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束の間の時間

その男性は不思議な人だった

何も持っていないはずなのに

何も手に入れていないはずなのに

成功していないはずなのに

私との暗黙の距離感という膜を破って

フワリ と

踏み込んでくる

そこでは私の多次元世界を司る演技が通用しない

私の次元の膜が剥がれ両頬がいつのまにか朱色に染まる

その男性は自然な笑みで相槌を打つだけで去っていった

こういう時間 瞬間も悪くはないかもと私は思う

いつかの 束の間の時間

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