子供用マグカップセットの開発話 Part2
前回の記事ではリサーチやアイディア出しといった、料理で言う「下ごしらえ』的な話を綴りましたが、ここから本番「調理」=デザイン決定までの紆余曲折のストーリーが始まりました。
1.リデザインその1
「大人っぽいデザイン」が逆に「ありきたり感」「既視感」につながってしまっているのではないかと考え、もう少し子どもによったデザインで考えてみようと試みます。
(逆に・・・が多すぎて結局どういうことなんだ?という迷路に入り始めています・・・笑)
カラーリングも最初よりもキッズライクなカラーになっています。形状はというと、前回のツートーンのカラーリングと飲み口がカーブしているものを採用。それを融合させてディティールを詰めていきます。ベーシックなデザインに、飲み口の形状がアクセントで入ることで少しオリジナルな表情という点ではいい形になってきている気がします。
・前回のカラーと飲み口のエッセンスをミックス。ハンドルのサイズや形状も詰め始めています。
・ボトムが角張っているver.
・飲み口の歪みを強調。今見ると結構迷走してます。。
2.リデザインその2
しかしまだ完成には遠い気がします。
イメージよりも少し子供っぽすぎる気もするし。。
ここはやっぱり大人っぽくだろう。
完全にどつぼにはまっています。
・カラー、形、共に無骨で大人っぽいものを意識。しかしいくらなんでも子ども用のアイテムという点を無視しすぎました。。
3.リデザインその3
いやいやそういうことじゃないと。
なんとか軌道修正します。
少し前に立ち返り、そもそもの発想、ロジックは間違っていないと思いベースとなるデザイン(ツートーンや飲み口のカーブ)はそのままにハンドルのデザインを見直しました。
この辺りでデザインの大枠は決まってきました。が、ここから長いハンドル検証の道のりが待っています。
4.検証
大枠が決まり、ここからはディティールの検証です。
長さや径を変えて握りやすさのを、3Dプリンターでひたすら出力し検証しました。
・ハンドルの握りやすさ、太さを3Dで検証
・飲み口も微妙なサイズ違いでいくつも試します
・お皿の形状も同時進行で検証していきます。
そうして、試作を重ねるうち「子どもはカップを両手で持つ」という習性に気がつきました。
ハンドルを両手もちに変更し、実際に知り合いのお子さんに持ってみてもらうとハンドルのリング部分には手を入れず、握って持ち上げるという動作をしていました。ここにきてついに完成系が見えてきました。
・リング状をやめ、「握る」という動作によりフォーカスした形状に
・3Dプリンターで出力した試作品の数々
それと同時に飲む時にカップを目一杯傾けて飲んでいることがわかり、飲み口のカーブをもっと大きく、顔に沿うようなカーブに変更。
そこからヒントを得て、プレートの淵にもカーブを採用しました。
実際にカタチを手に取り、そして人に使ってもらい初めて気づくことがたくさんありました。
そしてそうすることでよりリアルな提案に近づき、数珠繋ぎのようにどんどんデザインが固まっていきました。
・検証の後、少しブラッシュアップしほぼ最終系のデザインに
つづく
こうして多くの検証を経てようやくデザインがかたまり、製造に進んでいきます。製品完成はPart3にて。
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