見出し画像

ぶりだけじゃない! 氷見ネタの江戸前寿司の実力

美味しいお寿司が食べたい! と思ったとき、私はたいてい氷見に車を走らせます。

目的地は、氷見の「すし屋の城光」さん。

氷見であがったネタを大将の素晴らしい仕事で最高の状態でいただけ、しかも「え、こんな値段でいいの?」と懐にも優しく、いろんな意味でいいお店なんです。

氷見というと、ぶりが有名ですが、ぶりだけじゃないんですよ。氷見であがる美味しいお魚は。

氷見のお魚は引いていえば富山湾のお魚。

富山湾はその地形から栄養豊富で天然の生簀と呼ばれていて、日本近海に住む魚種約800種のうち500種が住むといわれています。

なので、高級といわれる魚、例えばトラフグの水揚げも全国有数だったりクエなども普通に揚がるんです。

ちなみに見出しの画像はアカムツ。

そう、テニスの錦織圭さんが好きだとコメントしてから、さらに価格が高騰した別名ノドグロ。はい、高級です。

氷見であがったノドグロはねかせて甘みを引き出し、軽くあぶって。

脂ののったとろけるノドグロと、シャリのほどけ具合がまさにいい塩梅で……おっと、想像しただけで頬が緩んでしまいます。


さて、そんな氷見であがった地魚を楽しめる城光さんでは、やはり地魚おまかせにぎりを頼みたい。

大将が仕込んだその日の一番いい状態のネタをつかったにぎり12貫とととぽち(富山弁で魚のすり身)のお味噌汁を楽しめて3000円(+税)という破格のお値段!

一般のお寿司さんなら当たり前の値段じゃない?と思うなかれ。

大将の仕事がまた丁寧で、いわゆる街寿司のレベルを軽く超えちゃっているんですよ。

そして気が付けばミシュランに掲載されてたという。

でもね、ミシュランに載ったからといって、お店の雰囲気、気さくな大将と女将、そしてなにより居心地のよさは地元に愛された街に根付いたお寿司屋さんそのままなんで、ふらりと一人で来て、寿司を肴に飲む、なんていうのも普通にできます(っていうかやってます;笑)


さてさて、そんな城光さんのにぎりの中でも友人にはスペシャリテ、と紹介しているのが、この、バイ貝のにぎり。

画像1

塩と胡椒で、が城光スタイル。

このにぎりに初対面したときは、斬新な組み合わせに少々面食らった私ですが、バイを噛みしめるごとに広がる甘みと塩と胡椒のバランスのいいこと。そしてシャリにあうこと。

以降、私の中では城光さんのスペシャリテの位置づけに。しかもバイは一年中あるから必ず食べられるし。

画像2

トラフグは一味とポン酢で。

薄造りではない、しっかりとしたトラフグの身は、たんぱくだけれども、ねかせることでねっとりとしたうまみを引き出しています。


画像3

白エビと甘エビの二種食べ比べ。

これが出てくるといつもどちらを先に食べるか悩むんですよね。

もちろんどちらも富山湾でとれたもの。白エビが有名ですが、甘エビも結構とれるんですよ。

画像4

身の味が濃いワタリガニも定番です。

画像5

自家製ほたるいかの沖漬けなど肴もなかなか。手作りならではの風味と歯ごたえはさすがいい仕事していますね、大将!


富山のお寿司には、残念ながら新鮮なお魚をシャリにのっけただけの、言ってみれば「刺身寿司」があることも否めません。

もちろん魚は新鮮でお米も美味しいからそれはそれでありだと思います。

そしてシャリとネタのバランスがよく、素晴らしいお寿司を出しているお店であっても地魚を扱いながらも、他地域から仕入れているネタ(マグロとかね。ちなみに富山でもマグロとれます)を出しているところも多くあります。


そんな中にあって、城光さんはほぼ地元の魚で勝負、そしていい状態に持っていくべく丁寧な仕事をし、しっかりとした江戸前寿司を出す、という意外に思えるかもしれませんが割と希少なお店なのです。

せっかく富山に来たのだから、富山の魚を堪能したい。

そんなときの選択肢の一つとして、私はここを自信を持ってお勧めします。

あまり有名になってふらりといけなくなるのは困りますけど、ね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?