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キャラクターとライセンス <25>ヒットの法則

前回の続きです。

ヒットの法則を見つけちゃった。というはなし。
前職のゲームセンター、クレーンゲームの景品(プライズ)のライセンス担当として、どんなキャラクターが、どういうプロモーションすれば、大勢の人がゲームセンターにやってくるかということは、永遠の課題で、試行錯誤の繰り返しだった。

最も印象的だったのは、2006〜2007年頃、avexの大塚愛さんが描いた「LOVE」というキャラクターを売り出したとき、ゲームセンターの開店前に長い行列ができたんだ。
そんなことは今までなかったし、自分たちもavexさんと版権のはなしをしているときに紹介されても知らないキャラクターだった。

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↑LOVEのイラスト(本人が描いたコメントが魅力)と
ぬいぐるみ(プライズ)

プライズって、100円〜200円を入れて、1回でGETすることってほとんどないよね。
取れなかったらまたお金入れて、何度でもトライする。
行列ができていて、前の人が何度もトライしているとイライラするよね、きっと。そんなんで、行列はなかなか短くならない。

LOVEが大塚愛のキャラクターって知っている人は知ってるけど、ファンでない限り知らないと思う。
で、行列を見て、あのキャラなんだろうって、知らない人は見てるけど、そもそもうさぎのキャラは可愛いし、「なんだか知らないけど、こんなに行列できていて、みんなかわいいから欲しいんだね」と思ってしまい、いつの間にかキャラのファンになっていくという構図が見える。

大塚愛のファンは、ゲームセンターにLOVEが登場することを、ファンクラブか、大塚愛のブログで知ったんだと思う。
タレント本人が今で言うインフルエンサーだったんだね。

次に行列ができたプライズは、「おさわり探偵 なめこ栽培キット」。
モバイルゲームのキャラクターでゲームが人気だった。
このキャラもプライズになったときには、行列ができてたね。
ゲームの公式サイトは毎日更新されていて、いろいろ販売される商品の情報が詳しく広報されていたよ。
プライズも、もちろんどこの店で何が登場するか、詳しく説明されてたんだ。そのせいで、最初は数少ない店に、ファンが殺到したんだね。

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↑主人公のなめこ

こんなに爆発的にヒットになるものもあれば、みんな知ってるキャラなのに全然売れないものもある。どーしてだろう?と思ったんだよね。そのとき。
それで、一生懸命、少ない脳みそを使って考えたところ、法則を見つけたんですよ!行列をつくる方法を!
サクラをいっぱい雇って、並ばせるんです・・!ってこと・・ではないよ。
キャラクターの選択を決める必要条件!

上記の2つのコンテンツは、いずれも「熱いファン」がある程度の数存在しますね。
そして、発売前に「いつからだよ〜、これが出るよ〜!」と公式サイトで告知されてます。

プライズって、新しいキャラクターを展開始めるときって、おっかなびっくりで、ロケテスト(ロケーションテストの略・・ロケーション=ゲームセンター)といって、数店舗のお店で、試しに出してみて、そのデータを取るんだよ。
お店にしてもそのキャラクターのポテンシャルを測ることができる(その後の仕入れの参考にする)し、メーカー(ライセンシー)は、データを見て客層や反応をその後の開発に活かせるから、利益度外視でテストをするわけなんだ。

行列ができたキャラクターは、お店としてはもう大変で、次の発注をバカみたいにするよ!テストをしてあげた甲斐があったというものだね。
他社には内緒!・・としたいけど、行列できたというニュースはその日に日本全国伝わっちゃうからね。
ということで、大ヒットになる!!

まとめると、
①熱いファンが一定数いる
②公式サイトや本人が告知する(事前に)
③ロケテストを数店舗でやる(店舗協力が必要)
④ぬいぐるみにしやすい、ファンに馴染みのあるものである
⑤行列ができたことを忘れないうちに、全国で展開できるプライズを用意する
などが、必要条件となるんだ。

でもね、そういう条件に当てはまるキャラがあまりないのが事実。
それでも、経験した中では、カナバングラフィックスとMTVが組んでできたアニメ「ウサビッチ」、安室奈美恵とウサビッチのコラボ「アムロッチ」などは条件にハマってるかもしれない。ヒットしたし。

今のSNSの時代になると、その条件も変わってきているかもしれないね。
youtuberだったり、インフルエンサーたちも当時はいなかったからね。
業界が違えば、また法則もいろいろあると思うけど、こういった考察は楽しいし、ハマれば大ヒットという、まだ見つからない法則もあるかもしれないよ。

つづく


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