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フリーランスデザイナーが稼ぐべき最低年収は?
こんな言葉を聞いたことはありませんか?
「個人事業主になるなら、会社員の2倍は稼がないといけない」
私も会社員のデザイナーだったころ、上司や先輩からこんな風に言われていました。
確かに、個人事業主は自分でパソコンやソフトも揃えなければいけないし、そうだよな〜大変だな〜とぼんやり思っていましたが、実際に個人事業主となった今「それって本当なのかな?」と疑問に思っています。
私は個人事業主として開業して2年目。実感として、そこまで稼がなくても、自分ひとりが生きていくだけならなんとかなってるような気がしています。
とはいえ、日々の生活費や仕事道具、そして税金や社会保険などを支払える程度の収入はないといけません。
そこで、私は個人事業主として最低限いくら稼げば暮らしていけるんだろう?というのをざっくり計算してみたいと思います。
前提として、私は30代の独身、東京近郊で一人暮らしをしています。
職業はグラフィックデザイナー、基本は自宅勤務なので事務所費用などはかからず、パソコンさえあれば最低限の仕事ができる、というような感じです。
※当然ながら私はお金や税金などのプロではありませんので、ここから下の情報や計算は間違っている可能性が大いにあります。
生活費
最初にいちばん大事な、自分の生活にいくら必要かを調べます。税金などを含まず、自分が暮らすためだけの金額です。
自分の家計簿を見返してみると、月の出費はだいたい20万前後です。
基本は家にいることが多く、月に数回、友達や家族とカフェやランチにいったり、好きな美術館やコンサートに行くのを躊躇わずにできるくらいの生活費です。節約をがんばっている人ならもっと減らせるとは思います。
ということで、年間の生活費は 20万 × 12ヶ月 = 年間240万。
(私は実際にはこの生活費プラス月10万ほどNISAで積立してるのですが、最低限の計算なのでこの金額は一旦無視します)
個人事業主で暮らせるようになるには、この生活費に経費と税金を足した金額を稼げればよいと考えます。
経費
仕事で必ずかかる費用を計算します。細かい数字は面倒なのでざっくり計算でいきます。
・パソコン:約10万円
30万円のパソコンを3年使うと考えて、一年換算で10万としました。
・Adobe CC :約8万円
定価では、年間プラン86,880円(一括払い)。
(実際には、私は毎年Amazonのセールで買っていて、5万以内に収めるようにしているんですが、とりあえず定価で計算してみます)
・モリサワフォント:約6万5千円
これは不要な人もいると思いますが、私は仕事上必要になるので入れています。フォントって高いですよね…
・その他クラウドソフトやサーバー代など:約2万5千円
会計ソフトのFreeeや、Googleの追加ストレージ、サイトのサーバー代など。
・フリーランス協会 年会費:1万円
これは万が一のときの損害賠償保険や弁護士費用のために入っています。月に換算したら1,000円以下なのでお財布に優しいです。
・プリンター:約5千円
プリントしてデザインを確認したり、書類をスキャンしたり印刷したりするので購入しました。
1万5千円くらいのもので、こちらも3年使うと考えて年間5,000円としました。
以上、仕事に必ずかかる費用は年間合計で28.5万円、多めに見積もって30万円くらいでしょうか。
他にもこまごまとした経費はありますが、私の仕事で絶対必要なものはここらへんかなと思います。
さて、ここまでのところで、生活費240万円+経費30万円で合計270万円となっています。あとは税金分を稼がなければなりません…
社会保険・税金
これらは所得によって率や金額が変わり、細かい計算が必要なのですが、所得350万円としてざっくり金額で試算してみます。
計算はこちらのサイトを参考にさせていただきました。
https://www.mmea.biz/simulation/solo_calculation/
・国民健康保険 :約35万円
びっくりするほど高いですね。所得350万円ではだいたい年間このくらいになるようです。
ちなみに個人的にいろいろ試算してみたところ、所得が300万を超えたら文美国保などの保険組合に入った方がよさそうです。
(文美国保に入るには加盟団体に入る必要があり、保険料とは別に団体の入会金や年会費が数万円かかりますので、それを加味してどちらが良いか検討する必要があります。)
40代になったら介護保険料もかかってくるので痛いですね…
・国民年金:約21万円
令和6年度は月額16,980円。12ヶ月分で20,3760円ですが、21万円とします。
(ちなみに私はすでに2年分前納しています。前納するとほんの少しだけ安くなります。)
・所得税(復興税込み):約10万円
所得税は、課税所得が195万円までなら5%ですが、195〜330万円になると10%と2倍になるので、経費や控除でどこまで課税所得を抑えられるかポイントになる気がします。
青色申告の電子申告が65万円控除なので、これは絶対にやったほうがいいです!
・住民税:約20万円
住民税も所得金額によって上がります。なんだかたくさん稼ぐと損するような気分になりますね…
・個人事業税:3万円
デザイン業の税率は5%ですが、事業主控除で290万円の控除があるのが大きいです。事業所得が350万だとしたらこのくらいになるみたいです。
・消費税:なし
私はインボイス未登録で免税事業者のため、消費税の納付はなしとします。
以上、社会保険・税金の年間の合計は89万円です。
まとめ。最低限必要な年収は…?
生活費 240万円
経費 30万円
社会保険・税金 89万円
合計 359万円
ということで、最低限稼ぐ必要があるのは359万円。
個人事業主のデザイナーとして年間約360万円程度の収入が作れれば、私は今後もなんとか暮らしていけるのではないかと思いました。
月に換算すると約30万円。
決して多くはない金額ですが、らくらく達成できるという金額でもないと思います。
個人事業主になると、たった5万円でも売上をつくることがいかに大変かということを身をもって知りますので、独立したばかりのデザイナーが目指す収入としてもちょうどよい金額なのかもしれません。
2倍稼ぐ必要はないかも、だけど…
ただ、やはり月30万円では心許ないとも思います。
会社員と違い、雇用保険がないので急に仕事がなくなったら突然収入が0になり、何の手当もありません。ボーナスも退職金もありませんし、厚生年金もないので将来もらえる年金もかなり少ない。会社員と比較するとずっと不安定な立場にいることは間違いありません。
そのカバーのため、貯蓄・投資をしたり、小規模企業共済などに入ったり…という必要がでてくるかと思いますが、その分収入を増やしたり節約したりなどして資金を確保しなければなりません。
しかも、がんばってあと100万円売上を上げたとして、自分の手元に入るお金は100万円より少なくなります。そのぶん税金等が上がるからです。
「会社員の2倍稼がないと」というのは、「会社員に比べて不利な立場にいるから、余分にお金を貯めておかないと」という意味の言葉なのだと思うと、納得ができました。
「あえて稼がない」という選択
会社員の時は給与から天引きされていることもあり、自分がいくら税金を払っているのかあまり意識していなかったのですが、こうして計算してみると「あえて稼がず、最低限の収入で慎ましく暮らす」という選択肢もありなのかな、と思いました。
制度上、お金を稼げば稼ぐほど税金のパーセントは上がるし、余計に払わなければならないお金が増えるからです。
余談ですが、最近、おづまりこさんの「おひとりさまのゆたかな年収200万生活」を読んで、こういう暮らしも素敵だなあと思ったところでした。
ともあれ、自分に必要なお金を書き出し、最低限必要な収入が明確になったことで、闇雲に「もっと稼がなきゃ…!」というプレッシャーからは解放されたので、気が楽になりました。
同じようなフリーランスデザイナーの方の参考にもなったら嬉しいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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