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『じぶん流えほん』🍀「ひよこがうまれたよ」編②

描き始めた最初は、自分の心を癒やすことが目的だった。
でも昔のことを思い出して描くのは、苦痛だった。

では「ひよこがうまれたよ」の絵本をなぜ描くのか?

私が描きたいのは、単に嫌な思い出を描きたいわけではなかった。
吐き出すためと、目的は「浄化」だった。
嫌な思い出が吐き出され、そのあと素敵なものになることを望んでいた。

だから、本当はこうであったらいいのでは?
こうだったら幼い頃の自分は癒やされたのではないか?
というストーリーを、創り上げて描きたかった。

そう、自分が幼い頃に父と母にしてもらいたかったこと、父と母に言ってもらいたかったセリフを絵本の中で実現させたかったのだ。

これをさらに親子で読んでもらえたら、自分の言いたいメッセージが伝わるかもしれない。と思った。
読み聞かせで読んでくれたら、お子さんも自然と、お母さんからの嬉しい言葉を聞ける。
お母さんも、お父さんも、忙しくて普段は言いそびれている大事な言葉を、絵本の中からなら自然と言えるだろう。

私の心を癒やすための絵本が、他の人の心にも沁み込んでくれたら…
絵本を描き進めていくうちに、そんな気持ちが湧いてきた。

実のところ、私は育った家庭の中で、愛情の言葉をかけられた覚えがない。
大好きだよ。愛してるよ。素敵だね。かわいいね。とても大事だよ。大切だよ。
そういう言葉はドラマの中で言うものだと思い込んでいた時期が、長かった。

だから、周りの人が愛情表現の言葉を頻繁に使っていることを、改めて自覚した時に、ひどく落ち込んでしまったことがある。

私は何でこの温かい言葉たちを言えないんだろう。
なにか自分に欠陥でもあるんじゃないか、と思ったこともある。
うちの家庭はなんて冷えてしまっていたのだろう…
言われたことがない言葉を、使うのってハードルが高い…
いや、昔片思いしていた人に、想いを伝えることはできていたし、大事なところでは使えていたのだと思う。

今はもっと家族に、自分の気持ちを伝えることをしていけてる。

私にとってそういった言葉たちはきっと贈り物のような感じで、特別なんだ。
そして本当は毎日、自分や家族、周りの人たちに届けられるといいだろうな。
という想いで、「ひよこがうまれたよ」は完成した。

私の幼い頃の記憶がひとつ、浄化された。

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