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②テンホールズ・ストリート編

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小説『僕はハーモニカをポワ〜ンと鳴らす』の〈②テンホールズ・ストリート編〉です。注意)以前、エッセイ『ハメルンのベンド』をお読み頂いていた方には専門学校編からストリートミュージッ…
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#ハモニカフェ

40話 ならば、みんなで①

デザインの専門学校の方は、相変わらず地獄のような忙しさだった。徹夜続きで、朝の光が赤っぽ…

41話 ならば、みんなで②

とにかく話は決まったので、僕は代表者として、各楽器のパート別に打ち合わせを始める。まずギ…

42話 ならば、みんなで③

僕の決めた演出により、口笛のソロから始め、次いで「スタンド・バイ・ミー」の定番である「ブ…

43話 ならば、みんなで④

学校に戻ると空いている教室を借り、今撮ったばかりのビデオを25人全員の前でそのまま上演する…

55話 ハチ公の前で①

数日が経ち、学園祭の余韻が消えると、学校全体が加速したように一気に卒業ムードに向かい始め…

56話 ハチ公の前で②

デートっぽいカップル、サンドイッチを口へと押し込む男性、丸めた新聞を引き伸ばす会社員、奇…

57話 ハチ公の前で③

月明りの中、駅前のブルースセッション演奏はいつまでも続き、人だかりは途絶える事がなかった。 ハーモニカを吹く僕の前には、いつの間にか飲み物や差し入れが置かれていた。これは「演奏がウケている」という意味だ。 それなのに、まだ路上演奏での常識を知らない僕は、(なんだよ、お供えかよ。演奏中は動けないと思ってバカにしてさ。まったく、お地蔵さまじゃないんだから)などと、見当違いな事で腹を立てていた。 その内に、バーボン系のお酒がビンのまま回って来る。誰もがブルースマンらしくストレートで

67話 専門的な会話②

僕は前もって準備していた、仲良くなるためのいくつかの会話パターンを頭の中で巡らせ、その選…

68話 仕切り直し

ダメ社員の見本のようだった僕も、会社の仕事にすっかり慣れ、ようやく担当の商品を与えられる…

69話 道端の宇宙人①

翌日は見事な晴天だった。僕は午前中に洗濯などの雑多な事を手早く済ませると、久しく着ていな…

70話 道端の宇宙人②

彼女はこちらの返事も聞かず、話し続けた。 「なんかさ、社会とか、全然ダメだし。普通の人と…

71話 道端の宇宙人③

僕をバンド側に紹介してくれたありがたい存在の宇宙人だったけれど、その状況は突如として一変…

75話 決まる時は①

次に電車を降りたのは、かつて仕事や何かで数回ほど来た事のある駅だった。 そこが最近は音楽…

76話 決まる時は②

それなりに話がはずみ、その後再開したブルース演奏には少しずつコンビネーションが生まれ始めていた。 だらだらと、一体何曲のブルースを演奏したのかはわからない。コンクリートの地べたに直接座り込んで演奏していたために、お尻が冷たく、痛くもあった。 夕暮れ時が過ぎ、もうあたりは目をこらすほどに暗くなる頃、やや疲れたようにマーシがぽつりと言う。 「さて、そろそろ、かな?ロフト」 それに答えるロフトが、まだぎこちない呼び方で、僕にも尋ねる。 「ああ、だね。哲ちゃんは?」 僕自身も出会っ