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【詩集】三題放詩 vol.1

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三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩をまとめたマガジンです。
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記事一覧

三題放詩⑩

三題放詩⑩

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第十弾。

お題「闇 秘密 家」

朝日が昇り 闇は追われる
秘密の星が ひっそり隠れる

隠れた星は 私の心と
似てる気がして どこか安堵す

向かえる新年 明るくなる街
家の窓から 眺めて思う

いつか私の 心も癒えて
みんなと楽しく 笑い合えると

お題「つる草 悪魔 パイプ」

パイプオルガン 鳴り響く
つる草絡まる 

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三題放詩⑨

三題放詩⑨

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第九弾。

お題「わさび 歳の暮れ 湯飲み」

人もまばらな
歳の暮れ

回る寿司屋で
酒のつまみと

手に取るネタで
季節を感じる

過ぎ去る時に
想いをはせて

わさびがツンと
鼻をつく

湯飲みを手に取り
粉茶をひとくち

苦みとともに
グッと飲み干す

お題「沼 歳の暮れ 原動機(原付)」

大忙しの
歳の暮れ

原付

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三題放詩⑧

三題放詩⑧

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第八弾。

お題「雪 盆 雨戸」

丸い月
薄雲かかって
淡く射す

雨戸開いて
見上げる空から
ひらりひらりと
雪が舞い散る

盆に注(つ)がれた
酒にひと片(ひら)
落ちては消える
雪を飲み干し

ため息ついては
月を眺めて
過ぎた一日
振り返る

お題「雪 祭り 辞書」

紐解き眺めた
辞書の世界で
「雪」という字を

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三題放詩⑦

三題放詩⑦

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第七弾。

お題「畔(ほとり、あぜ) 百姓 喫茶店」

仕事を終わらせ
河畔を歩いて
向かう行き付け
喫茶店

窓辺に座って
ちょっとひといき
珈琲頼んで
文庫をひらく

ドアベル鳴って
入ってきたのは
隣近所の
百姓夫婦

畑仕事に
休みはないと
ぼやいて笑顔で
お茶を飲む

お題「レタス 青 夜汽車」

青空近い
山の裾野

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三題放詩⑥

三題放詩⑥

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第六弾。

与太郎稼業(お題:ひな鳥、与太郎、物語)

親とはぐれた
ひな鳥の
悲しく哀れな
物語

生きてく術は
他者を騙して
食いぶち稼ぐ
与太郎稼業

嘘八百を
並び立て
大風呂敷を
広げて垂れた

ひとり渡世を
過ごしてく
親無しひなの
無頼旅

毒草を食む(お題:毒草、投げる、時計)

懐中時計の
仕掛けの音を
耳に

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三題放詩⑤

三題放詩⑤

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第五弾。
今回は、お題を間接的に表現して、詩を作ってみました。

思い出(お題:果実、逃げる、ブランコ)

一緒に遊んだ
公園で

遊具に揺られた
セピアな思い出

すり抜け
手から離れてく

今では隣に
アナタはおらず

実りを迎えた
木々があるだけ

手紙(お題:秋風、魔法、文字)

コスモス揺れる
花壇を眺めて

歩い

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三題放詩④

三題放詩④

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第四弾。
三選を掲載しております。

食虫植物(お題:花咲く木、職人、誘蛾灯)

花咲く木より
漂う香りは

甘く危険な
誘蛾灯

獲物を誘って
引きずり込んで

じわりじわりと
捕食する

染め物職人
命をかけて

それを採取し
持ち帰る

鍋で煮出して
染料作った

染める織物
妖しく煌めく

目にした者たち
虜となって

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三題放詩③

三題放詩③

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第三弾。
四選を掲載しております。

物語のはじまり(お題:夏、粉屋、時計屋)

石の畳の
街に降る
強い陽射しが
照りつける

配達終えた
粉屋の男が
ひとり日陰で
休んでる

男は辺りを
見回して
とある店屋で
視線が止まる

そこは時計屋
ショーウィンドウに
置かれた時計が
目に入る

男はなぜだか
気になって
視線を反

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三題放詩②

三題放詩②

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第二弾。
今回は三選掲載しています。

お題「野、遊ぶ、パン屋」

野を駆け巡った
あの頃のボクら

時間を忘れて
遊んでいたよね

お腹が空いたら
分け合って

二人で食べたね
二色パン

いつの頃から
会わなくなって

違った道を
歩んでいった

ボクらの世界は
変わったけれど

戻ることなど
もうないけれど

ときどきボ

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三題放詩(さんだいばなし)①

三題放詩(さんだいばなし)①

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩を五選掲載しています。

お題「炭田、番頭、号笛(ごうてき)」

煤(すす)を被って顔黒く
炭の田んぼを掘り起こす

掘られたわずかな炭持って
荷車曳いて売りに行く

売れた炭の駄賃は少なく
今宵のメシもままならない

それを見かねた番頭さんが
お金の足しにとくれました

手ずから拵(こしら)え細工した
ハ本調子の横笛ひとつ

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