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三題放詩②

三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第二弾。
今回は三選掲載しています。



お題「野、遊ぶ、パン屋」


野を駆け巡った
あの頃のボクら

時間を忘れて
遊んでいたよね

お腹が空いたら
分け合って

二人で食べたね
二色パン

いつの頃から
会わなくなって

違った道を
歩んでいった

ボクらの世界は
変わったけれど

戻ることなど
もうないけれど

ときどきボクは
思い出す

パン屋の窓から
眺めていると


お題「影、消える、ポケット」


光が差し込み
影が延びる

逆さま世界が
あらわれる

ボクらの日々を
次第に染めて

わずかな思いが
小さく浮かぶ

詰め込むポケット
握る手のひら

消える怖さと
震える指先

掴めるものは
わずかなかけら

溢れてこぼれる
今日の終わりに


お題「草地、年の暮れ、鐘」


草地に寝転び
遠くで聞いた

生まれて消えてく
除夜の鐘

どこか同調(しんくろ)
している波長が

百と八つの
思いをのせて

夜の世界に
響いていった

ひとりぼっちの
年の暮れには

淡く儚い
夢をみながら

朝日が昇る
間もない時間を

楽しみながら
じっと待つ

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