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「ダイヤル式電話の使い方」

 週末の日経別刷りで「なつかしのダイヤル式電話の使い方」という写真付き図解が載っていた。

 「①受話器を外す」「②ダイヤルしたい数字の穴に指先を入れる」「③ここまでしっかり回す」「④指を抜くとダイヤルが元に戻る」「⑤この動作を電話番号の桁数分繰り返す」と懇切丁寧な「吹き出し」まで書き込んである。

 咄嗟に「ギャクなのか?それともパロディか?」と思ったほどだが、そういう記事ではなく、110番や119番という3桁の特殊な番号を紹介する真面目な記事の一環だ。

 20代の長男に聞いたところ「ああ、古い映画やアニメで見たことがあるから、使い方はなんとなくわかる。どこかで触ったこともあるかもしれないけど、実際に電話をかけたことはないなあ」とのこと。なるほど、自分だってもう何年も使っていない。

 小学校低学年の頃、近くに住む友だちの家がプッシュホンになった。ネットによるとプッシュホンが始まったのは1969年だというから、そのご家庭はかなり早期に導入したことになる。「計算もできる」という触れ込みだったが、その後すぐに「カシオミニ」という画期的な小型電卓も出現したし、あれで計算をする人なんていたのかな。新しいモノが好きな子どもだった自分も、「ダイヤルが押しボタンになっただけだなあ」と思って、特に羨ましい思いもしなかった。

 こうしたコロコロ回す回線方式が「パルス式」、これに対して「ピポパ」と鳴らすのが「トーン式」。この呼び方の違いを知ったのは大学生のころだったか。留守番電話が急速に普及して、その設定で意識した。

 いま思うと、桁数だけジーコ、ジーコとダイヤルをしていたのはなんともまだるっこしい昭和の風景だが、それが当たり前だった。そういえば各新聞社の大代表の下4桁が1111なのは、「なるべく早く電話をつなぐためだ」と聞いたこともある。

 身近なテクノロジーの顕著な進化。懐かしいとは思うが、「あの頃はよかった」と単純に礼賛する気にもならないな。
(22/7/26)

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