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②テンホールズ・ストリート編

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小説『僕はハーモニカをポワ〜ンと鳴らす』の〈②テンホールズ・ストリート編〉です。注意)以前、エッセイ『ハメルンのベンド』をお読み頂いていた方には専門学校編からストリートミュージッ…
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#テンホールズハーモニカ

38話 初めてのスタジオ②

僕はどうしていいのかわからず、しばらくはただ呆然としていた。メンバー達は慣れた調子でおの…

39話 初めてのスタジオ③

スタジオにひとり残った僕が、念願だったエレクトリックハーモニカサウンドに酔いしれていると…

40話 ならば、みんなで①

デザインの専門学校の方は、相変わらず地獄のような忙しさだった。徹夜続きで、朝の光が赤っぽ…

41話 ならば、みんなで②

とにかく話は決まったので、僕は代表者として、各楽器のパート別に打ち合わせを始める。まずギ…

43話 ならば、みんなで④

学校に戻ると空いている教室を借り、今撮ったばかりのビデオを25人全員の前でそのまま上演する…

45話 フルメタルのハーモニカ

トップハーモニカ奏者八木のぶおさんのライブの幕間に、僕がいつも見つめていたもの、それは毎…

46話 ヒューイ・ルイス

フルメタルのハーモニカの故障により、ハーモニカという楽器が消耗品だと知らされて以来、僕は少々練習に熱が入らなくなってしまった。いずれは12keyの全てを揃えればそれでもう出費は終わりだと思っていたのに、使うそばから壊れて行くのではいくらお金があってもキリがないと、セコイ事に気をとられていたからだった。 僕はなるべく小さめの音で、ベンドも音の下げ幅を甘めにして、常に気を使いながら練習を続けた。完全にブルースらしい力強さを無くした音だったのでテンションも上がらず、冴えない日々が続

47話 孤独な歩み

デザインの専門学校は2年目を迎え、僕は専門分野となるインダストリアルデザインを選ぶ事にな…

48話 ジャッカ、ジャッカで仲直り

その日は、珍しくQ君を僕の家へと招いていた。高校生の頃の僕らの演奏の練習はいつもQ君の家で…

49話 再び学園祭にて①

時は流れ、僕は2年生から専攻したインダストリアルデザインコースで、さらに過酷になった課題…

50話 再び学園祭にて②

数週間が過ぎ、徹夜続きからフラフラになりながらも、学園祭の当日を迎える。 僕はカメラメー…

51話 再び学園祭にて③

ライブ演奏が始まる。1曲目は緩やかなバラードで、僕はスタンドマイクの前に立ち、やや離れた…

52話 再び学園祭にて④

僕らの次のバンドがライブの終盤に差し掛かろうとする頃、演奏後に場を離れていたキーボードを…

53話 セッション

どれくらい時間を潰したのか解らなかった。(W子は、もう帰ったろうか)と思いつつ眺める空が、ほんの少しだけ夕日に染まり始める頃、僕は割と近くで鳴っているらしいアコースティックギターの音に気がついた。 それはライブ会場ではなく、学校の入口の門からつながる階段のあたりで集まっていた数名の生徒達による、野外での演奏だった。特に聴かせる相手がいるという事でもなく、また練習をしているという感じでもなかった。ただなんとなくやっている、見るからにそんな感じだった。 僕がその集団に近づくと周