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達意の文章で綴るうつ病のつらさ【感想文】「うつ病九段」先崎学

流石は長年にわたってエッセイを書き続けてきた先崎さんだけに文章が上手い。本人が味わってきたうつ病の苦しさの描写が鮮明だ(本当の苦しみはおそらくもっと大きいのだろうが)。自分はまだ大病をしたことがないので「入院したら会社にも行かず読書三昧かなー」とどこかでナメている部分があるのだが(病気の方には申し訳ない)、「週刊誌の記事も頭に入ってこない」という記述が心底恐ろしかった。先崎氏がほぼ回復した際に精神科医の兄が話した言葉も素晴らしく、もしこの病気になった際にはこの本を思い出せばきっと力をもらえそうな気がする。
本書にもあるが、「うつ状態」と「うつ病」は明らかに違うようだ。

先日の大坂なおみの“告白”を日本の報道各社は「うつ病」としていたが、あれは安易な翻訳だったのではないか、という思いが深まった。
(21/7/10)

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