見出し画像

バーキーと呼ばれた私 ~14.バーキー再び〜

 日々、弁当屋で汗水流して働いてたカオリは、気がつけば22歳になっていた。この頃は結婚式ラッシュだった。友達は十代で出産した人が多く、育児がひと段落した頃で、この時期に式をあげる人が多かった。ちなみに親友のアンナはその時期に二人の娘を連れて実家に戻った。旦那は他所で女を作ったらしい。

 結婚式は出会いの場とも言われている。新郎側の友人・職場の同僚と、新婦側の友人・職場の同僚がカップルになる事は珍しくない。ある日、カオリはG中の同級生の結婚式に参列した。二次会はとあるクラブを貸し切って行われた。踊る方のクラブだ。二次会でカオリは新郎側の友人"コウジ"の隣にいた。デリヘルも辞めて1年近くクリス以外の男とは接してないカオリからすると、久々の感覚だった。懐かしく居心地が良い。段々と火種が燃えてきた。酔いも手伝ってカオリは大胆にコウジにもたれかかっていた。コウジも周りにバレないようにカオリの身体を触ってくる。カオリも甘えた瞳でコウジを見つめる。二次会が始まって30分も経たない内に、二人は肩寄合いながら夜の静寂へと消えていった。

 起きたのは昼過ぎだった。家から大量に着信がある。帰らないと。連絡先を交換し、一旦は家に帰るも、カオリはコウジの事が忘れられなかった。それから定期的にコウジと夜逢うようになった。夜中にこっそり家をでて、密会を済ませ、太陽が昇る前にこっそり帰る。その繰り返し。しかし、既にカオリの中の火種は最高潮に燃えたぎっていた。とうとう家に帰るのも面倒になり、家にも仕事にも行かず、コウジの家に入り浸った。

 仕事場には子供の体調不良と嘘をつき、実家には職場の研修に行ってると嘘をつき、子どもを放置してコウジの腕の中で抱かれたいた。二人とも付き合ってるという関係ではなかったが、カオリはコウジが好きだった。しかし、コウジは稀代の遊び人で、カオリに対して全くの恋愛感情はない。ただのセフレとしか認識していなかった。二週間ほど経った頃、遊び人のコウジは流石に飽きた。些細な事で言い掛かりをつけて、カオリを家から追い出した。カオリは泣く泣くコウジを諦めて家に帰った。

 カオリは何事もなかったかのように家に帰る。母親に詰められるもバレバレの嘘でシラを切る。そして、クリス。当然ながらコウジといた時はクリスの電話やメールも無視だ。クリスに問い詰められるも『仕事の研修だから』と同じようにシラを切る。クリスの懐疑心がヒートアップするも、カオリは下手くそな嘘で必死にかわし続けた。

 しかし、これで終わりではなかった。カオリの火種は鎮火する事なく燃えたぎっている。クリスと一緒にいた事がよっぽど窮屈で苦しかったのか。ほとぼりが冷めた頃、次の結婚式に呼ばれた。また同じように二次会で男性と親密な関係になり、家に帰らず入り浸る。それを繰り返す生活が長く続いた。早い時は二日三日で家に帰るが、長い時は二週間くらい家を空けた。

 引き寄せの法則というか、カオリが出逢う男たちは女性を穴としか思ってないクズ男ばかりだった。そんな男たちがマナーを守るはずがない。それが起こるのは時間の問題だ。そして起こった。

 カオリは三度目の妊娠をした。






にふぇーでーびる!このお金は大切に使います!