制作者と高校生の熱気がすごい
テレビ局OBだが、バラエティ番組は滅多に見ることはない。ひな壇の芸能人がVTRを眺めながらあーだこーだと茶化すものなんて10秒間見るだけでも苦痛だ。
それでも時には「ああ、面白れぇ」とハマってしまう番組がある。最近のお気に入りはBSテレ東で再放送している「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」。タレントさん3人が3泊4日で路線バスだけを乗り継いで指定されたゴールを目指すのだが、ルートはガチに困難なもので、何時間もバス停で待ちぼうけをしたり、バスがつながらない部分は何キロもテクテク歩いたり。そのハラハラ感と街の人とのふれあいが面白い。
きのうは、たまたまザッピングしていて目に入ってきたフジテレビの「新しいカギ 2時間スペシャル」にすっかり見入ってしまった。前半は高校生の中に紛れ込んだ先生を探し出す「ティーチャーをさがせ!」。若づくりの先生がいたり、やけに老けた高校生がいたりして、それをいじるタレントも楽しそうだ。そして後半は学校内に身を隠すタレントを生徒たちが見つけ出す番組の目玉「学校かくれんぼ」である。スペシャル回とあって売り出し中のアイドルグループが学校にやってきて、感激のあまり泣き出す生徒もいるなどの盛り上がりだ。
参加する高校生たちが本気で喜んだり悔しがったりする熱気がすごい。そしてそれに応えるべくかくれんぼの仕掛けなどに創意工夫をする番組側の意気込み。双方が心の底から楽しんでいる姿はちょっと感動的ですらあった。
番組制作費があまり潤沢にはないだろうテレビ東京もその企画力で面白い番組を作るし、フジテレビも往年の熱気が戻りつつあるのかもしれない。
多メディア化する中でテレビ番組のありようもどんどん変わっていくのは必然。それでも制作者の熱気を失わない姿勢を持ち続けること、生き残りにはこれしかないのだな。
(24/9/8)