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子供用マグカップセットの開発話 Part1

今回から数回に分けた、『arigato giving』というブランドから発売された子供用のマグカップ&プレートのデザイン開発ストーリーになります。
一年の開発期間を経てリリースとなった本製品、振り返ると開発の流れが何段階もあり面白かったのでまとめてみました。

1.与件整理

今回のプロジェクトには割と明確な要望がありました。
「子供用のマグ・プレートセットを作る」「陶器で作る」大きく分けてこの2つのポイントが今回作るプロダクトの与件です。
割れやすい陶器で子供用の食器を作るという要望に、はじめは『?』が浮かびました。が、、クライアントの『子どもの時から本物の素材に触れさせたい』の言葉に俄然、やる気がみなぎってきました。

2.リサーチ

まずは既製品のリサーチ。子供用食器にどういった共通点や、デザインする上ではずせないポイントを調べます。もちろん今どのようなものがトレンドかもです。
次に陶器についてのリサーチ。陶器の歴史から、陶器の良さから悪い点まで調べていきます。
当たり前ですがこの時点ではまだどのようなデザインになるかわからないので、いろんな角度からデザインのヒントを探していきます。
そうして調べているうちにデザインのとっかかりになりそうな2つの方向性が見えてきました。

「このセットを使うのは子供。買うのは親である大人であること」
「子供に寄り添う機能性と、子供扱いしないデザイン」

という2点です。

当たり前ですが子供用と言っても購入するのは大人。そして子供に陶器を使わせたい親の気持ちを考えると、いかにも子供らしいデザインではなく大人と同じようなデザインのものを使わせたいのではないだろうか、という考えが浮かびました。

大人と同じようなものを使うことで、大人とお揃いで使っているような楽しさが生まれる。
大人と同じようなものを子供が使うからこそ可愛さが生まれる。

そうして、子供用のプロダクトのデザインにもかかわらず
「子供らしくないデザイン」がコンセプトに決まり、プロジェクトがスタートしました。

3.アイディア出し

上記のコンセプトを基にアイディアを考え始めます。
陶器の製品を参考にし、そのディティールを子供用にサイズダウンさせたり、カラーリングを少しキッズライクにするくらいで、形状自体は大人が使っても違和感ないくらいのようなものを意識しました。
陶器ならではの製造法といった角度からもアプローチしたりと、この段階は全然子供のアイテムをデザインしているきがしませんでした。

この段階では簡単なCGでアイディアを可視化していきます。それなりの形は出来ても「子供用の陶器のマグ・プレートセット」というオーダーに対して、まだ新しさに欠けるというか「ありきたり感」が拭えないデザイン止まりでした。

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アイディア1:大人らしさも子どもらしさも良いバランスで感じられるツートーンをメインにしたアプローチ。プレートの円は釉薬を塗らないゾーンで質感を分け、仕切りがなくてもお皿内に区画を作るアイディア。

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アイディア2:焼き物の「手作り」という部分にフォーカスし、有機的で人の手が加わっている温かみを再現。

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アイディア3:焼き物の手法の1つの溝に顔料を流し着色する手法を取り入れ、「陶器ならでは」にフォーカス。

つづく

まずはスタートを切った製品開発。
この後形状を決めるまで紆余曲折しますが、続きはPart2にて。

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