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愛って、なんだろうな。

キナリ杯というものが開催されるらしいと、偶然知った。

政府の緊急経済対策で配られる10万円を「文章」のために使いたいと、企画を立てられた方がいらっしゃると。

あれかな、女神様なのかな。って、思った。

私なんて配られた10万円で何を買おうか、やっぱりドラム式洗濯機かな、せっかくだから奮発して洗剤の量を自動で計量して入れてくれるやつがいいかな、なんて考えてた輩だから。

主催者であり運営者であり審査員長であり共催者である岸田奈美さんのことは、「奈美にできることはまだあるかい?」の記事を拝読した時に、初めて知った。

温かくて面白くて、正直で優しくて。家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だったって、なんて素敵な人なんだろうと。

直感的に、応募したい!奈美さんに自分の文章を読んでもらいたい!って、厚かましくも思ってしまった。

あの岸田奈美さんが、スルメのように読んでくれるチャンスなんて、後にも先にもない。「倒れるなら前のめり」が、モットーだ。幼い頃に何回も転んで顔面ダイブしたサラブレッド。

やるからには、今の自分にできる最善を尽くしたい。キナリ杯の開催告知記事を、何回も読み直した。

選考基準である「おもしろいってなんだろうな」の中で、自分が狙えそうなところをピックアップしてみる。

・実際にあったことを題材にしている
・誰かや何かを猛烈に愛し、魅力を語っている
・なんか知らんけど、異常な熱量を感じる

この辺りかな。私が猛烈に愛し、異常な熱量で語れることは何だろうか?と考えて。

…夫のことかなぁって、思った。

私はドラマ「モテキ」で黒縁メガネをかけた森山未來が全人類で一番好みドストライクであり、夫はその森山未來を30回くらいボコスコに殴ったら似てるな!って顔をしてるから大好きで。(誰に対して褒めてて誰に対して失礼なのか。各方面の皆さんごめんなさい。)

顔が好みなのもそうだけど、器用そうな手と爪、高すぎず低すぎない綺麗な声(声だけはイケメンと言われている←褒めてない)、肩幅はあるけど身長は低めな小熊みたいな風貌(私はクマ系のキャラクターが好き)、フワフワストレートで触りたくなる髪質、スマブラで5回に1回くらい私が勝てるちょうどいい強さ…あと、お日様みたいないい匂いがするところ。

私は直感で、恋をしてきた。箸の持ち方、歩き方一つとってもピンと来ないとダメだったり。逆に全部が全部圧倒的に完璧すぎるのも「私がいる意味…?」ってなって、お近づきになるのを尻込みしてしまう。
そういう細かな自分の中での基準に、夫はバッチリはまっているのだ。

何より彼の内面、人間性がすごく好き。

夫のことが大好きすぎて、この人と過ごせる残り時間があと数十年しかないかもしれないと思うと、死ぬのが惜しくて衝動的に深夜ポエムを書いちゃうくらい。(もはや熱力というか狂気)

付き合い始めてから10年が経とうとしているけど、実の親よりも誰よりも、夫のことを信頼してる。嘘偽りなく、どんなことも言える。人の顔色を伺いがちな私が唯一、いくらでも素直に怒れる、感情をぶつけられる人だ。(特に生理前はサンドバッグにしてる。ごめん、夫よ。)

今でも日を重ねるうちに愛が深まり続けている。たくさん喧嘩もしたけど、夫のことだけはどうしても諦めがつかなくて、さよならがしたくなくて踏ん張って、ここまできた。

この愛を、熱量を、どう表現するか。

そうだ、好きなところを100個挙げてみよう!と思った。100個なんて秒で挙げられる。きっと誰も好き好んで100個も書いてないはず。

ね?Googleセンセー?

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…めっさあるやあああーーーん。

いやあのね、よく年始に「今年のやることリスト100」的なの書いたりするじゃないですか。私も前に書いたことあるんだけど、それのパートナー版てのはまだないんじゃないか!って思ってね。

※調べてみると、梅つま子さんという方が過去にお題として「【いい夫婦の日】相手の好きなところ100個」で募集をかけられていた様子

私なんかよりもっと前にもっと素敵に、先人の方々が書いてらっしゃると。

最近読んだ「読みたいことを書けばいい。」には、既に読みたいことが書かれている時は、読み手でいればいいと書いてあったから。

夫への愛を、これまでに読んだことがない文章で、どうやったら面白く書けるだろうかと。

子どもたち乗せた電動自転車(総重量:息子17kg+娘13kg+自転車10kg+私リンゴ4個分)を必死に漕ぎながら、うんうんと考えて。

「夫のおかげで変われたところを100個挙げてみる」

というのはどうだろうと、思いついた。

そういえば世代的にど真ん中なスラムダンクのアニメ主題歌、「あなただけ見つめてる」ってそんな感じだったな。あなただけ見つめて、あなたのために自分を変えて友達を捨てて、あなた以外何もいらない的な。

あれは控えめに言って狂気だな。大丈夫かな。

でもさ、愛があるからこそ、自分のことを変えられるって思うんだよね。

「あなたの好きなところ、100個言います」よりも、「あなたのおかげで、私は100個も変われたところがあります」の方が、愛を感じない?それって私だけ?

…なんか夫には「まじでキモいヤバい」って2億%言われそうだけど、これを夫へのラブレターだと思って100個考えてみることにしよう。

…チッチッチ
(カキカキ_φ(・_・ )

…チッチッチ
(カキカキ_φ( ̄ー ̄ )

…チーン!

いや、100個キツイっす。無理っす。(自分で言い出したのに)

iPhoneのメモ帳に91個目まで書いたんだけど、2日くらいかけてね。一応捻り出してみたんだけど。
なんか被ってるのもあるし、そもそも私は夫のことが好きなのであって、自分自身のことをそこまで熱く語れるほど好きじゃないんだって。

91個まで書いて、やっと気付いた。

あれかな。アホなのかな。

このままだと没だ、完全に。

せっかくのキナリ杯なのに、まだ夫への愛を全然語れてない。これからフルマラソン走ろうとしてるのに、スタートラインに立つ前のウォームアップでヘトヘトになってしまっている。

だいたい、100個ってなんなんだ。数じゃないんだよ。たくさんあればいいってわけじゃない。

きっと前前前世から探し続けて、やっと出会えたんだから。

夫のおかげで、私の人生は180°変わった。生まれ変わったってくらいに。

夫と出会った頃から順に振り返って、自分がどれだけ変わったか、どれだけ有り難く、特別に想っているのかを、書いてみようと思う。ラブレター代わりに。

紅茶にレモンを添えてくれた人は、初めてだった。

あれはまだ結婚する前、彼氏彼女だった頃。

学生時代のデートは湘南新宿ライン沿い、池袋新宿渋谷をローテーションしていて、その日は池袋にあるインドカレー&ナン&ライス&サラダ&ドリンク食べ飲み放題のお店に入った。(いかにも学生らしいチョイス)

バターチキンカレーとナンとタンドリーチキンたちを堪能し、ラッシーと共に胃袋へ散々流し込んだ後、夫がフリードリンクコーナーから食後の紅茶を取ってきてくれて。

ティーカップのソーサーのところに、レモンが添えられていた。

「あれっ、レモン付けてって言ってなかったよね?」

「うん、いつもレモンティー飲んでるからさ、要るだろうなって思って。」

なにこの人すごい…!

この瞬間、夫の人間力と、そして愛を感じた。

家族以外で、私がレモンティーを好きだからと紅茶にレモンを添えてくれた人は、いなかった。

私なんてほんと残念な子で、夫はブラックコーヒーが好きなのに(今ならわかる)、毎回「砂糖とミルク要る?」って訊いちゃってたから。

その人の趣味趣向や価値観の類いは観察していればわかるもので、些細な言動から察することが愛なんだと、夫から教えてもらった。

自分の振る舞いをよく見てくれて、「あなたはこれが好きだよね」って理解してくれる人に対して、人は好意を感じる。

これは家族に対しても、友達に対しても、仕事をしていても。どんな時でも、誰かと関わるときには大切なことだ。

夫の何気ない行動により発生した、ティーカップにレモンを添えるか添えないか事件をきっかけに、周りの人をよく観察して行動するようになった。

汚部屋出身の女が、捨てる快感を覚えた

私はモノが捨てられない女だった。

今使わなくてもそのうち必要になるかもしれないって思ったり、誰かからもらったモノは捨てるのが申し訳なくなったりして、全然捨てられない。

自室はモノに溢れて、いわゆる汚部屋。

その部屋は、臆病で優柔不断な私を映す鏡そのものだった。

大学卒業後、いわゆる大手企業の総合職として入社し、念願の営業に挑戦させてもらえたのだけど…それがもうからっきしダメで。

お客様のために、自分はプロとして何を提供できるのか。
どうやって会社の売り上げに貢献するのか。
今の自分には、何が足りなくて、どう鍛えていけばいいのか。

とにかく失敗が怖くて、何も決められなかった。モノを捨てて後悔するのが嫌で、捨てずに来た自分のツケが回って来たのかもしれない。

営業という仕事はお客様と向き合い、自社のいろんな人たちを巻き込んでいく必要がある。
それなのに、なんでもかんでも上司や先輩に相談して決めてもらって、失敗することから逃げ続けた。結局自分の力は育たないまま、また次の試練がやってくる。とにかく苦しかった。

そんな最中に夫と結婚し、一緒に住み始めたタイミングで、営業から企画へ異動することになった。

一般的に見れば、営業から企画への大抜擢と見えるだろう。だけどそれは営業でちゃんと数字を出せた人の話。私の場合は営業として挫折し、情状酌量で企画に入れてもらった背水の陣。これが最後のチャンスだ、と思った。

これまで何も決められず何も得られなかった自分から脱却するために、藁にもすがる思いで、ロッカーに溜め続けていた書類を一切合切捨てた。

なぜって、決断力のある夫はモノを捨てるのも得意で、頭の中の整理はモノの整理と似ていると言っていたからだ。

ほんのわずかな引き継ぎ書類だけは然るべき相手へ渡し、いつか使うかもしれないと思ってとっておいた参考資料や研修資料の類は全部捨てた。

あんなに捨てるのが怖かったのに。

いざ捨ててみると、真っさらになったロッカーが清々しかったのをよく覚えている。

そこから企画の仕事で苦手だったExcelを触り、億単位の数字を四苦八苦しながら分析したり。数字の話は役員レベルに報告されるから関連部署が多くて、ひたすら調整したり。たくさんたくさん失敗して、恥をかいた。

だけど恥をたくさんかいた分、成長させてもらった。

ちっぽけなプライドを抱えて失敗に怯えてた自分を、きっとあの時ロッカーに溜め込んだ書類たちと一緒に全部捨てたんだろう。
今ではあの頃の自分はよく頑張ったなと思えるくらい、やりきった。

かたや夫はというと、結婚4年目で上の息子が1歳を過ぎた冬に、大企業からベンチャー企業へ転職した。
考えに考え抜いた結果、彼は大企業の肩書を"捨てる"ことにしたのだった。

夫はいつも、私の少し先で背中を見せてくれる。

私は捨てれば捨てた分だけ、何かを得られるという成功体験を得た。

夫婦関係にアジャイル開発を取り入れてみる

夫がベンチャー企業でチャレンジする姿を間近で見ながら、私は私で何か新しいことに挑戦したくなった。

若い頃の苦労は買ってでもしろ、とも言うし。じゃあ買ってみようかと。

詳しくは割愛するけれど、夫がベンチャーで忙しくなった代わりにワンオペ育児&フルタイム勤務&大黒柱をしてみたり、片づけの資格を取って第二子育休中にプチセミナーを始めてみたり。

どうも回遊魚型というか止まると死ぬみたいな生き急ぎ系な夫婦らしくて。

夫は平日も終電近く、土日も仕事をしてるような状態だったので、私が育児家事に加えてセミナーも始めてしまったものだから、育休中だというのにまあ余裕がなくなって喧嘩も増えた。

夫の面白いところは、夫婦間のギスギスした状況を何とかしようと、アジャイル開発手法を家庭内に持ち込んできたこと。
デイリースクラムとカンバン方式のタスク管理を、夫婦で取り組むことにした。

部屋の壁一面を使って付箋に書いたタスクを一覧化して、デイリースクラムで管理してみると、喧嘩がだいぶ減った。

さらに副次的な効果として、毎日対話を重ねるうちに、育児の方針を決めてみたり、家族の目標を立ててみたりと、お互いの価値観に深く触れていくようになった。

そして私の日々ぶち当たる問題の根本的な原因として、なななんと母子関係に問題があったことに気付いたのだ。

むしろ母とは仲が良いと思っていたから、全然気付いてなかった。完全に盲点。

だけどよくよく考えてみれば、母子で共依存関係にあって、私は自分の人生の主導権をちゃんと握れていなかった。

私の人生の"ぼうけんのしょ"を、母はプレイヤーとして一緒になってプレイしていた。私は臆病だったから、いつだって母に相談して決めていた。自分の人生のプレイヤーとしてバッドエンドになることを極端に恐れて、母にコントローラーを渡していたんだと思う。

夫のおかげで、私は私の"ぼうけんのしょ"を取り戻すことができた。

自分の人生の主導権を、ちゃんと握れるようになったのだった。

愛って、なんだろうな。

結論、私は夫みたいになりたかった。

夫の見た目が好きなのはもちろんだけど、内面を本当に尊敬している。

優しくて、自律と自立が出来ていて、本質を見抜いていて、他人のためが自分のためになる人。

まだまだ遠いけど、私は夫みたいになりたい。

愛ってもしかして、その人になりたいと切望するくらい尊敬することなのかもしれない。お互いを尊敬しあい、それぞれの長所で相手の短所を補い合えることが、良い夫婦関係と言えるんじゃないだろうか。

ベターハーフって言葉がある。

「魂の片割れ」って、意味らしいんだけど。

私にとって夫は、魂の片割れなんだなぁって、ふと感じた。

夫には夫の良いところがあって、夫から見て私は彼にないものを持ってるみたいで。2人の凸凹を補い合って、これまでの日々を何とか乗り越えてきた。

そして今はコロナ禍で外出自粛が続き、愛すべき片割れとずーっと一緒にいられるわけで。これまでこんなに一緒に過ごしたことはないってくらいに。

基本的には幸せなんだけどね、やっぱりお互いに顔を合わせ続けると、些細なことで喧嘩しちゃうし。きっとこれからも、ふざけんなって思うことがお互いにきっとあると思う。

だけど私は、これまで2人で積み重ねた日々を、夫への感謝を、忘れちゃいけない。忘れたくないよ。私が今、死ぬのが怖いくらいに人生を尊く感じられてるのは、夫のおかげなんだから。

世界にこれからどんな変化が訪れたとしても、この人と一緒に乗り越えていきたい。

いつかこの自宅で長く一緒に過ごした日々を、そんなこともあったねと、穏やかに笑いながら思い出せる日が来ますように。いや、止まない雨はないし明けない夜はないんだから、その日が来るまで精一杯、この人と一緒に生きていきたい。

サポート下さると、心の栄養になります!とてもとても、嬉しいです。細く長く続けられる、元気の素になります◡̈♥︎