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中堅・大企業でインサイドセールス組織を立ち上げるコツ

こんにちは、UNIQUEX(ゆにーくす)の松下暖です。

AWSでインサイドセールスチームの立ち上げを経験した後、現在はインサイドセールス組織を立ち上げたい企業へのコンサルティングを実施しています。

いくつかの現場を見る中で、インサイドセールスの立ち上げに失敗する理由と、その落とし穴を避けて成果につなげるコツが分かってきました。

そこで、現在インサイドセールスの立ち上げをしている方、これからインサイドセールスの立ち上げをしたい方への何かしらのヒントをお伝えできればと思い、このnoteを書いています。

はじめに:インサイドセールス市場とその背景

営業といえば、足で稼ぐ。

そんなイメージが強い営業職も、今ではリモートワークを取り入れた働き方に変わりつつあります。

早くからインサイドセールスが発展していたアメリカのような国土が広い国は、移動時間の削減が主な目的でした。しかしながら、日本でも新型コロナウイルスの流行により、急速にインサイドセールスが存在感を増しているように感じます。

私は2019年よりAWSへ転職して、初めてインサイドセールスという営業の形を知りましたが、2022年での認知度は、以前よりさらに上がっています。

2018年11月から比べると、2倍以上の検索ボリュームになっている

その一方で、インサイドセールスを取り入れてみたけど、うまくいかないという声も多く聞きます。

実際に私が支援した企業では、過去に自社インサイドセールス立ち上げに取り組んだもののうまくいかず、再挑戦する際に経験者である私へ声をかけていただいた経緯がありました。

支援していく中で痛感したのは、インサイドセールスは売ろうとしてるサービス、その企業の組織体系や文化によって、チューニングしていかないと、うまくいかないということです。

そしてそのチューニング方法は、Web上で発信されている記事では触れられていないことに気づきました。

そこでこのnoteでは、実際に大企業でインサイドセールス組織を立ち上げる現場で意識したコツをまとめてみたいと思います。
こんな方に読んでいただくのがおすすめです。

・中堅・⼤企業でこれからインサイドセールスを始める⼈
・サービスが成⻑し、組織としてインサイドセールスチームを⽴ち上げる必要のある⼈
・インサイドセールスがうまくいかなくて突破⼝を探している⼈

ちなみに、手っ取り早くこのnoteでしか読めない部分だけ読みたい場合には、目次の中にある「【本noteの注目ポイント】他組織の協力がなければうまくいかない」だけでも読んでみてください。

営業職の過去と現在

一足飛びにインサイドセールスの話をしたいところですが、まずは日本における営業職の過去と現在について触れていきたいと思います。

意外とインサイドセールスがうまくいかない要因として、日本の古い商習慣が背景にあるケースが多いからです。

そもそも、インサイドセールスは1990年代にアメリカで生まれたものだそうです。アメリカは国土が広く、移動時間削減のためにインサイドセールスというセールス方法が発展しました。

翻って日本では、国土が狭いので移動時間を削減する必要性も低いですし、むしろ対面で何回も顔を合わせることによる安心感を重視する企業も多く、インサイドセールスを選ぶ合理性が低い状態でした。

ところがデジタル技術の発展により、営業を通さなくても顧客自ら情報収集や比較検討を簡単に実施できるようになり、対面営業以外のセールスの重要性が増してきました。

https://www.magicmoment.jp/blog/requirements-to-make-the-model-a-success/ より引用

そこへさらに新型コロナウイルスの流行が拍車をかけ、インサイドセールスのようなリモートワーク中心の営業スタイルが急速に浸透してきているのが現在です。

さらに営業のDXの取り組みも広まりつつあり、セールスプロセスをデータドリブンで実施していくデジタルシフトや、

個人・組織の営業力を強化する取り組みについても、ナレッジシェアのサービス、

「セールスイネーブルメント」と呼ばれるセールスの組織開発についての発信を目にする機会が増えてきました。

これまで暗黙知であったセールスが、徐々に形式知化されつつあるのが現在の営業職における潮流です。

インサイドセールスはどんな役割を担うのか?

前章で顧客の意思決定プロセスの変容と、営業職のデジタル化について触れました。

早速、本題であるインサイドセールスの話に入っていきます。
インサイドセールスはどんな役割を担うのかというと、実はマーケティング部分から商談のクロージングまで、とても広い範囲のプロセスを担うことができます。

https://liskul.com/inside-sales-2-61308 より引用

前章では敢えて触れませんでしたが、日本では「テレアポ」という業種はかねてから存在していました。

過去にはテレアポ代行をしていた企業が、今ではインサイドセールス代行会社として名乗っているケースも多いです。

そのため「インサイドセールスって電話でアポを取るだけでしょ」という勘違いが、日本におけるインサイドセールスの理想と現実のギャップを生み出し、ポテンシャルを生かしきれずに終わるケースが多いように感じます。(ここを語り始めるとまた1記事生まれそうなので割愛します。)

私自身、外資に転職して初めて、インサイドセールスの持つポテンシャルを深く知ることになりました。

実際にインサイドセールスによって、案件の発掘はもちろんのこと、大小様々な案件のクロージングをオンラインで完結していました。

前章でもあったように、顧客の意思決定プロセスも変化していますし、最近ではセールスを介さなくてもサービスを申し込み、使い始められるサービスも多く存在しています。

テクノロジーが進化し、サービスの提供形態や顧客のニーズが変化し続ける中で重要なのは、顧客にとって心地よい接点を設計することと、そのサービスは何の問題をどのように解決するのかを顧客目線で考えていくことです。

インサイドセールスについても、担えるプロセスが広範囲に渡るからこそ、どの部分を担うべきなのかを見極めることが重要です。

インサイドセールスの立ち上げに失敗する要因で多くを占めるのは、この役割の見極めにあると実感しています。

ここから先は実際に、どのようにインサイドセールスチームを立ち上げていくのか、について書いていきたいと思います。

本編:中堅・大企業でインサイドセールス組織を立ち上げるコツ

【重要】事前準備の時点で失敗が決まっている

まず、事前準備として①と②を必ず実施してください。

この2つのステップでGoサインが出た時に、初めてインサイドセールス組織を立ち上げた方が良いです。

家を建てる時には基礎が重要であるように、インサイドセールスを立ち上げる前に事前準備をしっかり行わないと、後々チームが崩壊することになります。

もし会社でインサイドセールスを立ち上げようとしていて、事前準備の①と②がフィットしていない場合は、強い意志を持って立ち上げを見送ることも重要です。

事前準備①:サービスのプロダクトライフサイクルを把握する

実際にインサイドセールスの立ち上げを支援する中で、アクションを起こしても手応えが感じられなかったケースがありました。

それらのケースに共通することは、売ろうとしているサービスが、プロダクトライフサイクルでいうところのキャズムを超えていなかったことでした。

https://www.innovation.co.jp/urumo/product_life_cycle/ より引用

サービスを立ち上げたばかりの時は、インサイドセールスチームを単独で立ち上げるよりも、「メンバー全員がセールス」という立場でセールス活動を行い、顧客開発と呼ばれる取り組みを実施することがおすすめです。
(弊社代表のnoteが割と参考になるのでリンクを貼っておきます。)

じゃあインサイドセールスを実施するのはどのフェーズなのかというと、キャズムを超えた後の需要がどんどん増えていき、PMFを迎える前後が適していると考えます。

①成長期真っ只中のケース
プロダクトが成長期(PMFとも呼ばれたりする)真っ只中では、顧客からの大小・難易度の様々な案件が爆増するため、インサイドセールスが調整弁となり、フィールドセールスが費用対効果の高い案件に集中することができます。

②成熟期以後のケース
成熟期以後のレイトマジョリティを獲得するフェーズでは、インサイドセールスチームが新規開拓を担うことで、フィールドセールスが費用対効果の高い案件に集中することができます。

このように、今回売ろうとしているサービスがプロダクトライフサイクルでどの部分に位置しているのかを把握することが重要です。

なお、インサイドセールスは主に契約前の顧客だったり、既存顧客でも新たな案件が見込まれる場合にフォローアップすることがメインの役割です。

既存顧客に手厚くフォローすることが求められる場合には、カスタマーサクセスが適任でしょう。

事前準備①の重要性
この事前準備①の条件が当てはまらない場合は、自社の顧客リストの総量が少なすぎる可能性が高いです。その場合、インサイドセールスを利用するメリットを生かすことができません。

私が実際に支援し、うまくいかなかったケースも、振り返ってみるとこの条件を満たしていなかったことが大きな要因だと思います。もしこの条件を満たしていないのであれば、インサイドセールスの立ち上げを見送ることをお勧めします。

無理やり取り入れようとして失敗すると、「インサイドセールスはダメだ」と社内で評価されてしまい、本当に必要な時に反対されてしまうリスクがあるからです。

インサイドセールスのメリットは、効率的に多くの顧客へタッチし、見込み顧客へと育成していけることです。
そのため、自社の顧客リストのボリュームが必要になります。

事前準備②:自社の顧客リストの量と質を確認する

事前準備①の条件を満たし、自社の顧客リストの総量が十分に確保できている場合、もしかしたら既にフォローすべき顧客リストの順番待ちが発生しているかもしれません。

関係各部署からの期待も相まって、一分一秒でも早く、顧客リストに対して片っ端からアプローチしたい・・・!というはやる気持ちを抑えて、自社の顧客リストの量と質を確認することが大切です。

顧客リストの量を確認
顧客リストの量では、最低限のクレンジングをした上でリストの総数を確認します。

クレンジングの例
・メールアドレスが有効か
・電話番号が有効か
・顧客がマーケティングからの情報提供に合意しているか?
・サービスがターゲットとする業種業界・企業規模(年商や従業員数)を満たしているか?

クレンジングの結果、そもそも有効なメールアドレスや電話番号を登録している顧客が少ないとか、サービスがターゲットとする業種や業界、企業規模を満たす顧客が少ないのであれば、マーケティングチームと連携して戦略・戦術の練り直しが必要になります。

顧客リストの質を確認
顧客リストのクレンジングが完了したら、次は質も確認することで、さらにインサイドセールスによる見込み顧客獲得・育成をスムーズに実施できます。

質の例(BANT+C)
・役職:契約の意思決定権を持っているか
・部署:サービスを購入できる予算枠を持っていそうか
・導入予定時期:1年以内に購入しそうか
・競合の有無

サービスを購入してもらうには、その会社からお金を払ってもらう必要があるので、予算枠を持っているか、その予算を使える権限がある人と話せるかが重要ですよね。

そして導入予定時期が未定、もしくは数年後の場合はやはり優先順位が下がります。競合がいる場合も、自社を選んでもらうための情報インプットが必要になるので、難易度が上がります。

導入予定時期や競合の有無は、顧客から聞かないと分からない項目なので、マーケティングが実施するセミナーのアンケートの項目に入れてもらったり、問い合わせフォームの項目に入れてみたりするとスムーズです。

質は顧客リストの優先順位付けにも使える項目なので、上記の例以外にも、社内のフィールドセールスや他部署にもヒアリングをして、どのような属性を持つ顧客の成約率が高いのかを確認し、見極めを強化していきましょう。

インサイドセールス立ち上げのコツ

事前準備の確認、おつかれさまでした。
前置きが長かったですが、ここまできたら事前準備で基礎固めができているため、インサイドセールス立ち上げの成功可能性が格段に上がっている状態です。

それではいよいよ、具体的なインサイドセールス立ち上げのコツについて書いていきます。

まずは顧客と話そう

ここからはいよいよ、顧客と話していくフェーズです。

初めて顧客と電話をかける場合には、事前に社内でロールプレイを実施するとハードルが下がります。

もし直近でウェビナーやセミナーなどを実施していたのなら、参加者に対して「参加のお礼」として電話をかけると、会話も弾みやすいです。

電話をかける際に、コールスクリプトと呼ばれる、顧客との対話を想定した台本を作るケースもありますが、個人的にはあまり良い手だとは思いません。

型に囚われすぎると「台本を読んでいる感」が出てしまったり、インサイドセールス本人が頭を使わなくなったりするからです。

ただし、チーム内で人によってヒアリング内容のムラが出ないように、ヒアリング項目は整理しておくと良いです。

ヒアリング項目を選定する上で意識したい点は、顧客から直接聞き出さないと得られない情報の中で、自社のサービスを買ってもらうために必要な情報は何なのかを考えることです。

こうした準備を実施したら、あとはとにかくどんどん顧客と対話をしていきましょう。

インサイドセールスは基本的に外出しないため、多くの顧客と電話やメールで接点を持つことができます。

直接顧客と接点を持つことで「こんなことに困っているんだな」とか「こういう解決策が刺さるかもしれない」など、さまざまなインサイトを得られることもインサイドセールスの大きなメリットです。

なぜ顧客は買ってくれるのか?

顧客と接する機会が増えると、どんな業務をしていて、何に困っていて、どんな解決策を求めているのか、という解像度が上がっていきます。

一方で、インサイドセールスでは新規顧客と接する機会の方が多いため、「なぜ顧客は買ってくれるのか?」を、いまいち理解しきれないという問題も浮上してきます。

そのため、実際に導入を検討している顧客や、既に利用している顧客の話を聞く機会も持つことが重要です。

既存顧客が「なぜ買ってくれるのか」を理解することで、まだ買っていない人たちを、どうやって買いたいと思わせるか、を具体的に考えていくことができます。

この三つの理由を理解するために、成績上位のフィールドセールスから話を聞いたり、実際に顧客とのMTGに参加したりして、顧客の抱える問題と解決策を把握すると、顧客の解像度も更に高まっていきます。

そこで得られた知見により、さらなるターゲティングの仮説を立ててアプローチし、その結果を検証していくことで、インサイドセールスチームが成長していきます。

見込み顧客と出会える機会を探そう

ここまでは、既に存在している顧客リストに対してのアプローチについて触れました。

しかしながら、既存の顧客リストはアプローチすれば減っていきますし、どんどん古い情報になっていきます。

そのため、新たな見込み顧客に出会える機会を常に探し、作り続けていかなければなりません。

自社が顧客と出会える接点のことを「チャネル」と呼びます。
まずは今、どんなチャネルがあるのかを把握していきましょう。

https://ferret-one.com/blog/outbound-sales より抜粋

インバウンド
インバウンドとは、顧客から興味を持ってもらい、能動的にアクションしてもらったところからスタートする営業です。

インバウンドの中でも特にフォローすると良いのは、顧客自らがサービスの問い合わせフォームから登録してくれたケースです。

逆の立場で考えれば、何らかのサービスに興味を持ち、問い合わせフォームに登録するのはかなり興味関心が高い状態ですよね。

状況によっては、問い合わせフォームに登録のあった顧客の情報を、マーケティングチームを介さずに直接インサイドセールスチームへ連携してもらい、対応を巻き取ることで、よりスピーディーに顧客へのアクションが可能になります。

アウトバウンド
アウトバウンドとは、自社から顧客へアクションを行う営業です。

顧客からすれば、興味のない状態からアプローチをされるため、難易度の高い営業手法と言えます。

あえてアウトバウンド営業を仕掛けるのに有効なケースは、大企業の顧客で一部の部署でしか利用しておらず、他部署にも展開して利用してもらいたい場合です。

サービスのプロダクトライフサイクルが成熟期以後になると、顧客からのインバウンドが減るため、アウトバウンドで仕掛けていくことで見込み顧客を獲得していかなければいけないケースも増えてきます。

具体的な手法は長くなるので割愛しますが、もし興味がある場合はお気軽にコメントや問い合わせをいただければと思います。

【本noteの注目ポイント】他組織の協力がなければうまくいかない

ここまでは、基本的にインサイドセールスチームが単体で活動するアクションについて触れました。

ここからは一歩踏み込んで、インサイドセールスチームが他組織からうまく協力を得る方法について書いていきたいと思います。

このnoteが他のWeb記事や書籍などと比べるとオリジナリティがあるのは、この章だと自負しています。(というか、ここを書きたくてこのnoteを書いたフシもあります。)

他組織との連携に関しては、現場での経験が求められるため具体的で込み入った話が多く、Web記事や書籍などでは深く触れづらい部分なのだと思います。

ですが、インサイドセールスの立ち上げがうまくいかない時に、他組織との連携に顕在・潜在的問題を抱えているケースが非常多いです。

私にしか書けないことを、今持てるすべての呪力と魂を込めて、形式知に残しておきたいと思います。

他組織の協力を得る方法①:他組織のミッション・目標を把握する

インサイドセールスチームは、関わらない部署の方が少ないと言えるほど、多くの他組織と関わっていくことになります。

そこでここでは、立ち上げ初期から特に密接なやりとりが発生する、マーケティング・フィールドセールス・カスタマーサクセスに絞って触れたいと思います。

インサイドセールスの立ち上げにおいて多くの場合、彼らがそれぞれで担っていた部分を、少しずつ手放してもらってインサイドセールスが担うことになります。

逆のケースだと、空白になっていた部分をインサイドセールスが担うこともあります。

そのため、彼らが組織としてめざしているミッションや目標を理解し、インサイドセールスが新たに立ち上がることで影響が及びそうであれば、相互に調整することが必要になります。

他組織の協力を得る方法②:他組織の利益を考える

他組織の協力を得るためにもう一つコツとして挙げられるポイント。それは、自分たちのミッション・目標を達成するためには、インサイドセールスチームと連携すると得である、と思ってもらうことです。

組織を無機物のように捉えてしまうと、ここの落とし穴にハマり、他組織からの協力が得づらくなります。人が組織を動かしていることを忘れてはいけません。

そのため、インサイドセールスは他組織のミッション・目標を把握した上で、彼らにとっての利益は何かを考え、提案しながら協力を仰いでいくと、スムーズに連携できます。

他組織から見たインサイドセールスのメリット(例)
マーケティングチーム
・リードへ直接アプローチできる
・マーケティング施策の定性・定量的なFBが得られる
フィールドセールスチーム
・商談/アポイントが増える
・新規開拓ができる
・定期的に細やかなアプローチができる(ナーチャリング)
カスタマーサクセス
・アップセルのきっかけができる
・潜在的なチャーンリスクを把握できる
エンジニア・事業開発
・顧客の⽣の声を定性・定量的に得られる
社外パートナー
・自社以外のセールスリソースを使える

他組織の協力を得る方法③:役割分担と共に具体的な業務を整理する

ミッション・目標を把握して連携を進める中で、具体的な業務に落とし込んでいくのが役割分担となります。

例えば、顧客がWebから問い合わせをしてきた場合のフローを見直す場合は、顧客の体験を意識して、対応の抜け漏れや遅延することがないように役割分担を調整する必要があります。

ここで顧客からのクレームや重要な商談の取りこぼしがあると、インサイドセールスとの連携に関して他組織からネガティブな印象を持たれてしまいます。

そのため、「問い合わせ対応」や「イベントフォロー」など、各業務に関して、フロー図も必要に応じて用いながら、役割分担を詳細に明文化して調整していくとスムーズに連携できます。

インサイドセールスはレバレッジポイント

インサイドセールスはその活動が順調に進めば進むほど、多くの他組織・チームと連携していくことになります。

サッカーで例えるならば、インサイドセールスは攻守の要となるミッドフィルダーの司令塔ポジションと言えるでしょう。

そのため、インサイドセールスがうまく機能できれば、サービスの成長も加速していくレバレッジポイントになり得ます。

拡大する組織同士の連携を生かすも殺すもインサイドセールスである、という意識で戦略や戦術を考えていく必要があります。

インサイドセールスは、創造的で生産的な、やりがいのある職種だと思っています。

チューニングし続けよう

ここまで、インサイドセールスチーム内での取り組み、チーム外の他組織との取り組みについて触れました。

ここからは、インサイドセールスチームが成果を出し続けるための仕組みづくりについて触れていきます。

アジャイル開発手法(スクラム)を取り⼊れる

インサイドセールスチームの立ち上げ初期は、正解がわからない中で進むことがほとんどです。

ターゲティングの精度も高くないため活動量を確保しなければならないし、他組織とも走りながら役割分担を明確にしていく必要があります。

そのため実際に私が関わっていたチームでは、アジャイル開発で用いられるスクラムを取り入れることにしていました。

https://www.cct-inc.co.jp/news/technology/dx-agile-development/ より図を引用、コメントを挿入

アジャイル開発でいうところのバックログを、インサイドセールスにおける施策やプロジェクトに置き換え、カンバン方式でタスクを管理する感じですね。

会議体は、立ち上げ当初はデイリースクラムを取り入れて毎朝15〜30分程度で実施していました。

デイリースクラムをタスク実施状況の確認に加え、小さな疑問をすぐに解消する場として活用したことが、スピーディーな立ち上げに貢献したと感じています。

2023年現在は、リモートワークを一部でも取り入れている企業がほとんどですし、特にインサイドセールスはどこでも働けるので、チームメンバーが対面で一堂に会する機会がなかなかありません。

いつでもチャットツールで声をかければいいという考えもありますが、組織の文化や個々人の性質により、「こんな些細なことで連絡しても大丈夫だろうか」と、問題を先送りしてしまうケースも実際に多く見てきました。

些細な疑問をすぐに解消できないと、活動量が下がってしまったり、実は重要なインサイトだったのに見逃してしまったりする問題が発生します。

そこでデイリースクラムを取り入れれば、毎日メンバーからの疑問や意見を吸い上げ、タスクの優先順位をチーム内で合意しながら進めることができます。

正解がわからない中で進むインサイドセールスの立ち上げ期は、スクラム手法を取り入れて、仮説・Action・検証のサイクルを回していくことが必要不可欠です。

チームが立ち上がってくるとどうなるのか

こうしてチューニングを続けながら活動し、インサイドセールスチームが立ち上がってくると、チームが⾃律的に動いていくようになります。

各メンバーが顧客の声を伝えたり、アポイントにつながりやすいトークを発見したり、どのようなターゲティングだと見込み顧客を獲得しやすいかを施策として提案したりする姿が見られるようになります。

活発な意見交換がなされ、インサイドセールスチーム内の雰囲気も良くなり、他組織からも頼りにされるでしょう。

また、マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールスのファネルごとのデータが貯まっていけば、サービスの成約予測(フォーキャスト/forcast)もできるようになっていきます。

ここまでくれば、インサイドセールスチームが立ち上がったと言えると思います。

インサイドセールスチームによる人材育成の効果

外資系企業では、若⼿社員や中途入社のセールス担当者をまずインサイドセールスチームに配置することが多くあります。

その理由として、より多くの顧客と直接対話ができることや、様々な組織と連携することで、サービスに関わる組織の全体像を把握できることだと考えられます。

特に若手社員に関しては、自律的に動けるようになりポテンシャルを最大化できたり、⾃ら考え、学んでいく姿勢を育むことができます。

そして、様々な組織と連携するため、自分がどの分野のスキルを磨いていきたいかをより具体的に考えられ、ミスマッチを防ぐこともできます。

まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
大変長くなってしまいましたが、このnoteのポイントをもう一度まとめます。

インサイドセールス立ち上げのポイント

  • 事前準備①:プロダクトライフサイクルを把握する

  • 事前準備②:顧客リストの量・質を確保しておく

  • 顧客がなぜ買ってくれるのかを理解する

  • 見込み顧客と出会える機会を拡大していく

  • 他組織の協力がなければうまくいかない

  • 他組織から協力を得る方法①:ミッション・目標を把握する

  • 他組織から協力を得る方法②:他組織の利益を考える

  • 他組織から協力を得る方法③:役割分担と業務整理を実施する

  • 成果を出すためにチューニングし続ける

  • スクラム手法を取り入れる

  • チームが立ち上がると自律的に動き始める

  • インサイドセールスは人材育成にも効果あり

このnoteによって、インサイドセールスへの理解が深まり、成果につながるチーム作りへ少しでも貢献できたのであれば幸いです。

何か感想や質問、ご意見などありましたら、お気軽にコメントお待ちしてます!SNSでのシェアも大歓迎です。

インサイドセールス立ち上げの取り組みについて具体的なご相談があれば、お気軽に弊社の問い合わせからお声がけください。

これからもインサイドセールスや組織開発についてのnoteを発信していきますので、よければnoteアカウントかマガジンのフォローをお願いします。

インサイドセールスにより、良いサービスがより多くの方に知られ、使われる機会が増える未来が訪れる一助となれたら嬉しく思います。

お互いに試行錯誤しながら、頑張っていきましょうね〜。



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