僕の好きな詩について 第十六回 金子みすゞ
僕の好きな詩を紹介しながらお話しするnote、第十六回目は金子みすゞです。
すっごく悩んだんですけど(なんなら違う詩人と詩で途中まで書いたのですが)、金子みすゞです。まずは詩をどうぞ。
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「不思議」金子みすゞ
私は不思議でたまらない、黒い雲からふる雨が、銀に光っていることが。
私は不思議でたまらない、青い桑の葉食べている、蚕(カイコ)が白くなることが。
私は不思議でたまらない、たれもいじらぬ夕顔が、ひとりでぱらりと開くのが。
私は不思議でたまらない、誰にきいても笑ってて、あたりまえだ、ということが。
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今回の台風や震災で多くの方が「電気のありがたみ」を口にしています。
ジミヘンが「エレクトリックレディランド」のタイトルの由来を尋ねられて「世界は電気に支配されている。電気がないと何も出来ない」という主旨のことをエレキギターを抱えながら言っていて、もうずっと世界は電気のドーピングでバランスを保っているんだな、って思います。
生まれた時から存在し機能するものは当たり前とされ勝ちですが、毎日何かを燃やしたり反応させたりして灯りを作り出していることは、電車を動かすことは、室温をコントロールすることは普通のことではない、当たり前のことではないのだ、と気付かせられます。(だから原発がどう、とはここでは触れません)
金子みすゞの詩は東日本大震災の際にテレビのCMでよく流れていましたね。素晴らしい詩でしたが、その詩が使われたCMが頻繁に放映されていた理由はよく分かりません。みんな違ってみんないいのはそうなんだけど、それが私たちの不安と関係があったのか今となっては疑問です。
(金子みすゞの晩年は哀れなものでした。あのCMを放映することを決定した人がそれを知った上で言葉の力を信じそうしたことを願います)
全ての被災された方が一刻も早く平常の暮らしに戻れるように、当たり前に人間の叡知を享受できる日々が戻るように、祈っています。
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