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エニタイムフィットネスのマーケティングトレース

私も会員でよく利用しているエニタイムフィットネスのマーケティングトレースをやってみたいと思います。
旅行先でもついつい探してしまい、エニタイムがあると夜中に出掛けたりします。
家族には呆れられてますが、24時間いつでも行けて、ある程度揃った設備がある、という安心感があるので旅行先の暴飲暴食も取り戻せるような気がしています(戻せない)。

■会社情報

フランチャイズ展開をしているので、単体売上は66億です。

社名: 株式会社Fast Fitness Japan
設立: 2010年5月21日
企業理念: ヘルシアプレイスをすべての人々へ!
使命(Purpose): フィットネス習慣を拡大させることで健康寿命を延ばし、豊かな社会を創る
純資産: 96億6200万(2022年3月)
資本金: 214億2900万円(2022年3月)
年商: 130億9700万(2022年3月)
従業員: 237名(2022年9月30日現在)
代表取締役社長: 土屋 敦之
所在地(本社): 〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-12-1 パークウエスト6F
事業:
スポーツ施設の企画並びに経営
フィットネスフランチャイズの経営
フィットネス事業コンサルタント
URL: https://fastfitnessjapan.jp/

▼決算説明資料より
直接ジムを運営しているのは株式会社AFJProjectという連結子会社。
びっくりしたのは日本の施設数が世界1で1,044店、続くオーストラリアが546店。ダブルスコアなんですね。その次がイギリス、アイルランドで190店舗です。日本の1号店は調布店で2010年、それから2022年までに約1,000店舗を展開。
会員数も前年の9月末に比べ、+9.3万人増加しており、合計会員数は71.5万人
売上高(+13.4%)、営業利益(+6.6%)ともに前年同期比より成長している。出店数もやや鈍化しているものの増加。
参照:2023年3月期第2四半期決算説明資料

■PEST分析

エニタイムフィットネスを取り巻く環境を整理していきます。

Politics

世界的パンデミックを経て健康への意識の高まりが増進。スポーツ庁のビジョン「2035年、日本は健康先進国へ」宣言や「第3期スポーツ基本計画」などから医療業界とスポーツによる健康増進を進めていく施策を進行ていくらしい。が、具体的な施策は現状特に探せず…民間や個人の意識に任されてるのかも

ライフ・デザイン〜主体的選択を社会で支える
  ・自らが受けるサービスを主体的に選択できる
  ・人々が健康になれる社会環境をつくり、健康なライフスタイルを支える
      └ 健康の社会的決定要因を考慮したコミュニティやまちづくり

【新ビジョン公開】2035年、日本は健康先進国へ。 | 保健医療2035 | 厚生労働省

⑤スポーツによる健康増進
健康増進に資するスポーツに関する研究の充実・調査研究成果の利用促進、医療・介護や企業・保険者との連携強化等

第3期スポーツ基本計画(概要)」今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む12の施策

我が国の国民医療費は年間で約42兆円に達する中、スポーツを楽しみながら適切に継続することで、生活習慣病の予防・改善や介護予防を通じて健康寿命の延伸や社会全体での医療費抑制への貢献が期待されます。

スポーツを通じた健康増進」スポーツ庁

Economy

人との接触を避けられるパーソナルジムが増進している一方で、総合スポーツクラブでは店舗閉店に追われる企業もみられた。
このことから運動したいニーズはありつつも、フィットネス、ジム業態のあり方に工夫が必要だと考えられる。


Society

外出自粛や緊急事態宣言などにより外出が控えられつつ、リモート業務で出社などをしないために運動不足・健康への意識が高まった。オンラインフィットネスやパーソナルジム、スポーツジムでも人との距離が取れる場所、環境で運動できる場所が選ばれている印象。


Technology

AR、VRをもちいたバーチャルフィットネスの高まり。市場の成長も期待されている。
スマホやゴーグルのようなデバイスで自宅で行うフィットネスやよりパーソナライズされたヘルスケアなどが予想されている。


■5Force分析

売り手の交渉力

ジム経営者、フィットネスアプリなどの発信企業

買い手の交渉力

ユーザー。利用者。
数千円から30,000円の間で広めの価格感の中から選択肢がある。

新規参入

オンライン・オフラインフィットネス、ジム全般、e-sports
すでに1,000を超える店舗を運営している状況から、新規参入の驚異は少ない
自宅で行うかたちのフィットネスが広く普及することで驚異になりえるが、現状ではその環境は整っていないので1-3年の間には驚異にならないのではないか

直接競合

パーソナルジム、オンラインフィットネス、総合フィットネスジムなど。
またパーソナライズが強みのジム。

代替品

散歩など無料で行える運動、Youtubeの動画など
画期的なデバイスや他の利用形態などによって、もっと効率的、安価に健康を維持できる仕組みができたら代替品の脅威となりうるが、現状はなさそう。

■3C分析

Customer

年齢層が若い(20-30代)男性がターゲット。
まさにぶっ刺さってる印象。しっかりと筋力をつけたい人向けのちょっと良い器具の選定やスタイリッシュな内装などで差別化を行っている。

2023年3月期第2四半期決算説明資料

Company

「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」誰もが健康的に暮らせる心豊かな社会を実現することを理念としている。
また「24時間年中無休、マシンジム特化、全国相互利用可能、安全・安心・清潔・快適」の4点でサービスを提供しており、土地と器具さえあればエニタイムブランドが構築できるフランチャイズ展開のしやすさは強みでないか。
しかしパーソナライズされた、寄り添ったサービスの提供は難しい印象。また店舗によって利用者に与える体験を統一化できないことも弱みになる。
※店舗内で騒がしい、器具を雑に扱う、など、利用者の利用姿勢を店舗からの呼びかけで改善していく必要がある。
今後は地域の健康・安全を担うインフラの構築、更には日本の健康を創る先進企業としてフィットネスを通じて社会貢献に取り組んでいく。

Competitor

パーソナルジム、オンラインフィットネス、総合フィットネスジム、散歩、無料で行える運動、Youtubeの動画など。
パーソナライズされたメニューを提供してくれる形のジムやフィットネスは目的の違いもあるが、ポジションが異なる。トレーニング器具と場所を提供しているのみなので、パーソナライズという点ではやや弱みと言える。
※エニタイム自体がパーソナルトレーニングを提供しているので「やや弱み」とした。

■STP分析

Segmentation

人口動態:20-30代男性
地域性:都心によらず全国に幅広く展開
行動特性:定額制で24時間、自分の行きたい場所とタイミングで通えるジム。

Targeting

若年層向けの男性利用にフォーカスした市場は空白地帯だった。このマーケットへの進出に成功。

6R
1. Realistic Scale(市場規模)
2020年は3200億円、2021年は4130億円、2019年が4700億円と想定されていたことから、2023年も同市場規模にのぼると考えられる

2.Rate of Growth(成長性)
ウェルネスブームは今後も、オンラインとオフラインを行き来した新しい可能性を秘めている。

3.Rival(競合状況)
パーソナルジム、オンラインジムなど競合は一見多いが、オンラインとオフラインの共存などユーザーの利用状況が広がっているので、直接競合にならない場合もある

4.Rank(優先順位)
リモートワークが増え、健康志向が向上しているので優先順位は高い

5.Reach(到達可能性)
健康というキーワードで食品、住まい、などにも展開が可能

6.Response(反応の測定可能性)
アンケートや利用状況などから測定可能

Positioning

エニタイムの競合優位性=定額 x 全国どこでも相互利用 x 24hいつでも x 本格的なマシンを使い放題
・定額:店舗によって多少上下するが7,000-10,000円
・全国どこでも相互利用:都心だけではなく日本全国に幅広く展開。どこの店舗でも利用可能
・24hいつでも
・本格的なマシン:初心者も経験者(アスリート)にも対応したマシントレーニング環境を整備

■4P分析

Product

安価に24hいつでも全国で使える整った設備で行える、安心・安全なトレーニング環境の提供

Price

初月無料、友達紹介キャンペーンなど常に新規入会者向けのキャンペーンを店舗ごとに打ち出している。店舗ごとのキャンペーンの他、全国的なキャンペーンも常時開催している。月額費用のみ。

Place

都心に限らず全国に展開。80~120坪が中心で総合型フィットネスが困難なエリアにも出店を拡大。
ターゲット、コンセプトがはっきりしているので、パッケージ化された状態でFC展開も可能。

Promotion

2022年5月-8月に大規模な友達紹介キャンペーンを開催。ミルクボーイを起用したTVCM、WEB広告など幅広く展開。1店舗目はチラシと店舗発信のみで800名を超える会員を集めることに成功。SNS広告も打たず、地域に根ざした地道な広告活動で帰属意識を高めている

■4C分析

練習なので、改めて顧客視点からも分析してみます。

Customer Value

24時間、定額で自分の行きたいときに、行きやすいジムに行ける。

Cost

平均7,000-10,000円

Convenience

共通のキーで全国どの店舗でも24時間利用可能。自分の近所にある店舗を選んで行くことができる。

Communication

友人と一緒にはじめられるので心理的な障壁が低い。すぐに辞めたいときに辞められるので気軽にスタートできる。近所の店舗が探しやすい。

■成功要因まとめ

  1. 20-40代男性というターゲットの絞り込み

  2. 初心者から上級者まで対応した設備投資

  3. 24時間いつでも全国の店舗を利用可能

■もし自分がCMOだったら?

高校生の利用は無料、友達をつれてきたら割引、など全社をあげたキャンペーンを行っている。最後に、もし自分がCMOだったら、という視点で施策を考えてみます。

打ち手1:ターゲット層の拡大

健康増進から社会貢献をめざすということでもっと幅広い層にも健康への意識を高めてほしいので、小学校の体育の時間とコラボレーションしてトレーナーがレクチャーする。

打ち手2:インクルーシブなトレーニング体験の提供

決算説明資料の「人権方針」にも明記してありましたが、すべての人にとって健康を維持できる施設であることを認知してもらうため障害者向けの体力構造プログラムの開発と提供。

■学び

  • 同一業態と一概に言ってもニーズは千差万別であり、空白地帯をよく探す。ポジショニングの4象限を正確に出すこと

  • トレースは事実のみにフォーカスする。当たり前だが成功事例なので、私見を入れずに正確にトレースしてみる。あと振り返ること。

  • ボリュームが大きくなってしまったので、1時間程度でサクッとトレースできるように内容を絞る

長文になってしまいましたが今回はエニタイムフィットネスのトレースをしました。健康志向と合わせて今後も伸びていく業界だと思うので、これで終わりにせずに引き続きみていきたいと思います。今回も勉強になりました!

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