多幸感

2020.4.(45歳女)(貴方20歳)

コロナ猛勢、真っ只中。

私は45歳の誕生日を迎えた。

その日は、たまたま仕事が休みで、娘も仕事が休みだった。

合わせたわけではない。

なんとなく、ドライブに行こうということになった。

娘は免許を取って、一年経たないが、とにかく運転がしたいらしい。

ケーキを買ってくれるというので、前から行ってみたかったケーキ屋さんに連れて行ってもらった。

「どうしよう。どれも美味しそう。迷うなあ。。」

「食べたいもの全部買いな。買ってあげるから。」

「え。いいの?」

「いいよ。」

「焼き菓子もいいの?」

「いいよ。」「好きなだけ買っていいよ。」

男前に育った娘だ。

結局2人分で、ケーキ5個と、焼き菓子6個買ってもらった。

一度ケーキを家に持ち帰り、ドライブに行くので、コンビニで昼食を買い、車の中で食べた。

どこに行こうか、

近くの海岸に出て、浜辺を散歩したり、桟橋を行ったり来たりした。

彼女は海が好きだ。さらに海沿いをドライブをすることになった。

自分の誕生日に、大好きな人にケーキを好きなだけ買ってもらって、ドライブをしている。

あまりの幸福さ加減に、私は、明日死ぬんじゃないだろうかと思ってしまった。

海から富士山がみえればいいなあなんて、思っていたら、

オレンジ色の西の空に富士山のシルエットが見えた。

「なんだろね、あのでっかい山」

なんて娘が言うから、見ると、紛れもない富士山だった。

「富士山だよ。富士山!」

娘も「え。嘘?富士山?」

車内、2人の大騒ぎだった。

そのまま灯台まで行って、夕闇の海を楽しんだ。

こんな感覚の誕生日は初めてだった。

幸せすぎる。やっぱり明日死ぬかもしれない。


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