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CS Opsあるある〜プラン追加?そんなの考慮してない事件〜

やっとSwitchが手に入ったので、どうぶつの森やっててブログ更新忘れてました。すみません。
あるある事件簿、第3回。今回はサブスクリプションビジネスにおいて複雑化する契約プランについてです。永続していく契約に追加が入ると地獄だよね〜という話。

契約体系の複雑化は宿命的な戦い

スタートアップにいたときは、プライシングが3回変わりました。今の会社でもオプションプランが年1くらいで爆誕しており、マジで勘弁してくれよ状態です。こんなことは良くある話で、月更新→年更新を増やす、単純な値上げ、プランやオプションの追加あたりは、皆さん経験されているのではないでしょうか。
戦略変更によって発生する契約形態の増加(または減少)は、もはや宿命。お客様の為とはいえ、何かが増えれば(または減ったとしても並行期間が走るため)ルールが複雑化し管理コストが倍々ゲームになっていきます。法人向け、個人向け関わらず、よくある話ですが、携帯プランなどで変更のお知らせをいただくと、個人的に管理側の方々を思って胸が痛くなります。

管理周りの負債は無視されがち

例えば、オプションプランが一つ増えると、
①オプションと基本契約の更新タイミングは統一 or 別々
②オプションのみ解約は認める or 認めない
③オプションと基本契約の値引き額は統一 or 別々

と、ざっと考えただけでも考慮すべき論点、条件分岐(ルールと言ってもいいかも)が片手分くらいは出てきます。
ここに基本契約のプライシング変更が入れば、古いプライステーブルと新しいプライステーブルが並行で扱われるので分岐が起こります(新規サービスが1つ増える場合なども同じことが言えます)。ここまでは、まだ良いです。
次に新しいプライステーブルへ移行する条件を考えてみます。オプション追加のタイミングから新プライスとした場合は、発生する・発生しない顧客が出てくるため、更に複雑化します。私も書いてて訳分からなくなってきました笑。

そもそも何で起こるの?といえば、成長しているサービスの場合、売上観点で議論されがちで、こうした複雑化に伴う管理コストは横に置かれることが多い。決定しちゃったから、よろしくね!が、あるあるかと思います。

わかっちゃいたけど、準備なんかしてる訳ない

結局、何が問題かといえば、複雑化することは明らかなのにそんなものを考慮してシステムもオペレーションも作ってないということです。未来のことは誰もわかりませんので、汎用性高く準備しておくなんてスーパーなやつはいないのです!

もう一つの問題は、先程のような、契約変更条件が複雑だとCSMも理解できなくなっていき、終いにはお客様に説明ができなくなります。お客様のために作った新契約で首が締まるという本末転倒が起こります。
極力契約のルールは単純にするべきですが、お客様の納得度、前述のサービス提供側の売上追求事情などで複雑化します。
Ops側でルール整理と仕組み化をする必要があるのですが、仕組み化も複雑すぎる分岐に耐えられず、結局、属人的に契約周りの担当をおくなど人での担保に流れ着いてしまいがちです(うちの会社がそうです笑)
また、頑張って契約管理のシステムを改修したとしても負債を増やすことにかわりはありません。私が経験して最悪だったのが、改修が終わらないまま受注し始め、あとからデータの流し込み、オペレーションもやりながら作るハメになったことです。

負債のような契約を清算する場合はカスタマーの納得感が必要

長期的には、古いプライシングの廃止など複雑化した枝葉を削ぎ落としていく必要があります。当たり前ですが管理コストで売りを食い潰し始める場合は、早急に対応しないといけません。しかし、そこまでいくのは珍しく、多くの場合、事業のどのタイミングで行うのか経営判断になります。結局、判断できないので、ずるずる複雑化し続けているサービスも多いような気がします。
それはそのはずで、複雑な契約を清算する方法は2つしかないからです。

古い契約を一方的に廃止。一定の移行期間を設定し自動的に新契約に切り替える。同意を得られないお客様には解約をいただく
デメリット:一定数の解約、お客様からのクレーム
一社一社、新規契約への移行交渉を実施し全社切り替える
デメリット:時間、マンパワーといったリソースがかかる

①は、母数が多い個人向けサービスに多く、サービス提供側が市場として強い場合に取る手段です。①ができない場合は②になりますが、②を選択した時点で、単純化を諦めていると言ってもいいかもしれません。結局のところ、複雑化した契約を単純化して管理コストを下げたいというのはサービス提供側の話で、お客様には関係ありません。だからこそ①ができない会社のほうが多いわけです。Googleなんかは平気で①をやりますが…
面白い矛盾は、①を実施するために市場を独占するくらいサービスを大きくする必要があり、そのためには契約を複雑化させないといけないということです!

これとは全然違う方法で単純化に成功したのが、先日のEpic Gamesが『フォートナイト』の件でAppleとGoogleに対して訴えを起こしたケースです。これはあくまで個人的な憶測なので事実ではないですが、GoogleとAppleからRejectされたことを理由にすれば、カスタマーの納得感は高い(っていうか仕方ない)まま、提供チャネルを絞り込むことができます。こうするとEpic Gamesは自社都合ではなく他社の都合を理由に管理コストを下げることができます。あくまで憶測ですけど、お客様を敵に回さず管理コストを下げた、お手本のようなケースだなと感心しました。

契約管理を乗り越えたケースがあれば、ぜひ教えてほしいです。というくらいには困っています。。。

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