雨粒の階段
学校の帰り道 僕と君は土砂降りの雨の中を傘をさして歩いている
地面にできた水溜まりに際限なく波紋が作り出されている
そうだ
傘を突き上げてさ
僕たちも虚空に何度も何度も波紋を作っていこうよ
そうやっているうちに
雨粒が固まっていく
君にも見えるだろう 雨粒の階段が
雨粒を伝って僕たちは昇っていく
雷の閃光 次いで雷鳴が轟く
閃光はカメラのフラッシュ
轟く雷鳴は龍の雄叫び
あまねくすべて
人を美しく 醜く演出させるための道具
君の濡れた髪も
幾分滑る足元も
全ては演出
やがて二人は誰からも見えなくなった
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