在宅鍼灸師という仕事〜1年目の葛藤〜(後編)
こんにちは。HAMTライブラリ編集部です。
今回も引き続き特別編!在宅鍼灸師2年目のヒロさんによる記事の後編になります。
前回の記事を読んでいない方は先にこちらをご覧くださいね👇
【感想コメントも多数いただきました】
今回の記事では鍼灸師としての生き方に関する指針を示してくださっているので、将来に迷っている人は読むと不安が解消されると思います。
ぜひ感想コメントもお待ちしています!
こんにちは。在宅鍼灸師2年目のヒロです。
前編では、主に経験談をお話しました。卒後初めて目の当たりにした在宅鍼灸臨床の現実、そして終末期にある患者さんたちへの関わり方に悩み、葛藤する日々。そんな私に、「来てくれて嬉しい」と言ってくださる患者さんたちから、鍼灸師であることの強みに気づいていきました。後編では、己の決意表明の意味も込めて、在宅鍼灸師であることの意義、目指す姿についてお話していきたいと思います。
QOLに責任を持つ
ドラッカーの名前はご存じの方も多いかと思います。彼の多数の著作は起業家や経営者のバイブルとも言われます。しかしながら、ドラッカーは企業に限らずあらゆる組織に属する人間が読むべき内容です。私はエンジニア新人時代にドラッカーに出会いました。その思想は、以降の仕事への姿勢に大きな影響を与え、上記はその中でも深く胸に刻まれている一節です。
ドラッカーは「貢献」という言葉を好んで用います。
貢献とは、ただ「できる限りのことをする」ではありません。自分の特性、強みを理解し、いかに周囲に役立てるか。
「在宅鍼灸師」として一括りで考えるだけではなく、自分という鍼灸師がどう貢献できるか、を考えることが肝腎かと思います。
私も参加している HAMTつながりサロン では、参加者がそれぞれ自分を深く分析し、他の参加者へフィードバックを行うといった試みがされています。これも自身の強みの再発見に繋がり、いかに役立てるか、貢献するかにつながる素晴らしいワークです。
また、鍼道五経会の足立 繁久先生は記事「あなたは衛気タイプ?営気タイプ? -五経の鍼-」で、鍼灸師によっても異なるタイプがあるとおっしゃっておられます。
患者さんだけでなく、地域ケアに関わる他の医療チームやケアマネさん、介護スタッフの方々に、自分という鍼灸師はどのように役立てるのか。貢献には、常にこの視点を持ち続けていなければいけません。
では、何に貢献し、責任を持つべきなのか。
前回お話したとおり、高齢の終末期にある慢性疾患の治療は「完治」が目的ではありません。でも、自分が訪ねることで患者さんに元気が与えられる。特定の疾患のためだけの治療ではなく、生活の質を上げるという貢献。
言ってしまえばシンプルですが、それこそが在宅鍼灸師の仕事であり責任だと思うのです。
生き方の医学
私は今の今まで、「自分が」納得するために東洋医学を学んでいました。これからは「患者さん」のために。「東洋医学は生き方の医学なのよ」という はりきゅうるーむ 朝の葉 竹井 智子 先生 の言葉が思い出されます。患者さんがより良い生き方ができるよう、東洋医学を学ぶ。そのためには自分自身が手本となる生き方をしなければ。
小学2年の息子は10ヶ月以上学校に行っていません。いわゆる不登校です。最初は母親として悩み不安に苛まれる日々でしたが、よくよく彼という人間を観ていくと、画一的な学校に行かないという彼の選択は至極自然であると思えるようになりました。
家の近くに住む義理の両親も、それぞれに持病をもつ老々介護。近い将来同居する可能性は高いでしょう。2ヶ月前に出産した義理の妹も難治性の持病を抱えており、定期的に訪問して体の状態を診せてもらっています。このように自分の家庭の中だけでも幼少期から産後、難病、老年期と、様々な年代の生き方に深く関わる環境にあります。鍼道五経会の先輩である若林理佐先生のnote、「今日の養生」では毎日の暮らしの中で活躍する東洋医学が時折紹介されております。私も先生のように自分の家庭内に東洋医学をしっかりと根付かせ、そこで得た知見を地域に還元していきたいと思います。
プライマリ・ケアとしての在宅鍼灸
森ノ宮医療大学 鍋田 智之先生は、「不眠症状と鍼灸治療」という記事の中でこのように述べられています。
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