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80年代アニメの技術考察

アラフィフなので80年代のアニメは子供時代にみていました。その制作ほとんどが「サンライズ」さん
「ボトムズ」「ザブングル」「ダグラム」もちろん「ガンダム」シリーズも

最近TouTubeサンライズチャンネル 通称サンチャン で
ボトムズやエルガイムなどの往年の名作が無料公開されています。
そんなにアニメ好きでない自分もかなりうれしい太っ腹公開。

↑サンライズ公式サイトより
 
YouTubeでボトムズを見て、「アレッ!」という気づきがあったのでnoteにしました。ちょっと技術屋からの考察を

ボトムズ第一話
https://youtu.be/Qj9aS1DnKak

80年代アニメのHD化
YouTubeをPCで観ると解像度を変更できますよね。今回のサンチャンにアップされた「装甲騎兵ボトムズ」は1080Pであげられているのです。しかも、480,720,1080と切り替えるとすごく画質が変わるんです。
 つまり、本当にHD画質でアップロードされているのです。
(昔の作品でHDでも画質が変わらないのはSD素材をアップコンバートしてHD化している場合もある)
僕らが観ていた80年代当時のアニメはテレビ放送でSD画質(640*480)でした。高画質でアニメを観るには映画館で観るしかなかったのです。
VHSやDVDやネットでも本来SD画質でしかありえない。

ちなみに当時のアニメ視聴に至るまでの流れです

1)セル画 おなじみの透明キャンバス(268mm×228mm)原画
2)そのセル画を16㎜フィルムカメラで撮影
3)編集してネガマスター
4)ネガマスターを1インチか2インチVTRにテレシネ(フィルムからのビデオ化)
5)局の放送システムから送信
6)各家庭のブラウン管テレビで受信・視聴
   ※皆さんあまり体感した事ないと思いますがテレビ局から各家庭の
    テレビまでの伝送ロスによる画質低下は結構あります。

この流れ、令和時代から見ると、めちゃくちゃ画質悪くしてテレビ放送していて、それを我々子供が大熱狂していたんですね。
 セル画(デジタルでない手書き)と16㎜フィルムのクオリティはめちゃくちゃ高いです。現在でいうとセルは8K相当、16㎜も4Kくらいいけるといわれています。

↑ 近所の稲城長沼駅前に等身大のスコープドッグ展示してました。
そりゃ観に行くでしょう。これは”むせる”わ←これはボトムズ用語

アニメフィルムのスキャン

今回のボトムズはフィルムから起こしなおしていわゆるデジタルリマスターを制作してYouTubeにアップされています。
これはクオリティが高いです。

 最近カリオストロの城などの80年代のアニメのフィルム起しがおこなれていますが、画質が綺麗すぎてデジタルで一からリメイクしたかと思われたりするそうです。(ちなみにカリ城は劇場公開作品なので35㎜にて更に高画質)

あとサンライズ作品、アスペクト比は当然4:3当時のまま!この辺もサンライズの作品愛が感じられます。
(当然といっても、「未来少年コナン」や「ドラゴンボール」はHD化した時に16:9にして天地カットしてしまい、ファンにたたかれることに・・・)
 
 最近、過去のアニメをフィルムから直接おこしてYouTubeに起こす動きはあるけれど、なぜ、サンライズさんはこれほどハイエンドなコンテンツを無料で公開するのか?

自分はサンライズさんのビジネスの考え方は?と気になり概要欄から公式サイトに飛びました。

そこでこんな商品に出会いました。
装甲騎兵ボトムズ Blu-ray Perfect Soldier Box」

 プレスリリースより
株式会社バンダイナムコアーツ[住所:東京都渋谷区、代表取締役社長:川城和実]は、TVアニメシリーズ、OVAシリーズ、劇場版等の「ボトムズ」シリーズ全映像作品をBlu-ray20枚に収録しBOX化した「装甲騎兵ボトムズ Blu-ray Perfect Soldier Box」(93,500円/税込)を、1年間の期間限定生産商品として、2月25日に発売します。

ここですべての謎が解けました。

フィルムから高画質HDリマスターを作成、それをYouTubeで無料公開。
ちょっと詳しい人ならブルーレイもHD解像度だからYouTubeと解像度同じだからブルーレイは売れないのでは?という考えもでます。
 
 しかし、これは売れますよ、まず前提としてアニメのパッケージ作品(BD)は売れるらしい。しかも、このマーケットは自分みたいなオヤジ層で
93500円でも買いたい気持ちはわかる。
 あと、一番大事なところはYouTubeは高画質といわれるけど、アップロード時の独自エンコードでその画質ロスが大きいし再生環境の不安定さもある。
一方、今回のスペシャルなブルーレイは片面2層50GBというガチ仕様
かなりのビットレートと推測されます。これは本来のフィルムにさらに近いクオリティといえます。
 
今回のサンライズさんの戦略を外野でありイチボトムズファンとして勝手に考察します。(違っていたらスイマセン)
前述のとおり本来アニメ作品(セルやフィルム)って途方もなくクオリティが高い。しかし、昭和の時代は家庭では貧弱な画質で視聴するしかなかった。
 サンライズさんは「俺たちの作品は本来こういうものだ」と無料ですべての人に観てもらうぞと
 その上で本物のクオリティで観たい人はブルーレイコンプリートを買ってくれと

「もの作り」に対する気持ちがあふれています、本当に尊敬できる企業です。

我々、アトリエ・シネフィルもいつか昭和アニメ作品の公開を目標としています。

恐れ多いですが、サンライズさんの偉業をリスペクトして活動していきます!

株式会社汎企画/アトリエ・シネフィル代表 香月達行(49歳)



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