春の日。
右手には春の香りを
左手には想い出を連れて
繋げないその手を
埋め合わせるように
木漏れ日で濡れた道を行く
光に包まれたあの朝
花が閉じていくように
ひっそりと静かに
桜が散るように
はらはらと忙しなく
命を閉じた
最愛の人
思いがけない場所で
あなたを想う日が訪れてしまって
なんだか笑えるの
あの人にとって
なんてことない
こんな春の日は
誰かにとっては切なくて
あたたかいのに少し冷たい
とても大切な春の日
独りでいたくなかったな
こんな日は思い出すから
会いたいよ
会いたいよ
どうしたって会えないから
会いたいと思うのよ
話がしたいよ
今のわたしはあなたから
どんなふうに
見えていますか
次に出逢うときは
どうか
優しくできますように
次に出逢うときは
どうか
愛し合えますように
なんてことない
なんてことない
今日もただ、春の日だった
なんてことない
どうしようもない
今年もただ、寂寥に揺蕩う
春の日だった
hana 言葉の海
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