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短編小説

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#短編小説

短編小説『有神論的夢想人形』

「たった一回だけでいい。夢をみさせてくれ」 大きな屋敷に住む男は、訪ねてくる者皆にそう言…

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超短編小説 『息が白くなったよ』

 今日は風も冷たくて、雪が降りそうだ。窓を開けると、確かに白い粒が落ちてきた。積もりそう…

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超短編小説『きれいなタバコ』

タバコの香りは残っていない。 私はその匂いが嫌いではない。けれど、今はもうない匂い。 私…

18

超短編小説『中学生日記#1』

開いた窓から流れ込んでくる風がカーテンを揺らす。チャイムが鳴ると同時に一斉に動き出す空気…

10

超短編小説『赤いバラ』

気付くと私は悲鳴の中にいた。瞬時に判断できたのは、ここは中学校の教室で、生徒達は泣きわ…

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超短編小説『ラフメイカー』

高校で僕は笑い声部に入っている。商店街や学校、テレビで聞こえてくる笑い声を録音をして真似…

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無責任五月病

5月31日 憂鬱には心がない。これが僕の心の本質で、心の動きの一つではないのだ。僕の心に何が起こっても、どんな風に感じても、どんな気分でも、憂鬱がそれに取って代わって心の全てを塗りつぶす。何も考えていないように。ただそこに居るだけの人形のように。 6月1日 雨。傘を差さなくてはいけなくなると鬱陶しいし濡れてしまうのも煩わしいから嫌いだ。でも雨の音を聞くのはとても好きだ。雨音が心地よくて落ち着く。 6月2日 雨はまだ降り続いている。