鍼灸師が知っておきたい痛みの基本(後編)
こんにちは!HAMTプロジェクト編集部です。
今回も前回に引き続き特別編です!テーマは在宅鍼灸師にとって最も知っておきたい「痛み」!
「痛み」の専門家であり専門学校の教員もされている鍼灸師shunsaquさんによる記事になります。
こちらは前回の内容になります!
先にこちらを読んでおくとより理解が深まると思います。
こんにちは、“shunsaqu”です。
前回は、痛みのメカニズムや分類などの基礎についてお伝えしました。
今回は“慢性疼痛の特徴”と“痛みの鍼灸治療の考え方”についてお伝えします。
1.慢性疼痛とは
慢性疼痛診療ガイドラインでは慢性痛の定義について「3ヶ月以上持続する、または通常の治癒期間を超えて持続する痛み」と記載されています。また、慢性疼痛の定義は書籍や論文などによって異なります。そのため、経過だけで慢性疼痛と決めることは難しいです。
また、患者さんは“痛み”だけではなく、多くの場合他の症状も抱えています。例えば、不眠、便秘、抑うつなどが挙げられます。しかし、私たちはこれらの他の症状と“痛み”を切り離し、それぞれ別の病態であると考えて治療をしているかもしれません。これら他の症状は、慢性疼痛に起因している可能性があることを理解しておきましょう。
2.慢性疼痛患者の特徴
慢性疼痛を抱える患者さんには、不定愁訴や精神的な症状に加え、破局的思考を持つ、という特徴があります。
(1)抑うつ症状
慢性疼痛患者の中には、不安や抑うつ症状を呈する人は少なくありません。また、うつ病患者も何らかの痛みを感じている場合があります。慢性疼痛患者とうつ病患者では脳の共通する部分が関与していることが少しずつ分かってきています。患者さんによっては、うつ病を発症して、慢性疼痛を抱えるケースと慢性疼痛を発症してうつ病を抱えるケースがあります。
(2)破局的思考
慢性疼痛の患者さんには破局的思考という特徴的な考え方や行動パターンがみられます。例えば、「痛みが治るまでは仕事(学校)は休むべきだ」、「動くと悪化するから動かないようにしよう」といった考えや、痛みによる不安から自分の症状についてネガティブな情報ばかり集めてしまうことで過度の不安に陥り、悲観的な感情を抱いてしまいます。このように、痛みに対してネガティブな考え方・不安から痛みから回避するための行動をとることで、廃用性萎縮や機能障害、抑うつなどが出現し、それが原因でまた痛みを引き起こす悪循環が形成されます。
また、慢性疼痛患者ではなくても、破局的思考を持っている場合、慢性疼痛に移行しやすいと考えられます。そのため、治療だけでなく、患者教育も重要です。
3.痛みの治療目標
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