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教育×ライティング、やる?やらない?どっちなんだーい!

私が教育系のライティングを始めたのは、3年前の夏だ。

なかなか稼げるようにならず、ヤキモキしていたときにスタートしたwebライターラボの講義。「教育系は稼げないのではないか」「今ある専門性を生かしたい気持ちはわかるが、捨てるのもあり」「稼げる分野に特化しては?」という話があった。

私はすごーーーーく、悩んだ。

稼げるようになりたい。
書くことを仕事にしたい。

でも私に今ある専門性は、一番は古典。それから、国語。教育。いわゆる稼げるジャンルは、美容、金融、不動産……特化するなら学び直すしかない。

美容よりは金融のほうが……と思い、その翌日に金融メディアに応募。

と、同時に、講義の中で紹介されていたプラットフォーム、「ココナラ」での商品出品を試してみることにした。

「現役の国語教師が、教育系の記事書きます」

ココナラに出すだけなら、タダである。

値付けも自分でできるので、その時の平均単価よりもちょっと背伸びした額をつけた。そんな額で書いていいの?依頼来る?自信なんてなかったけど……現場がわかり、専修免許もあり、現役。ええい、ちょっと強気に出よう。あんじゅ先生の言葉を思い出す。「値段に自分を合わせる」。そのぶん、頑張ると決めた。

1ヶ月、依頼は来なかった。

その間私は、金融系のメディアのテストライティングを一生懸命書いていた……が、まっっったく、筆が乗らずに苦しんでいた………。めっっっちゃ時間かかる。リサーチもそうだが、図で表をつけて、ということだったので、慣れないながらパワーポイントで金融データを使った図表を何枚か作成したりもして、とにかく時間がかかった。

む、むいてないのでは……。

うっすらそんなことを感じ始める私。
でも、金融書けなかったら、私はどうしたらいいの?美容?美容やるなら資格をとったほうがいいよね。今から資格の勉強するのか、あんまり関心ないのに?それとも、FPのほうを取る???

そんなモヤモヤを抱えながら、8月。バーガーショップにしてはややお高めの専門店に夫と行った時のことだ。

何の気なしに、夫に言った。

「稼げるのは、金融とか、美容とか、そういうのの特化ライターなんだって。私もなにかの資格をとって、専門を出せるようにしないとダメなのかな〜」

私はてっきり、夫はそうなんじゃない?とか、そうしたら?とか、そうなんだ、とか、当たり障りのないことを言うと思っていた。ライターに挑戦してみる!と言った時も、別に何も言わなかった男である。でも、この時はそうではなかった。

「専門って、教育はどうしたの?ココナラに出してなかった?」

「え、でも、全然依頼来ないし需要ないよ。クラウドワークスにも案件ないし、調べても出てこないし……お金がない業界なのはわかっているし、教育の記事を書いてほしいクライアントなんてきっと全然いないんだよ。教育捨てたら?って、ラボでも言われたし」

今思うとやらない言い訳探しがすごいが、だいたいこの通りの内容を話したと思う。

すると夫は「本当にそれでいいの?」と言った。

「本当に教育捨てていいの?」

がつーんと、頭を殴られたような気がした。正規教員をやめてから、私はどこかで「教育に関わってはいけない」という気がしていた。非常勤講師をしている傍らでライティングを勉強していたこともあり、ライターの仕事は教育以外で…みたいな気持ちもあった。それに加えて、案件の少なさ。

教育のライティングはできないもの、しないもの、だって稼げないし、私にそんな資格もないし(免許的な意味での資格はあるけど笑)、という潜在意識に囚われていた、ような気がしている。

本当に教育を捨ててもいいのか。

いや……捨てたくはない……。
大好きな国語の記事を書けたら、とっても楽しいだろう。少なくても、金融のリサーチしているよりは遥かに楽しい。間違いなく楽しい。

でもそんな都合のいい仕事なんてどこにある?世の中にある国語の記事って誰が書いてるの?どうやって申し込めばいいの?教育系のライターを調べようとしても、雲の上の人、みたいな人か、インタビューライティングしている人ばかりが出てくる。ほら、やっぱり。教育系で食っていける人なんて、いないんだよ。

でも、す、すてたくは、ないなぁ〜(遠い目

そうは思っても現実は厳しいもので、別に収益が伸びることもないし、テストライティングを受けた金融系のメディアは不採用だし、5000字+図表もつけたけどテストライティング代もなかったし、私の3週間は「金融系は書けないかもしれん」と知るための勉強代になって終わり。教育メディアの公募もない。送っても返事ない。いよいよ窮地に追い込まれていた。

そんな時である。
なんと、ココナラに初めての依頼が来た。

「古典文学の解説記事を書いてください」
というご依頼だった。

嘘でしょ……。

教育のなかでも、国語、それも私の専門ピンポイント「古典」で依頼が来たのである。そんなことある???と思って、このときもメッセージ5回以上読み直した。そして、思った。

「もしかして、需要、あるところにはある?」

そこから、ココナラからの教育系記事の依頼は途切れることがなく、私のお仕事の8割はココナラ経由になった。そして、実際に書いてみて実感した。

教育系の記事書くの、楽しい。
教育に特化して書けたら幸せだな。

それに……今の時代、学生も勉強方法や受験対策などをインターネットで検索する。学校の先生に聞くよりもまず、自分で調べるのではなかろうか。だとすると、「書く」から教育に関わる…というのは、遠巻きであるけれど、教育現場に恩返しすることにも、なるのではないか?「書く」から教育を照らすことができるのではないか?そんなふうに考えるようになった。

現役の先生は続けられなかった私だけど、辞めたことで、ライターの勉強を始められた。ライティングという立場から、教育に関わる人がいてもいいんじゃない?って思って…なんだか、自分の立場を前向きにとらえることができたというか、それでもいいんじゃない?ってやっと思えたタイミングだった。

あれから2年ちょっと、肩書きのところに「教育ライター」とつけられるようになったのは(※私の気持ちの問題です)1年くらい?今は全部、教育関係のお仕事をさせていただいております。

そして、最近いただく言葉。

「猪狩さんみたいな人を探してました」
「免許持ってて、現場もわかって、記事が書ける人に来てほしかったので、ぜひ猪狩さんに」
「教務知識がある人にお願いしたいので、はなさんに依頼しました」

こんな未来があるなんて、3年前の私は想像全くできていなかった。

「なんだ、需要、あるじゃん」

と、一言で言うこともできるかもしれないけど、私はこうも思いたい。

「私のブランディング、うまくいったってコト…?!」

みなさんおそらく、「教育 ライター」とかで調べて、私を見つけ、依頼をくださっている。

雲の上にしかいないように思われた「教育ライター」(私の調べが足りなかっただけかもしれないけど!笑)

ちょっと烏滸がましいかもしれないけど、その敷居を少しでも下げられたのだとしたら、ちょっと嬉しいなと。

現場の経験なくても、免許なくても、記事は書ける。でも、私が書いた金融系の記事より、FPの資格持ってる人の金融系の記事の方がどう考えてもみんな読みたいし読みやすいだろうし変なミスも少なくて編集も楽だよね???教育の記事も同じなわけで、それに特化した人がいたっていいというか、クライアントさんからしたらそっちのほうが嬉しい、よねという当たり前のことを書いているな

教育の記事って、なんていうか、みんな多かれ少なかれ学校で授業受けたことあるし、受験も経験してきた人多いし、そうなると、誰でも書けるようでいて、気をつけないと気づかないうちに主観がゴリゴリに入ってしまう分野だと思っている。自分にたまたま合っててうまく行った方法を断定的に書いてしまったり、とか。指導要領?なにそれ???みたいなこととかも起こりうる。一方で、読むのは学生。保護者。相手の気持ちに寄り添い、センシティブな物言いには気をつけないといけない場合も多い……。

このあたりの匙加減は、塾にせよ学校にせよ、現場を知っている人の大きな強みであると思う。

そんなわけだから、もし今「教育系、稼げますか?」と問われたら、私はこう答えるだろう。

わからん!
でも、やりたいなら、一緒に書こう。楽しいよ。

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