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存在していたことの痕跡のようなもの  主に小説     詩を投稿していきます ゲーム …

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存在していたことの痕跡のようなもの  主に小説     詩を投稿していきます ゲーム 活字を嗜む暇に

最近の記事

見つめる

瞳と瞳で偶然に見つめあう 僕が瞬きを数回する 君はその瞬きと 同じタイミングで 同じ回数 瞬きを合わせる 君は柔らかく微笑んでいる ただの反応に過ぎないのか 対を意図したものかわからない 意味が全てぶっ壊れて 偶然の意味も跡形もなく崩れて 君に恋をする

    • 大きな公園の樹の下にいる あなたと二人で樹の幹に身体を預けている 下から吹き上げる風 木の葉が舞い上がる 通り過ぎてゆく人々は私達を引き立てる装置 ここは二人の舞台 あなたの雰囲気は現実を変えてくれる 私とあなたを中心に世界がまわる 目眩をしないようにあなたの瞳をみつめる あなたの優しい瞳をみつめる あなたの唇が私の唇に触れる とっくに理解している この優しさはお互い嘘だとわかっている それでも一緒にいたい この汚い世界で溺れないように 嘘を幾重

      • 一瞬だけの絵画

        不安の日々が続く 私から発する力と景色が反発を起こす ショーウィンドウを横切るときに浮かぶ曖昧な輪郭の自分 教室で声をかけてくれたあなたが 居てくれて 屈託ない笑顔をみせてくれるあなたが 居てくれて 何の取り柄もないはずの私を受け入れてくれたあなたが 居てくれて ありがとう 見える景色 私を囲む景色が一変した 一緒に降りしきる雨の中 登校している 荒い運転のトラックが猛スピードで横切る 飛沫が舞う 瞬間 沢山の水の粒が浮かぶ その一瞬を一枚の絵

        • 想いの箱

          何を悩んでいるのだろう 何を秘めているのだろう 君は少し俯いて虚空に瞳を重ねている 見つめた先の虚空に詰まった想いの箱 答えがみつかればいいと思う 間違っていても正しくてもどちらでもいい 時の流れに君の姿が任されてゆく 君の姿がまわりの景色と重なって 空気の膜が優しく包みこむ 君は静かに受け入れて優しく微かに微笑む

        見つめる

          束の間の時間

          その男性は不思議な人だった 何も持っていないはずなのに 何も手に入れていないはずなのに 成功していないはずなのに 私との暗黙の距離感という膜を破って フワリ と 踏み込んでくる そこでは私の多次元世界を司る演技が通用しない 私の次元の膜が剥がれ両頬がいつのまにか朱色に染まる その男性は自然な笑みで相槌を打つだけで去っていった こういう時間 瞬間も悪くはないかもと私は思う いつかの 束の間の時間

          束の間の時間

          帳へのパスポート

          わからないものに出会うと 君は一歩退く その瞬間 僕の瞬きと同時に君はみえなくなる 帳へと消えるパスポートを君は持っている その中で君は理由へと続く回路を開く つじつまとゆうピースを手にし ジグソーパズルを埋めてゆく ピタリ と嵌る 安心して君は帳を開く 脚色された眩しさと共に再び現れる 現実は君の力で変わるのかもしれない

          帳へのパスポート

          風に舞う

          郵便受けに挟まれたチラシが風に舞っている 玄関先の段差に腰を下ろしている 君は ハッ と息をのむような仕草で上を見上げている 季節の節目を迎えた花びらが風に舞っている チラリと心を覗き込んでくるもう一人の君が 花びらの舞を心に受け入れて眺めていると もう一人の悩んでいた君の輪郭をボヤけさせて霞ませる 君は答えが出ているのにこうして座って悩んでいたのかもしれない 時間の許す限り君は花びらの舞に見惚れている

          風に舞う

          君に生きていて欲しい

          君は曖昧さとかあそびを受け入れる心のポケットを持っている 瞳の焦点を意図的に少しズラして自身を可愛く魅せる 波紋一つない佇まい 周りが勝手に大人しくなる ある日 突然 この世界の変わりように絶望して死を選ぶかのような美しさ 明日に顔を背けても構わない 現実を殺しても構わない 君に生きていて欲しい

          君に生きていて欲しい

          温もり

          あなたが今何をしていようと構わない 降り注ぐ欲望の雨があなたの正体を隠してくれる 屹立する文明の連なりがあなたの正体を隠してくれる あなたの 今 の行動に関係なく存在する私 事実と虚構が織り成す私の記憶を辿るとあなたがはっきりと居るから フィクションの幕をかけた空間で 私はあなたの顔に両手を添える あなたは静かに受け入れる 力が抜けたあなたは私の両手から剥がれてうずくまる 冴えた空気に満ちた暗闇で二人を優しく照らすライト

          空に隠れる

          ぼんやりとした頭上 同じ地平からいつも眺めていた 見つめ合うのではなく 同じ景色を眺めていた 互いを結ぶ糸がいつのまにかほつれた 空回り 空転した関係 突然の 空という曖昧なものからの誘惑 からになった心を空に重ねて 遠い空に 何一つない空に 自身を隠れさせる

          空に隠れる

          雨粒の階段

          学校の帰り道 僕と君は土砂降りの雨の中を傘をさして歩いている 地面にできた水溜まりに際限なく波紋が作り出されている そうだ 傘を突き上げてさ 僕たちも虚空に何度も何度も波紋を作っていこうよ そうやっているうちに 雨粒が固まっていく 君にも見えるだろう 雨粒の階段が 雨粒を伝って僕たちは昇っていく 雷の閃光 次いで雷鳴が轟く 閃光はカメラのフラッシュ 轟く雷鳴は龍の雄叫び あまねくすべて 人を美しく 醜く演出させるための道具 君の濡れた髪も 幾分滑

          雨粒の階段

          窓から物事を見ている 窓のなかは安全だ 窓の外の景色と私の空想が混じり合う 例えば私が流す涙の代わりに窓の外に沢山のシャボン玉を浮かばせる 人々が行き交う群像は私に不快な関与を与えない 自我と自我がぶつかりあう世界を窓の外に作り出さない 世界とはこんなにも美しい いつか誰かが私の部屋の鍵を開ける宿命は心の澱みに引き受けて

          惚ける

          炎天下の昼下がりのコンビニ セミロングの髪を撫でた店員 レジの手前で口を半開きにして惚けたように夢見心地に浸っている 秘密を内包していない 内緒も抱えていない 無防備に心を放している 君の幸せを表す自然なだらしなさ 店内の張り詰めた空気が緩んでゆく 周りのお客が溶けてゆく 君の周りが君に成ってゆく 無軌道な絵空事が溶かしてゆく 君もお客も幸せそうに溶けてゆく

          惚ける

          黄昏

          公園の池のほとりのベンチに二人は並んで座っている 散歩に連れて行ってもらっている飼い犬の鳴き声 少年達が蹴り合うサッカーボールのバウンド音 誰かが地面の残り雪を踏みつける音 池のほとりの二人はいたって自然体 景色が移ろいゆく 陽が傾いてゆく さっきまで膨らんでいた音が萎んでゆく 黄昏時が訪れる 二人を少し酔わせて身体を軽くさせる 視界がグラスに注いだウイスキーの色に染まる