埋もれる殺意 18年後の慟哭 重ねるごとに面白くなる

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埋もれる殺意シリーズの3作目。39年、26年と刻んで、今回は18年前の事件を扱ったもの。

39年のレビューは、こちら。

26年のレビューは、こちら。

今回は高速道路の中央分離帯から遺体が発見されるというレア中のレアケース。
あんな場所から出てくるなんて、普通に考えるとあり得ない。
高速道路が作られる前からあったのでは?
つまり、ものすごく古い時代のものなのではないかと推測されるが、遺体には、現代医療で使われるプレートが埋め込まれていることがわかる。
このため、比較的近い時代に殺害されたものであること、プレートがキプロス製であることで、絞り込むことが出来た。
また、女性というより少女のものであると判明。
失踪事件の遺体が見つかった場合、複数の遺族に確認を取る必要があり、その際にキャシーが「希望をもたせないように細心の注意を」と言う。
この場面は、割と胸が痛んだ。
遺族は「生きているかもしれない」「遺体だけでも」と思う気持ちで揺れ動いている。それは現実でもフィクションでも変わらない。
被害者への配慮は必要なんだよね。
結果的にヒーレイ家のヘイリーであることが、わかるが父親は虐待を疑われて心を病み、母親も生ける屍のよう。
双子の姉は仲の良かった半身のような妹の喪失の悲しみに浸るよりも、崩壊する家庭を食い止めるのに必死だった。

容疑者にあがったのはヘイリーがアルバイトをしていた別荘を利用していた客の4人の家族。
繊細で心を病み、ホームレス同然の生活をする画家クリス。
前妻との問題を抱えるが、優秀な医師アレックス。
有名なクイズ番組の司会者、ちょっと〇のもんたっぽいジェームズ。
金融営業マンだが、成果が出せないピート・カー。
この4人は学生時代からの古くからの友人で度々、交流があったのだ。

このドラマ、毎回俳優の演技に関心するのだが、今回もベテラン俳優の凄さを見せつけられた。
画家のクリスはクレジットで児童ポルノを買ったとされ職場を追われる過去を持つ。結果的には冤罪だと証明するのだが、冤罪だからと言って一度失った人生は戻ってこない。
それ以来、車に犬と一緒に暮らし隠者のような生活を送る。
幸い、絵の才能があり、認められ生活が出来るようになりつつある。

クイズ司会者のジェームズは、若干「オレオレ」なところはあるものの、事件の日以来変わってしまった息子を気に掛ける優しい一面を持っている。
息子が不安定であやしく、かばってさえ見える。

金融営業マンのピート・カー。個人的に、このキャラクターの描き方と演技にはカワムラ的アカデミー賞をおくりたい。
典型的な詐欺師で、すぐ嘘をつく。罪悪感があるような表情をするが、自分の感情も騙しているんだよね。
自分が助かるためには友達も売る。
キャシーも、一目であやしいと見抜くが「殺人ができるタイプではない」と言う。
ほんとうにしょもないヤツなんだけど、視聴者目線でしかわからないので、思ったより友人には嫌われていないのが面白いところ。

医師のティムは、この中では比較的まともで社会的地位も高い。
再婚した妻の間には2人の娘がいて、その仲も良好。
しかし、前妻とは仲が悪い。
前妻は、心を病んでティムに対して憎しみを募らせている。
前妻とのトラブルが悩みの種である。

今回は主人公であるキャシーが大きなミスを犯す。
ベテランで思慮深い彼女にしてはあり得ないほどのミスだが、このドラマは「完璧な人間はいない」を描き続けてきたのでご都合主義やおかしさは感じない。
特に、この件で事態は悪化して、捜査の進展にまったく貢献しないのでご都合度は皆無。
でも「いや~、人間だれしもやってしまう時はあるよ」とキャシーに同情してしまう。

今回はネタバレなしで紹介したけど、残り期間は少ないがアマプラで視聴できるので是非観て欲しい海外ドラマ。
シーズン4と5もあるらしいのできてほしいな~。


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