元のお話では、クマさんはウルトラマンでした)


長男は自分で物語を作ったり、パパママの作った話を聞いたりするのが大好き。

寝かしつけのときに「ママおてて絵本して!今日は、りんごとみかんのお話!」とリクエストしてくれることもしばしば(だいたいこのリクエストは果物かウルトラマンです)

そんな長男も、最近自分で「おてて絵本」をするように!どんなお話が展開するのかとワクワクしつつ、2歳が小さいおててを広げて「おててえほん、むかしむかし〜」と語りだす様子も可愛らしい👐🏻

そんな時に出会ったのが、こちらの企画。子どもが作ったお話でも合作でもとのことだったので、これは!と思いまして……

そしてなにより、私が心打たれたのはこの企画の趣旨です。

この企画は、子どもも参加できる企画です。
学校に元気に通っている子も、通いながらも困りごとを抱えている子も、病気で通えない子も、行きたくても行けない子も、行くことに意味が見出せない子も、行くことを止めた子も、みんな自分の心とおしゃべりをして、己の世界観を表現してほしい。

こちらの"「おてて絵本企画」立ち上げます"のなかで触れられていたこちらの願いに、子を持つ母として、教育の仕事に携わる立場としても、賛同しかありませんでした。

親子で作った「おてて絵本」が、企画に少しでも貢献できれば嬉しいです!すてきな企画ありがとうございました!


いつもお読みいただきありがとうございます! いただいたサポートは、銭湯巡りで息子たちと瓶牛乳飲むときに使わせていただきます🐄♨️