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『ひらがなさかさ』


2023年 人類は気付いていた

いやそれは言い過ぎたかもしれない。これからの話は日本語にまつわることだからせいぜい1億と数千人が気付いたこと。


特にココの人達。

約1億人が口に出さずとも気づいていること、言われたら確かにそうかもと気付かされること、それは



スッスッ シュパッ
シュパッシュパッシュパッ
スッスッスッスッスッスッスッスッスッスッ



ズンズンズンズン!ドンドンドン!




a few years later


あの時の言葉


「なるほどね。それで俺のところに来たってわけか」


「そうだなぁ。まずは書いてみよう」

「だめだ、今日はもう休もう。地球儀君、もう遅いから泊まっていきなさい」





「ああ。だいぶ疲れているだろう」


「もう寝なさい。俺はもう少しだけ考えてから眠るよ」


「『あ』はお花、か…。ひらがなお花…。お花はひらがな…。俺にもさっぱりだ…少し眠ろう」





アオーン
コツ コツ コツ
ガチャ キィィ
誰かいるのか…?
俺?…
ヴーン ジ ジジ
ユ゛
ザザ ガザ ザマ
はやく…朝に…
生えてる?刺さってるの??
君はたしか…
こいつは知らん!誰?!怖い怖い怖い怖い

「ハッ! はぁ。夢、か」


「怖い夢だったな。古い階段を下り…扉を開けたら誰かいて…暗闇…街灯の下には傘を持ってのけ反る女性…逆立ちの男…見覚えのある美しい女性(ひと)…そして」


「これは誰だ。『丹波黒豆煮』のコスプレか??」


「…かさ…さかだち…さかさ…ハッ、もしかしたら!」



「なるほどね。見えてきたよ。そういうことだったんだな」



「よし。書ききってしまおう」



「うーん」



「あ、思いついた!」



「これは…うーん…」



「見えた!よし!この勢いだ」



チュンチュンチュン

「ああ、全てわかったんだ。『あはおはな』も、『い』も『う』もね」


「これを見てくれ」


あの時のあの子


「あとは自ずと意味が分かってくるはずだ。よく見るんだ」




「そう、薔薇が見えてくるんだ。これが『あはおはな』の正体ってわけさ」


「考えることは同じだな」


ドスンッ

「ここに全て入ってる。さかさまにしたひらがなから見えてきたモノのイラストがね。地球儀君が好きに使ってくれてかまわない。すまないが俺は眠るよ。夢中になって一気に描きあげてしまったから、少し疲れてしまった」





a few hours later


「薔薇(バラ)」


「ハート♡」


あ、ちょ、赤ちゃん…よちよち 

愛(♡)に反応してしまったのね…寝かしつけてくるわね

「大砲」


↓↓↓


「逆手アイロン」


↓↓↓


「やせた仮面の人」


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「エサ食う金魚」


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「ジェンガの終盤」


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「座椅子」


↓↓↓


「イルカ」


↓↓↓


「なみだ池」


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「キャンプのイスで吹っ飛ぶ人」


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「減速しつつ山を下りるおにぎり」


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「6切るハサミ」


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「寿司屋のだし巻き卵」


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「顕微鏡」


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「シェフの炒めウインナー」


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「落ちる5のメス♀」


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「しらす」


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「懐かしい昭和のハンガー」


↓↓↓


「ドラゴン」


↓↓↓


「夢中になってイスから前のめり」


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「授業中にペンを鼻に乗せる中学生」


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「毬栗(いがぐり)」


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「落下しながら魂ぬける人」


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「ビンタ」


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「創作フレンチ料理屋で出された、穴あきスプーンとナイフの組み合わせを不思議がるデーモン閣下」


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「星のカービィ」


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「ムーミンの阿波踊り」



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「六角棒レンチ」


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「槍の人」


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「うどん持つ箸」


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「なぐさめラリアット」


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「視力検査で左さす」


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「風呂上りのプリングルス」


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「匿名のマダツボミ」


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「禁酒法時代の銃(トンプソン・サブマシンガン)」


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「あいつ ワシより強くねー?」(ハンターハンターより)


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「はなちょうちん」


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「田舎旅館に合宿中の運動部、トイレへ行く」


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「バス停で待つ女性」


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「貸出禁止の図書が重い」


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「求愛するのが恥ずかしいクジャク」


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「タコさんウインナーの反逆」


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「カルバン・クライン」


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「書けなかった&(アンド)」


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「にわとり」


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「トンファーで殴られる一つ目入道」


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「幽霊の挙手」











「それじゃ、まずは『あ』からはじめてみよう」
「思いついたのから埋めていくのもいいんじゃないかしら」
「いい案だね」「うん。そうしよう」

わいわいがやがや わいわいがやがや



「これ、すごいな…」
「日本語の美しさってやつかもしれないよ」
「これさ、俺たちも考えてみないか」
「僕も今そう思ってた」「私も」「私も!」

わいわいがやがや わいわいがやがや


「地球儀君による配信、そしてアーカイブは世界中で話題になった」


「そして全国各地、いや、世界各国で自分たちだけの『ひらがなさかさ』を見つけることがブームとなった。この場合、視つけるのほうが合ってるのかな。まあそんなことはどうでもいいか」



「この物語を紡ぐのは、逆さのひらがなに夢中になった者、共に視た仲間たち、そしてチルドレン」




「彼らが抱くさかさひらがなへの深い愛と興味は、内にある情熱を燃やし続ける」




「大胆な想像力。独創的であり続ける姿勢」




「発想の一つ一つが驚きと楽しさにあふれることだろう」




「『逆さのひらがな』は、人を魅了する」




「ヒエログリフやクレタ文字が持つ謎めいた力に引き寄せられるかのように、人々は逆さのひらがなに惹かれていく」



「それと同時に『逆さのひらがな』は夢と希望をもたらし、想像の源となるだろう」


-きどあいらく






「ねえねえ、最後の言葉どうする?」「どうする?」「どうしよっか」
「ひらがなさいこー!とか?」「いいね」「やっぱそうだよね」
「うんうん、私らひらがなきっかけでこうして仲良くなったんだもん」

「みんな、ひらがなさかさ、でしょ」
「HAHAHA!」「そうだったそうだった!」

「じゃあみんないくよ!せーのっ」

『ひらがなさかさ サイコー!!』








a few years later


「ねえパパ」
「んー?なんだい」
「ママってどんなひとだったの?」
「…ママはね、とっても綺麗なひとだったよ」

「じゃあいまは?」
「いまはもーっともーっと綺麗さ」

「だってさ。ママ」


まんざらでもなし



おわり

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