福永令三さん
知る人ぞ知る「クレヨン王国」シリーズの作者です。
子どもが借りてきた『クレヨン王国いちご村』と『クレヨン王国からきたおよめさん』を読み感動しました。
一言。
上手。
クスッと笑わされるところも散りばめられてあり、読みやすい文章。
『いちご村』の方は短編12本(12色?)だけれど、それぞれテーマも分かりやすく、キャラクターたちも生き生き、構成も鮮やか。
少年少女向けだから当たり前か。
『およめさん』の方はのっけから突拍子もない導入で引き込まれ、探偵モノ的ストーリーもあり、最後まで一気に読まずにはおれない一冊でした。
「感動」というのはそれでもやっぱり、子どもに対する愛情の深さでしょう。
だた「よく生きなさい」、「勇気をもって生きなさい」と言ったところでどれほどの効力があるでしょう。子どもが成長とともにメキメキと力をつけていくには勉強もとっても大切。「勉強」というよりもよく観察すること。特に自然に生きている草花、虫や動物たち。よく生きる、勇気をもって生きるには強さが必要。その強さとは、他者特に小さな子どものうちは中々見つけることが難しい、自分達より弱げに見えるものたち、それらに対する慈しみの心を持つことによって育まれる。幸い子どものうちは、先入観が少ない分、様々なものたちと交信ができる。大きなもの、強そうなものに憧れることにも一定の意味はあるけれど、そうなるためには内側の筋骨からしっかりと鍛えたい。強弱の差異を付け合うことに四苦八苦するあまり、「弱」とされるものたちの存在にすら気付かないというのはもったいない。そうならないためにも、様々な生き物たちに目を向け、交信し合い、強さの根源を見極める目を養ってもらいたい。最近の教科書がどうなっているのかは知らないけれど、昔国語の教科書なんかに出ていた長たらしい雑草などの名前が頻繁に見られるのにもちゃんと意図があるように思えるのです。正しく勉強もしなさい。というような。
その他、大人向けにも通用するような、一見バカバカしいと思えるような思い込みでも集団で陥ってしまうこともある、その仕組みとか、真実と虚偽、リアルと幻想などの境界の曖昧さなどなどのテーマを織り込みつつ、娯楽にも堪える物語を書く方法など、学ぶことの多い作品(群)なのではないか?と思うものです。
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