人は何を買っているのか?

「若い世代はモノを買わなくなったのではなくて、オトナ都合のマーケ催眠術にかからなくなった」ということについて書かれた記事がありました。

読者の目を引くためのテクニックとして「催眠術」という強い言葉を使っているのだと思いますが、マーケティングは催眠術でも無ければ騙し行為でもありません。マーケティングはテコです。

どれだけ優れたマーケティングができていたとしても、商品自体に価値がなければ一旦は売れるかもしれませんが、売れ続けることはありません。

消費の変化

オトナが作った考えない消費をしなくなったというのが結論にはなっていますが、これまで催眠術(この記事でいうところのマーケティング)で買っていたというのは正解な面もありつつ、正解ではないと思うところもあります。

これまでは企業のプロモーション活動が生活者の情報源でした。インターネット普及以降は、自ら情報を得られるようになり、たまたま自分に向けられた情報だけで物事を判断しなくなっています。

必要なものはどんどん一般化し、不便がなくなっている現代においては、自らの欲求を満たすための消費に置き替わっています。

成熟した市場において人がモノを買う理由は、自分のポジションを築くためです。

最近買ったモノを思い浮かべてみてください。それを買った理由はなんですか?それが無ければ死んでしまうという状況ではなかったと思います。

僕の場合は、年末に買った最新型のiPad Proです。普段からパソコンを持ち歩いているので、特に必要はありません。移動時はスマホで、移動先ではパソコンでネットにアクセスできるし、誰かとコミュニケーションも取れます。正直、僕の生活導線にiPadの登場の余地はありません。

でも、買ってしまいました。

Apple製品を使いこなす自分というポジション、最新の機器を手に入れている自分というポジション、それらを得たいがために、「手書きでも使えるし」「子供の動画編集始めたいし」「LINEスタンプでも作ろうかな」などと、最新型のiPadProが必要な理由を生み出し、ただイケてる自分のポジションを確立したいがための消費をしました。

MacBookPro、iPhoneXs、iPadProを手に入れた時、3種の神器が揃ったような感覚を覚えました。もちろんiPadProはまだろくに使えてません笑

ブランドの持つストーリー

こういう消費を誘発するためには、ブランドの持つストーリーが大切だと思っています。ストーリーとは開発ストーリーとか企業の沿革とかそういうことではなく、そのブランドが持っている文脈だと理解しています。

文脈とは「このブランドのプロダクトを持っている人は、このブランドの目指すものに共感している人だ」と感じられるようなものです。

個人のそうありたい、そうなりたい、そうあるべきだと考えていることと、ブランドが持ち発信していることと提供している価値が合致することだと思っています。


記事では「ストーリーが大事だ」と言われている世の中の風潮に対して、プロダクト自体がイケていなければみんな買わないとも書かれています。

これは至極まっとうな意見だと思います。どんなブランドでもまずは、プロダクト自体によって得られる価値を手に入れるために買われるからです。

記事では「モノだけではなく、関係性や無形の資産や世界観を買っている」と表現していますが、これがつまりストーリーの構成要素だと僕は考えています。

クラウドファンディングで新しいチャレンジをしている人を応援したいと考えている筆者は、そういう人たちを応援している自分、チャレンジに対して寛容な自分というストーリーを消費しているという見方ができます。

人がモノを買う時、それで実現したいことが何なのか?に着目すると良いと思います。

参考
https://note.mu/kanam/n/n34e9a462829d?fbclid=IwAR3f-W2nzGJjRTzj-A74D2OnbuljGs8g6owMyZYJGjQOzxaEm5OFdB8ey8Y

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