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「顔を知っているだけ」の距離感

秋月春之介

 週末に有給休暇を追加し、2泊3日の日程で箱根へ行ってきた。古巣の報道セクションからの選挙特番応援要請を事前に“封印”したい、という思惑からこの日程になっていたもの。実際には要請は来なかったようだが、ま、それはそれでよし。

 宿泊したのはグループの保養所。このため、食堂での食事では知り合いに会うことがある。

 ばったり会う人が、親しい仲だったり同期だったりすれば「よお、奇遇ですねえ」と笑いあって、軽く家族を紹介すればいい。今回も報道時代の後輩がご両親らと来ていて、向こうから挨拶をしてくれた。「安倍さんの事件は驚いたねえ」「もし、お互いにまだ報道だったら、事件と選挙があるから、いまごろこんなところに来ていないねえ」と雑談にも花が咲く。

 2泊目に見かけたのが「顔は知っている。もしかすると、かなり昔に業務で1回だけかかわったこともある。しかし名前は忘れた」というおじさん。先輩に当たるのでもうOBになっているだろう。おじさん仲間でわいわいやっていたのでゴルフでもやるのかもしれない。

 積極的に近づいて「どうも、こんちは!」とやる仲でもない。向こうもきっとこちらに気づいている。「はあ、あれがあいつの家族か」と思われているか。これはなかなか気まずいものだ。

 もし、これがまったく平場の街かどでばったり会ったのであれば、がんばって気づかないふりをすることもないのではないか。会釈くらいはすると思う。

 そういえば、別の保養所で正月を過ごした際にはこんなこともあった。こちらはモロにうちの会社だけが利用する保養所なので、知り合いに遭遇する確率はぐっと高いことは覚悟している。

 元日の早朝にひとりで朝風呂に浸かっていたら、ひとつ後輩のおじさんがのっそりと入ってきた。仕方なく「いやいや、おはよう。あけましておめでとうございます」をやったわけだが、「ことし最初の『おめでとう』は、素っ裸でこいつとやったのかー」とモヤモヤ思ったことであった。
(22/7/12)

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